lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

テニスにおいて「フォーム(形)」は大事かという話 (テニス)

スポーツでよく使う「フォーム (形)」という言葉

日本ではスポーツをする際に「フォーム」という言葉を頻繁に用います。

テニス フォアハンド

野球における「ピッチングフォーム」「バッティングフォーム」という言葉は馴染みがありますし、テニスでもフォームという言葉はよく耳にします。

英語で「form」「形」ということで、他にも「姿」「外観」と言った意味がありますが、実際、我々がテニスでフォームという場合も「形」のことを指して使っていると思います。

 

最近「フォーム」という言葉について気がついた

最近気がついたことがあります。

Googleで「pitching form」「tennis serive form」といったキーワードで検索してもヒットしないのです。これはテニスで未だに使われる「エッグボール」という言葉を検索した際と同じです。

つまり、スポーツにおける動作を「フォーム」と表現するのは日本独自のもので、和製英語とは違いますが、英語圏では「form」という言葉で表現することはないということです。

実感しやすい例としては、ゴルフでは「フォーム」という言葉はまず使いませんね。「スイング」という言葉を使うはずです。

同様に、英語でいうなら、ボールを投げる動作は「pitching」だし、ゴルフやテニスでボールを打つ動作は「swing」です。

こう言ってしまうと「ボールを打つ"動作" とボールを打つ"形" は同じものではないから使う言葉や使い方が違っても不思議ではない」と思うかもしれません。

でも、そもそも日本で「フォーム」という言葉を使うのは、日本人の「形」に対するのこだわりからだと思っています。

 

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何故、「フォーム」という言葉を使うのか

日本において様々スポーツで「フォーム」という言葉を用いるのは、指導において「形」が重視されていること、及び「形」を作らせることが指導の手法として一般化している表れだと思っています。

例で言えば、空手の形(型)であったり、行儀作法の姿勢や動作を形で示すといったものです。

テニスにおいても、テイバックの形、打点(インパクト)での形、フォロースルーの形、トロフィーポーズの形等々、教える側が教えやすくするため、また、教わる側に内容を把握しやすくするために"形"を示すやり方が用いられているでしょう。

でも、ごく単純に言ってしまうと、私はこれはそういう教え方に慣れているという面よりも「教える側の都合が大きい」と思っているのです。

人の動作は "人の持つ体の仕組みや機能" を使ったもの

ラケットでボールを打つ際、人は自身が持つ "体の仕組みや機能" を使ってスイングを行います。

例えば、日常生活でも、走ったり、ボールを蹴ったり、ボールを投げたりする際に、腕の位置がここで、肘の位置がここで、腕と肘の角度が何度で、足の位置はここで、といった風にいちいち考えたりはしません

これは、過去の経験でそれらの動作に慣れているからいちいち考えなくても自然と出来るという面もありますが、人が本来持つ基本的な動作の範疇だからだという点も大きいです。走るということの応用は色々なスポーツで基本動作として用いられます。

大前提として「人の体の構造や仕組みは皆が基本的に同じ」です。

従って、体の機能や仕組みを使い運動を行う限り、走ったりといった特定の運動を行う際の体の動かし方は皆大体共通してくるはずです。

単に走るだけなのに、横向きや後ろ向きに走ったり、不必要に足を上に上げてながら走る人は居ません。野球のボールを投げる際にワザワザ両手でボールを掴んで投げる人はいませんね。経験則も含めそれが効率の良い体の使い方だと理解しているからです。

 

 

 

体の仕組みや機能を効率よく使うということ

基本的な体の機能や仕組みを使った動きは皆共通してくるという点を一歩進めると、陸上競技で一斉にスタートした短距離選手の走り方が皆、全然違うということは起こりえません。"効率的な体の動かし方をすることが速く走る前提" だからです。自分が走りやすいからといって効率を度外視した走り方では速く走れなかったり最悪怪我のの要因にもなるのは想像できます。

この点についてテニスに目を向ければ、一般のプレイヤーは皆、ボールを打つ際のフォームが様々なのは分かると思います。

良く言えば"個性的"なのですが、前述の通り人の体の仕組みや機能は皆大体同じなので、ラケットでボールを打つという動作に対し効率的で安定的な体の使い方をすれば、皆、体の使い方や動かし方は共通してくるはずです。


つまり、

「ボールを打っている様子を見れば、皆体の使い方が似ているのが自然な状態」

であるはずで、今回の「フォーム」という言葉を使うなら「皆、フォームが似ている」ということです。

実際、男子トッププロがボールを打つ際のスイングを見れば、基本的な部分は皆似通っています。それが自然な体の使い方だからです。


一般プレイヤーがボールを打つフォームが皆バラバラだというのは、「ラケットでボールを打つという動作に対する効率的な体の使い方を理解できていない」ということを表していて、もっと言えば「テニスを教わる際に体の仕組みや使い方について教わっていない」ということだと思っています。

走るという別の例で言えば、小学生が50m走をする際の走り方が皆さまざまだということは起こりえます。それまで生活で走る経験が各自違うといっても、走るための効率的な体の使い方など教わる機会がないからです。小学校の先生も体の仕組みや機能、使い方を踏まえた走り方を教えることはしないでしょう。テニスはこれに似ています。

"形" にこだわるテニス指導の場

「フォーム」の話に戻ります。

走って移動する、ボールを打つといった運動によって生じる結果は、体の機能を使うことで得られます。

速く走り、強く腕を振るための効率のよい体の使い方は"体の機能や仕組みを理解する所から始まる"ので、

『走ったり、腕を振っている一連の動作の途中を切り取りその時点の "形" を確認、"正しい形" として作らせることにどれだけの意味があるのか?」

と思っているのです。

テイバックやトロフィーポーズは停止して見えますから、その状態を"形"として再現するのは教わる側からすれば分かりやすいと感じるかもしれません。でも、テイバックからフォロースルーまで続くスイングは、手に引かれ速度を持ち、結果、慣性の法則で"安定的に" 進んでいこうとするラケットによって作られるもので、人が腕力で最初から最後までラケットを動かして作るものではありません。

腕力を含む筋力でラケットを物理的に動かそうとしても速く安定的には動かせないからです。1ポイントで十数回ボールを打ち合ったりするのにそんな精神的に負担が大きく安定しづらい打ち方が望ましいはずもありません。

「初心者がうまく打てないのは打つのに慣れていないからで、上達すれば意識せずに打てるようになるのだ。だから上手く打てるようになるには上達することだ」と思うかもしれませんが、上達して意識しなくても安定的に打てるようになるというのは、打つのに慣れたというより、速度を持ったラケットが "勝手に" そして "安定的に" 動いていくのを邪魔しなくなるからだと思います。それは上達とは少し違うでしょう。


私は、皆が思うテニスの上達のために関心を持つべきは「ボールが飛び、回転がかかるという物理現象に対し、ラケットが加速し慣性の法則で安定的に動いていこうとする」ということと、「体の仕組みや構造、そして、ラケットを安定的に加速させるための体の使い方」であると思います。

体が動くことと直接関係しないどこか一瞬の見た目を気にする意味はまずありません。体の仕組みが正しく機能すれば見た目もも自然とよくなり、スムーズに見えるようになるからです。

そう言われれば、鏡に移るフォーム(形)を気にして、周囲と一生懸命に直そうとすることの意味に疑問を持つのではないでしょうか?

形を直さないと不自然に見えるのは、逆に体の使い方が不自然だからかもしれません。気にする順序が逆ですね。

"フォーム(形)"で説明される現状をどうするか?

繰り返しになりますが、テニスを教わる際、スイングは「フォーム(形)」を前提に説明されます。これはどうしようもありません。教える側もそうやって教わってきているから疑問に思わないでしょう。

もし、"形" で考えることに疑問を持つのであれば、前述した「ボールが飛び、回転がかかるという物理現象に対し、ラケットが加速し慣性の法則で安定的に動いていこうとする」ということと「体の仕組みや構造、そして、ラケットを安定的に加速させるための体の使い方」に関する知識を自分なりに習得し、"形" で表現される指導を自分で"補完"、"変換" するしかありません。

テニスを教わっている際に「スイングを "形" で考えるのは意味がない!!」 とか言ってしったりするとその場が混乱してしまうのであくまで自分の中でということになるでしょうが。