lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

ウィルソン、バボラ、ヘッドの現状について (テニス)

以前、ラケットメーカーの現状について書きました。

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以降、新しいラケットも出ており、改めて現状について個人的な感想を書きたいと思います。ただ、今回は人気3大メーカーと言ってもいい、ウィルソン、バボラ、ヘッドについてです。

 

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1.ウィルソン

ウィルソンの2大看板は相変わらずフェデラー選手のProstaffと錦織選手のBURNですね。BladeはWilsonのラケットで最も試用選手が多く海外では人気ですが、フェデラー選手、錦織選手以上のアイコン(看板選手)が居ないので国内では人気がありません。(個人的にはBladeの特性から言ってオリジナルと言える18x20を使うべきだろうと思いますが、国内では16x19版がリリースされており、且つ人気がないのは相変わらずです。)

ウィルソンの製品開発スタンスは "製品の統廃合と継続" です。急に新しいラケットを作り、幅広いラインナップでバンと売り出すのですが、人気がないと見るや廃盤にしてしまいます。一方、人気のあるラケットは "ほぼ色だけしか変わってないだろ" と言えるようなモデルチェンジが続きます。今回、新しく出た 新Prostaff、BURN CVはこれという変更点はなし。Blade CVはしなり具合の修正に留まっている (ただし、かなり良くなってる)と思います。

ただ、今回、3モデルのイメージデザインを統合することで、わかりやすくウィルソンのラケットであり、且つそれぞれのモデルの違いを打ち出すことに成功してます。

錦織選手の使用ラケットは以前からモデルチェンジと派生モデル登場を繰り返していますが、バランス等は違っても正直度々買い換える程の意味があるのかはすごく疑問です。(旧Prostaff90と現在のProstaff97なら意味はあるでしょうね)

ただ、その辺はウィルソンのマーケティングの強さだろうと思います。

強力なアイコンを用いて、あの選手と同じモデルを使いたいと思わせる心理ですね。フェデラー選手も錦織選手もそういった心理を引き出しやすいキャラクターだとは思います。

Prostaff、BURN、Blade、それぞれに特性があり、ずば抜けていい点もないけどどれも平均点以上は達成しているいいラケットだと思います。

最近はピュアドラコピーと言えたジュースをリニューアルし、Ultraを出しました。ウィルソンのラインナップの中では人気モデルとは言えないですが、人気3モデルの軽量版よりも選びやすい製品にはなります。ピュアドラ(というか黄金スペック)の欠点と言われる「飛びすぎる」点を見直し、しっかり打ってもコートに収まる (想像ながらフレームの硬さを調整してる) 仕様にしている点が、ウィルソンの開発力 (色々なタイプのラケットを作ってるのでノウハウがある) なのかなと思います。ウィルソンとしてはすごく売れなくてもウィルソンの名前で幅広く網羅できてる点が重要なのでしょう。

2.バボラ

バボラは20年近く前に登場したピュアドライブを殆ど変更しないモデルチェンジを繰り返してきており、アエロプロドライブを大きくモデルチェンジしたピュアアエロは賛否両論です。ピュアコントロールは昔の人気名称を復活させたけど製品自体はフレームが柔らかすぎて更に人気が低下、実験的にいろんな機能を搭載して新しいカテゴリーを目指したピュアストライクは完全にマーケティングの失敗で出た時点で失敗作扱いとなりました。看板選手の引退、ナダル選手の不調もあり、正直、2016年が始まった時点でのバボラは深刻な状態だったと思います。

対策として、ピュアコントロールとピュアストライクのモデルチェンジを1年延期して、若手人気選手のドミニク・ティエム選手をアイコンとした #projectone7 を企画、ピュアコントロールとピュアストライクを統合して新しいラケットを準備しました。ピュアコントロール後継のピュアストライクVSはまだリリースされていませんが、新ピュアストライクは硬いと不評だったフレームを見直し、ピュアストライクの良さとピュアコントロールの良さをハイブリッドした「バランスの良さ」を第一に考えたラケットになっているようです。

かつてのピュアドライブが上級者から初心者まで使えるラケットという黄金スペックとして人気を博しましたが、時代はとにかく飛ぶ黄金スペック一辺倒から打感の良さに飛びが加わってきたボックス形状のラケットへ時代の針が振り返してきている状況です。仮にピュアストライク及びピュアストライクVSが現代のニーズに合う初心者から上級者まで使えるラケットとなれば、かつての栄光から人気低迷に拍車がかかっているバボラを救う製品になる可能性はあります。

ただ、本丸であるピュアドライブのリニューアルは来年に行われると予想されるので、これをどうするかで来年以降のバボラの状況が変わってくるはずです。

個人的には、ピュアドライブは大きく変更することはせず、ウィルソンのウルトラやスリクソンのREVO CVがやっているように、「飛びやすいけどしっかり打ってもコントロールでき飛びすぎない」ラケットとし、ウィルソンの3モデルのようにピュアストライク、ピュアドライブ、ピュアアエロでバランスよくラインナップを作れるようにすべきで、ピュアドライブが最重要だと変にこだわるとピュアアエロが出た時以上に市場の落胆を招く可能性があります。

ナダル選手がバボラを離れるという噂がありますが、アイコンとしての貢献は大きいものの、失礼ながら選手としてはピークを超えた選手ですし、ピュアアエロ、ピュアドライブのアイコンとしてはもっと若手の選手、ピュアアエロVSを使わせているジャックソック選手や、ティエム選手同様ピュアストライクを使ってるFELIX AUGER ALIASSIME選手あたりに期待すべきじゃないかと思います。

現代のATPツアーの上位の顔ぶれはこの数年殆ど変わっていません。上がつかえている訳ですが、フェデラー選手、ナダル選手、ジョコビッチ選手あたりは後何年できるか正直微妙です。(以前から年齢の事は言われていますが、年齢と関係なく高いレベルが維持できない状態になってきていると思います。) 少なくとも2017年はマレー選手が頂点におり、ベテランがいるものの、今年よりも若手が勢力を増す年になるのではないかと想像しています。

ちなみに現行出ているピュアアエロVSは旧アエロストームの金型そのままのようですので、2017に製品としてどうなるかは関心があります。仮にピュアストライクVSが旧ピュアコントロールの金型そのままで出てきてしまうと、ピュアアエロVSも現行のままという事になると思います。ラインナップを広げるためだけに古いモデルの金型を、名前を変えて使うのは意味がない気がするので個人的には統合してほしい気はします。

まとめると、2017年は、ピュアストライク、ピュアアエロ、そして新ピュアドライブの3つのラインナップで新ピュアドライブが出るまで中心になるのはピュアストライク。アイコンとしてはティエム選手に期待で、FELIX AUGER ALIASSIME選手以外の若手を獲得したいところでしょうか。 

3.ヘッド

ヘッドは製品ラインナップの拡充とトップ選手との契約拡大により人気を拡大してきました。かなりの冒険でしたが、従来の玄人好みの仕様を見直し、新しいカーボン素材と細かくスペックを見直すことでよりパワーがあり扱いやすい製品群にリニューアルしたことで新しいユーザーを獲得しやすくしました。結果、旧来からの愛好者には混乱を招きましたが、ライバルであるウィルソンのマーケティングの旨さやバボラの状況もあり、ヘッドとしてはこのままではジリ貧という危機感があってのことだと思います。

日本では選手がヘッドを使っているから選ぶというのは他メーカーほどイメージがないかもしれませんが、ジョコビッチ選手が使ってる、シャラポワ選手が使ってると言えば、触ってみようかなという位の興味は持つでしょう。

ただ、ヘッドはラインナップの継続を重視するメーカーです。ウィルソンのように新しいラインナップをどんどん出すことはなく、固定のラインナップを仕様修正しながら継続するスタイルです。バボラも同様ですがよりウィルソンと同じように歴史がある分、続いているラインナップの重要性は高いです。

2013年からの新カーボンを採用し細かく仕様を変えた各モデルのリニューアル第一弾は大変うまくいったと思います。ヘッドは国内でも人気のある(売れる)メーカーにのし上がってきました。ところがその次の各モデルのリニューアルがうまくいかなかったと思います。よくあることですが、メーカーが大きく仕様を変えた際、その次のリニューアルでユーザーにアピールできるネタがなくなるのです。より熟成させた、見直したと言い、実際打ってみれば多少の打感の違いはあったとしても、ユーザーからすれば「あまり変わっていない?」と感じてしまいます。

前述の通り、ウィルソンなら強力なアイコンによりデザインが変わっただけだとしても選手と同じラケットを使いたいという気持ちが購入に動かしますが、ヘッドの契約選手はそこまでのカリスマ性がないので、契約選手の人気以上に製品の評価が大事になります。

気の毒なことではありますがどのメーカーも同じ悩みがあります。ヘッドも自社製品に自信がある (逆に言えば製品依存) メーカーなので、マーケティングはあまり得意には見えません。製品ラインナップのデザインを最近の流行りのシンプルデザインや色数を少なくする工夫をしていますが、同じことをやっているウィルソンの方が余程徹底していて各モデルを特徴づけてアピールすることに成功しています。

残念なことですが、せっかく切り開いた新規ユーザー層でしたが、結局は、製品依存のマーケティングで分かる人には分かる、愛好家に期待するしかない感じなのかなと思います。

 

まとめ

これら3つのメーカーについてまとめると、ウィルソンは相変わらずのマーケティングの旨さで製品としては平均点で他社からすれば目立つ点がないラインナップながら現状ではNo.1メーカーと言えると思います。バボラは、それが綿密に計算したものではなく失敗を恐れて無難にまとめた結果であっても、新ピュアストライクを現代のニーズに併せて無難に幅広い層に使いやすいであろう仕様としたことである程度人気を得られる雰囲気が出てきました。予測されるピュアドライブを欲張らずに3大ラインナップの1つとしてうまく位置づけることができれば市場の評価は持ち直す目が出てくる気がします。ヘッドは2013年のリニューアル以前の状況に戻りつつあると思います。リニューアルで獲得した新規ユーザーが後継モデルを使ってくれるかは微妙です。従来からの愛好者もいますが、そこまでこだわりのない新ユーザー層が買い換えるなら他メーカーの方が余程魅力に見える気がします。