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lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

体の回転とラケットヘッドが走るということ (テニス)

体の回転で打つフォアハンド

テニスでフォアハンドを打つ際には「体の回転で打つ」と言われます。体をコマのように回転させてその回転でボールを打つ、回転をかけるというイメージを持っている方も多いと思います。

今回はこの体の回転とラケットの加速という点についてです。(説明の都合上右利きを前提とします。)

力強くボールを打つための体と腕の位置関係

人が力強くボールを打つためには「自分の体の正面 (右肩から左肩の間+α) の範囲かつ肩よりも前に腕がある」必要があります。

体の正面且つ肩よりも前に腕がある

押し相撲をする際に左右に大きく両手を広げた状態では力が入りません。力を入れるポイントは自分の体に近く且つ肩よりも前にある必要があります。

テイバックでは上半身は横向きになる

また、フォアハンドでは、スタンスの違いに関わらず "ボールを打つ方向に対して上半身を横向きにしてテイバックする" ことが基本となります。

 

上体をひねるテイバック

スクエアスタンス 横向きテイバック

このため、前述の "力の入る態勢でボールを打つ" ためには、テイバックで横向きになった体を回転させてボールを打つ方向に向ける必要があります。この上半身を回転させボールを打つことは自然な動作なのですが、私が、これに関連して大事だと考えているのは「体の回転に追従するラケットの加速」のことです。

スイングに伴うラケットの動きを理解する

テイクバックで停止状態にあるラケットは体の回転に伴い腕と手に引かれ、グリップ側からボールに向かい始めます。

グリップから引かれるラケット

ラケットヘッド側は遅れてスイング方向の真後ろから追従する

フォアハンド スイング


グリップ側から引かれることで動き始めるラケットですが、体の回転に伴って振られているのでラケットには遠心力(※)がかかりラケットのヘッド側はグリップよりも外側、体から遠い位置に動いて行きます。

※遠心力とは、慣性の法則でラケットが直進し続けようとしているのを、円の中心方向に絶えず手で引っ張られ方向を変え続けている状態を言うそうです。ラケットを引っ張る手には引っ張るのと同じ大きさの力が外向きに働いているように感じます。

フォハンド ラケット軌道の例

youtu.be

同一軸を中心とする円周軌道を描く物体は中心からの距離が遠くなるほどその速度は速くなります。同じ角度を動いた際に円周上の移動距離がより長くなるので、ラケットで言えばグリップ側より外側にあるヘッド側の方が速くないと同じ時間中で同じ角度を動けないからです。

中心から遠い物体の方が速度は速くなる

円周運動 同じ角度を動く際、中心から遠いほど速度は速くなる


このため、テイバックはラケットの重さの負担が手にかかりにくい比較的体の近い位置に置き、振り始めて加速させる段階でヘッド側が体から離れていくようにするのが望ましいです。ラケットを加速させるにもエネルギーが必要です。体に遠い位置から引き寄せて長く加速させるよりも、体に近い位置から瞬間的に加速させる方が少ないエネルギー(力・筋力)で効果的に加速でき、ボールに距離が近い分当たりやすくなります。ボールが飛びやすい現代のラケットの性能が活かしやすい打ち方でもあります。

加速してグリップ側よりも速度が上がったラケットヘッド側はスイングの途中でグリップ側(手の位置)を追い越し、更に前方に進んでいこうとします。

加速したラケットヘッド側はグリップを位置的に追い越す

 

 

フォアハンド インパクト

 

ラケットをスイングする目的はボールを飛ばすことなので、皆、ラケットとボールが接触するインパクトを重要視しますが、ラケットに働く力を考えれば、

ヘッド側が慣性の法則で前に進もうとする動きはインパクトとは関係ありません。

ボールに当たる事でラケットの運動エネルギーはボールに伝わりますが、ラケットヘッドが前に進もうとする動きがボールに当たった瞬間止まる訳ではないからです。

ボールが当たる事はスイング中の一出来事でしかなく、インパクトの有無に関係なく慣性の力で安定的に進むラケットの動きが安定したスイング軌道、安定したストロークの要因になります。

インパクトに関係なく更に前方に進もうとするラケットヘッド

フォアハンド プロネーション


このラケットヘッドの速度が上がり、手を追い越していく状況が一般に言われる「ラケットヘッドが走る」事象だろうと考えています。

ただ、ラケットは腕の長さ以上に前に進むことはできないので、腕に引かれ方向を変えながら減速し、左半身側に巻き付くようなフォロースルーに至ります。

手に引かれてラケットは軌道を変え、フォロースルーに至る

フォアハンド フォロースルー


これはラケットヘッド側から見た動きの推移ですが、体や腕側から見ると「スイング開始時、体の回転から始まる手の引きでラケットをグリップ側から引くものの、ラケットの加速の伴い、ラケットヘッド側に手や体を位置的に追い越してもらわないといけない」と言えます。

ラケットヘッドが加速しない、いつまでも出てこないスイング

ここで本題ですが、私が色んな人の打ち方を見て感じる違和感があります。

そもそもこのラケットヘッド側が加速して手を追い越して前に進んでいくという事を "理屈から理解している人は多くはない" と思うのですが、「体を回転させて打つ」という点にのみフォーカスしている方の中でよく見られるのが「体は回りきっているのにラケットヘッドがいつまでも出てこない」というフォームです。

ヘッドが出てこないフォアハンドのスイング

フォアハンド ヘッドが出てないスイング

ヘッドが出ていくるのが遅いフォアハンドのスイング

フォアハンド ヘッドが出てないスイング2


そもそもの ”ボールを打つための体の使い方" の話になるので簡単に説明するのが難しいのですが、スイングの開始は体の回転に伴いグリップ側から手に引かれる所からスタートするものの、ラケットが加速を始めて以降は体の回転とラケットの移動は同一角度で移動するような同期をする必要がありません。体よりも遠い位置にあるラケットヘッド側の方が (体や手より) より速い速度で長い距離を移動するのは当然です。

ラケットは加速を始めたら "自然と" 前に進んで体や腕を追い越していくし、慣性の力で安定した軌道を "自然と" 描くから。つまり、体の回転や腕の振りよりもラケットヘッドの速度が速くなり体や腕を追い越すことが望ましいと思っています。

速度が増したラケットヘッド側が体やグリップの位置を追い越す

フォアハンド プロネーション

あまりよい表現ではないですが、体の位置から前方に進むヘッド側を "後方から" 見ている状態となります。

たまにボクシング等で言われるイメージから「スイングの際、体の回転を "敢えて止めて" ラケットを加速させる」という表現を聞きますが、止めるということでは決してなく「体の回転よりヘッド側の加速を優先し補助する」という言い方の方が合っている気がします。腕よりさらに先にあるラケットヘッド側の加速ですから。

ヘッドが出てこないフォームを見た目の印象で「体に巻き付くようにラケットが出て来る」とか「ラケットヘッドが遅れて出て来る」のように表現をされることがありますが「上半身の回転量、回転スピードを優先されるあまりヘッド側が十分加速できない」「体の回転速度とラケットの動く速度が変わらない」このような打ち方は、運動エネルギーの発生という意味でもったいないだろうと考えています。

よく見かけるとは言え一般の方の動画を例に上げることはできないのですが、違いが分かれば一目瞭然だと思います。体が速く回転しているにも関わらずラケットヘッド側が出て来るのが遅いので、"体とラケットの連動バランスが悪いフォーム" に感じる のです。

比較のためにプロ選手のラケット軌道を見てみましょう。

フェデラー選手のフォアハンドストローク

youtu.be

1:50からスローの動画に切り替わりますが、上半身は振り始めからゆっくり回っていて体が正面を向く頃にはラケットヘッドが手や体の位置を追い越して体よりも前に出ているのがわかります。スローで撮っているにも関わらずラケットヘッド側がブレてしまう程加速していますね。

体の使い方の違いが前提とはなりますが、殆どの男子プロがこのようなラケット軌道を描くのを見ればどちらが効率がよいかは明らかでしょう。

極端に厚いグリップの場合は注意が必用

極端に厚い (ウエスタングリップよりも厚い) グリップを用いると打点がより前方になるため、体の回転にヘッド側の移動が追いつかない、また、腕よりもヘッド側を加速させにくい状況が起きやすいと考えています。(ヘッドが加速しないから体の回転の速さでラケットを振ろうとするというか)

もちろんグリップの違いを理解した上で使っていて体の使い方があっていればそれが問題だという訳ではありません。男子のトッププロでよりラケットヘッドの加速が顕著に感じる選手(フェデラー選手、ナダル選手) はグリップが厚くはないですし、グリップが厚い選手(ジョコビッチ選手、マレー選手)がヘッドが出てこないということもありません。

動画: みんラボ 近藤大生プロがフォアハンドで気をつけていること

さて、この事を書こうと思って文章を書いていた所、偶然、いつも参考にさせていただているみんラボさん (みんなのテニスラボ)のこの動画が上がりました。引退を発表された近藤大生プロが体の回転とラケットの出方について話されているものです。

近藤大生プロ フォアハンドストローク最近のこだわりポイント

youtu.be

近藤プロはこれまで体を回転させる事でラケットを速く振るという意識で居たが、体を回転を抑えボクシングのストレートを打つように右腕を伸ばしていった方が当たりがよくなる事に気づいたと話されています。

表現は違うのですが、「スイングによりラケットヘッド側を加速させ、加速したヘッド側が体や腕を追い越して前方に進んでいくことで大きな運動エネルギーを生む」と点で同様の事をおっしゃているのだろうと思いました。

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