lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

ストロークがネットするのはなぜ?? (テニス)

タイトルは、ある程度上達してラリーを続けることが難しくなくなった方ではなく、ラリーがなかなか続かない状態で、よくボールがネットしてしまうという方についてです。

ボールがネットしてしまう理由は、ごくごく端的に言うと「打ち出し角度が低い」「ボールがネットを超えることができない」といった所からだと思います。

これについて直接的に言えば「もっとボールを打ち出す角度を上げればいい」、「ボールに伝わる力を強くすればいい (できればいい)」という話になってしまいますが、それでは "事象だけを見て対処療法を行うもので問題の解決にはならない" と思います。(こういうアドバイスのされ方ってよくありますね。)

まず、理解しておくべきは「ラケットはかなりゆっくり振っても相手コートのベースライン付近までボールを飛ばすことができる」という点です。

テニスでラケットをゆっくり振ってボールを飛ばしている動画はなかなか無いですが、ゴルフを見たことがある方は距離の短いアプローチショット等でかなりゆっくりクラブを振っている中でも高い軌道で30~40m位は余裕で飛んでいくのを見たことがあると思います。クラブもラケットもスイングにより発生している 慣性の力 (≒遠心力) だけで十分ボールを届かせることが可能だという例だと思います。

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では、なぜネットまでボールが届かないのかというと最も影響するのは "ラケットの当たり方" です。


ラケットがスイングにより発生される運動エネルギーは 1/2 x ラケット重量 x スイングスピード^2 (2乗) で表すことができます。ラケット重量は固定なので、スイングスピードが速くなる程、運動エネルギーも大きくなるわけですね。

また、ラケットの運動エネルギーがボールに伝わる際、当たり方が影響し、ボールへの当たり方により、ラケットの運動エネルギーは "ボールスピード""回転量" に反比例的に分配されます。同じスイングスピードでも当たり方によって回転量が増えればボールスピードは下がり、回転量を減らせばボールスピードは上がるということです。

ただ、"当たり方" というのが大事で、ラケットからボールにロスなく運動エネルギーを伝えるにはラケット面の中央付近で正確にボールを捉える必要があります。

ボールに正確に当てることができずラケット面の周辺部にあたってしまうとボールに伝わる運動エネルギーが大きくロスするのは理解できると思います。初心者の内はボールを見続ける余裕がないことも多くラケットのどの部分にボールが当たっているのか分からないという事はよくあります。ラケットを一生懸命振っているのにボールがネットまで届かない、ネットするという人はまずこれが要因になります。そもそもその半分の速度でラケットを振っても正確に当たっても遠くまで飛ばすことができたりします。

「一生懸命ラケットを振ってボールを飛ばそう」「ラケットは速く振ろう」「ボールにラケットを当てよう」という意識が逆にスイングを不安定にさせ正確にボールを捉えるのを邪魔します。冒頭のゴルフスイング同様にリラックスしてラケットの遠心力を感じる位ゆっくりスイングする中でボールを捉える(当てに行くのではなく)方が安定します。昔風に言えば「ボールを運ぶように」と言ってもいいかもしれません。

また、ボールを正確に捉えられない他の要素は "回転をかけようとする意識" です。

ボールがラケットに接触する際、打ち出す方向の真後ろから90度の角度で当てるのがもっとも効率よくボールに力を伝えることができ、ブレても5~6度の範囲に収めるべきだと言われています。

打ち出し角度に対しその真後ろから90度の面でラケットを当てる

つまり、ボールに回転をかけたい、かけないといけないという気持ちから、ボールを打ち出す角度に対して、それより下から上にラケットを振り上げようとすれば、ボールとの接触が1点だけになってしまうので正確に当てるのが難しくなります。

また、テニスでは「インパクトにおけるラケット面は "地面と垂直" にする」という説明が日常的にされていますが、上に書いた「打ち出す角度に対して90度」という情報が正しく理解されていない故のものです。仮に地面の水平にラケットを振るならインパクトにおけるラケット面はスイング方向に対して90度(地面と垂直)でしょうが、それではネットを越すことは難しく、通常打ち出す角度は地面と水平よりも上向きの角度になります。


地面の垂直面を意識してスピンをかけようとすると左の図のようになります。ボールとラケットの位置関係はそのままで打ち出し角度を水平にすると右の図のようにラケットを被せた状態で当てていることになります。(角度が違うだけで左右は同じ図です。)

薄い当たりでこすり上げる1  薄い当たりでこすり上げる2


ラケットを真上に近く振り上げて回転をかける打ち方もありますが緊急回避的なテクニックでしかありません。

スピンの原則から言えば、ラケットがボールに接触している0.004秒の間に、ボール中央よりも上側(トップスピンなら)にごくわずかでも、より力がかかれば飛んでいく中でボールは前向きに回転を始めます。


ラケットでボールを打つ際にもっとも重視すべきことは "ボールを前に飛ばすこと" 回転をかけることではありません。ボールに一定以上のスピードがでる中でボールをコート内に収めるために回転をかけているものです。強いボールを打つ中で回転をかけるのは必然ですが、上手い人やプロ選手のストロークに影響されて、ボールを曲げる、回転をかけるのが目的になってしまっては本末転倒です。

第一に「ボールを正確に捉えること」「ボールを思った距離まで飛ばすこと」を考えるようにしたいです。ネットにボールがかかってしまうことは技術が足りないというよりも、こういった基本的な理屈の説明と理解がないまま、ボールを打つ体験の中で上達を目指すために起こりやすいと思います。

なお、今回上げたことは、ボールに力が加わる理屈を説明しただけですが、ボールを正確に捉えるために理解すべきことについては別に書いているので、参照していただければと思います。

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