lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

テニスの指導は手法(打ち方・やり方)の説明ばかりで理屈が欠けている (テニス)

普段触れるテニスの指導は手法の説明ばかり

テニスを続けていて上達したいと思う中、普段私たちが触れている指導は手法 (打ち方・やり方) の説明ばかりで、"それらを実行することで改善される物理的な関係性"を示されることがないと常々感じています。

学校のテストだと思って下さい。

設問:

「サーブにおいて、何故そうするのですか?」

 

解答:

「フェデラー選手がそうしているから」

「その方が力が入るから」

 

子供が言うセリフみたいで解答としては0点だと思います。

 

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テニスを教える・教わるということ

テニスを教えるには教えるノウハウが必要です。どんなにテニスがうまい人でもノウハウがないままでは効果が出ません。サークル内や親子で教えようとしても上達せず関係が気まずくなるのはありがちですね。

このため、成人がテニスを始める唯一の選択肢と言えるのがテニススクールで、スクールでコーチに教わることで"テニスを教えるマニュアル"に基づく指導を受けることができます。

でも、テニスは教わってもなかなか上達しない

スクールでコーチに教わりながらテニスを続けてもなかなか自分が思うほど上達しません。

これには「テニススクールはテニスを教わる場ではなく、お金を払ってテニスをする環境や時間を手に入れるもの。つまり、ボールを打ち合う自分よりも上手い人が居るレンタルコートみたいなものである」という現実もあります。1コート10人以上が1~2名のコーチに教わる訳ですから各自に時間を取って説明してくれるということはありません。上達は自分の取り組み次第です。

自身で少し打てるようになってくると教わる以外の情報を集めようとします。雑誌を見たりインターネットで検索、プロ選手や色んなコーチの動画を見たりです。

でも、スクールに通うだけよりも多少マシかもしれませんが、そこまでやってもやっぱり自分が思う程には上達しません。

テニスは難しいから自分の能力(運動能力・体力・運動センス・運動経験)では足りないのかと思い興味を失いテニスを辞めてしまう方も居るし、上達したいとなお一層テニスに時間を取る方もいます。

そもそも何故テニスを教わっても上達しないのかということ

硬式テニスは日本中で350万人以上が年1回以上プレイをしているスポーツでその数はずっと変わらず推移しています。特定の才能がなければできないほど難しいはずもありません。

では何故、テニスがうまいコーチがいて教えるノウハウもあるテニススクールに通っても、或いは周りのテニス経験者の話、雑誌やインターネットの情報を参考にしても自分が期待する程上達しないのかと言うと、理由として「テニスで教わる内容には"理屈"が欠けている」という面があるからだと思っています。

テニスを教わる際の説明は全て"手法"の話になっている

テニスを教わる際の説明はこんな感じじゃないでしょうか?

「サーブを打つ際、皆さんの腕の形はこうなっていたり、こうなっていたりします。フェデラー選手を見るとこうなっていますね。皆さんのようにしてしまうと手に力が入ってしまうんです。だからこうやりましょう。」

テニス サーブ サンプル画像

「トップスピンをしっかり打つためには腕の形はこうします。皆さんはこうなっています。そうすると力が入りません。ボールに力を伝えるのためも腕はこうしましょう。その方がより強いスピンが打てます。」

テニス フォアハンド サンプル画像

一見、不思議に思わないかもしれませんが、これらの説明の中には『情報』が一切ありません。

"私たちがやってしまう形や打ち方"と"プロ選手がやるような打ち方"の間にどういった違いがあり、そうする事で何が改善されるのか、ボールの飛びにどういった関係性が生まれるのかといった情報が含まれていないのです。

そこにあるのは"手法 (打ち方・やり方) の説明だけ" です。

理屈を踏まえて情報を伝える

例えばですが、

「腕の関節はこういう構造になっていて、この関節はこちらに曲がるし、この関節はこちらには曲がらない。腕を強く振る、つまりラケットスピードを上げるために必要な腕の動きはこうなる。それはピッチャーの投球動作に共通する。何故なら人の体の仕組みや機能は皆大体同じで、様々な運動で皆それを利用しているから。腕の関節をこの角度に保ち、こう腕を動かすことでスムーズにラケットの速度を上げることができる。ボールを飛ばし回転をかけるのはラケットの重さとラケットの速度で決まる。後は正確にラケットがボールに当たること。とてもシンプル。皆のような体の使い方ではラケットスピードが上がらないし、無理に振ろうとすれば体にも負担がかかりスイング軌道も不安定になる」

と説明されれば、"なぜ今の形や打ち方ではダメなのか、ボールを飛ばす回転をかけるためにはラケットスピードと安定した当たりが必要で、修正することでそれらが得られるといこと" が皆理解できます。

1つの説明の中でこれらを伝えるのは大変そうに思うかもしれませんが、ボールが飛び回転がかかる理屈は1つ、体の機能や仕組みや使い方はテニスの全てのショットに共通して関わってくるものです。テニスに限らず全ての人が普段から使っているものでもあり、1度理解すればそれは "基本そのもの" になります。

 

 

 

なぜ、テニスを教える際、手法を説明するのか

そうやってテニスを教えるのが伝統的に続いているからだと推測します。

前述したように、スクールに通っても個別に指導してもらえる訳ではなく、部活で始める方も含め、テニス経験者の殆どは誰かに教えてもらうというより "何かしらの自分なりの工夫でボールを打てるようになってきている" という事情があります。

一般プレイヤーに個性的な打ち方が多いということ

一般のテニスプレイヤーの多くが個性的な打ち方をしていると感じます。

例えば、プロゴルファーは皆同じようなスイングをします。クラブを正確にボールに当てる、ボールを安定的に狙った所まで飛ばすといった精度を考えると、体の仕組みや機能、その使い方に目につくような個性を挟む余地などないためです。

逆にアマチュアのゴルファーは個性的なスイングで打ちますが、それが思った所にボールが飛ばせない理由になるのは想像がつくでしょう。

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スポーツ科学や運動学が研究されている今日では、フォアハンドでボールを打つ、サーブを打つといった状況の中、皆のスイングが似通ってくるのが本来あるべき姿でしょう。

上達する中でスイングに個性が加わるのは良いとしても、"癖"とは体の仕組みや機能に関係なく、普段の生活からくる自分が楽に思う体の使い方をしてしまうことであり、それが運動の結果に有効に働くことは多くないはずです。これからテニスを始める、上達していこうという方なら尚更です。

現状で言えば、テニスは教わるより自分で習得している部分が大きい

話を戻すと、「手法を説明し、後は各自の感覚や理解の中で工夫する」という指導が昔から続いていると思います。

日本ではテニスコートの数が限られるし、限られた指導者に対し大勢が同時に教わるというスタイルが一般的です。これは、学校の教室における先生と生徒の構図に似通っていて「テニスは特別なスポーツで難しいものだからきちんとした人に教えてもらわないとうまくならない」という一般認識もあり、私たちが馴染み深い"学校での勉強・授業"に近い形でテニスの指導方法が構築されてきているのは自然な流れだと言えます。

 

指導する側もそうやって教わってきている。標準化という問題。

そういった指導方法に課題があると言ってもテニスを教える側も自分自身がそうやって教わってきています。日本中、どこのテニススクールに行っても、初心者の方にテニスを教える方法は大差ありません。指導方法が標準化されている状態です。

皆がそうやって教わるからそれが普通、誰も疑問には思わず、他に選択肢があるかどうかなど考えません。その中で練習、上達する以外に考えられないし、上達しないのも自分のせいだと考えてしまいます。

因みに上達しないのはコーチが悪い(教え方が悪い)と言う方がいますが、教わる際は"教える人に対するリスペクト"が絶対に必要です。全く同じ内容を説明されてもトッププロが言うなら信用するでしょう。違いはその人に対する信頼感の違いだけです。スクールのコーチが意地悪で無駄な情報を言うはずもなく、教わる情報は客観的に捉えないと練習の時間を(コーチではなく)自分で無駄にしているだけです。(学校で嫌いな先生の科目ができないのは自分に問題があるということです。)

前述したように成人がテニスを始める唯一と言える選択肢はテニススクールです。コートを借りてテニス経験者に習ってもまず上達しません。そういう意味でこれだけ日本中にテニススクールがあることは素晴らしいことだと思います。

アメリカでのテニス指導の状況

詳しい訳ではありませんが、アメリカにおけるテニス指導方法を見てみると、アメリカ全土に "米国プロテニス協会認定"のコーチがたくさん居て、大学や高校のテニスチーム (アメリカには部活はなく、チームを先生(監督)、コーチ、親御さんのボランティアで支えます)やテニス教室等で指導しています。

全てが1対1で教えてくれる訳ではないですがコートの数もコーチの数も多い (恐らく借りるのも安い)し、コーチングの内容や方法はコーチの認定という形で協会から定められているので、伝統的な指導方法がずっと続いている日本とはだいぶ違います。"どちらがテニスの進化や研究に合わせて指導内容が更新できているだろうか"と考えればまぁアメリカの方だろうと想像はつきます。

ジュニアの有望選手が海外での育成を希望するということ

ジュニアの有望選手が早い段階で海外での育成を望むのは日本の環境が整っていないから、海外選手と競争するためと言うのが一般的な認識でしょうか。

海外にも色々あって必ずしも特別な環境や指導が受けられるという訳ではないですが、前述のように日本の現状は "自分で工夫して上達するしかない" 訳で、選手自身に指導が必要な状況でなくても、"上達のために必要な知識や理屈は正しく提供されるべきだろう"と思います。その差ではないでしょうか?

教われないなら自分で理屈を学ぶ

日本でテニスを教わる、テニスの上達のための情報を集めようとすると、まず100%昔から続く指導方法を前提としています。

雑誌に載る「プロ選手のショットのコツ」を参考にしてもプロ選手のようには打てないのはプロと一般という違い以前に、昔からずっと続く情報や指導をベースに特定の情報だけを付加してあるからだと思っています。プロのスイングと体の使い方がそもそも違っているなら同じように打てるはずもありません。スイングそのものではなくまさに"コツ" (特定の要素) ということです。

スクールに通っていても思った程上達しない、情報をいろいろ試しているけどあまり効果がでないと思うのであれば、自分で"理屈"を学ぶことは意味があります。

ボールが飛び・回転がかかる理屈、ラケットとボールの関係性、スイングする意味、ラケットスピードの意味、ボールはラケットは接触して初めて飛ぶのだということ、皆が同様に持つ体の機能や仕組みとその使い方、一般生活や他スポーツでどう体が使れているのか、等々。一生懸命、10cmの違いでボールを的に当てるような技術を得ようとする以前に知るべきことはあります。

なぜボールは飛び・回転がかかるのか、それとスイングの関係性、体の使い方との関係性を知らないまま、ただ一生懸命に腕を動かしラケットを振ろうとする、何百球も納得がいくまで打ち続けるといった事はどうなんでしょうか?