lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

上達に必要だと思ういくつかの基本的理解 (テニス)

テニスを続けている人は皆もっと上達したいと思い、そのためにどうすればいいかと色々考えます。世の中にはテニスに関する色々な情報が溢れており、「常識」として言われる事から一個人の感想まで何が参考になるのか分かりづらいです。

今回上げる項目は、上達のためというより、そもそも理解していない事で上達の妨げになるだろう技術以前の事柄です。分かりやすいよう少々極端に書きますが、世の中にある様々な情報を否定したり変えろと煽るものではありません。個人的に大事だなと思っているものですね。

1.コツでは上達しない
テニスでも技術的話をする際に「コツ」という表現を多用します。でも、コツとは既にできている人が気をつけているポイントであり、出来てる人が聞けば確かにそうだなと思えても、出来ていない人が「コツ」に注目しても出来るようにはなりません。コツとは木で言えば枝葉の部分。根っこや幹が育っていないと枝葉まではたどり着けません。大事なの基本が出来ていることで、「基本」の習得にコツはありません。ただ理解とそれを再現できることです。なお、テニスを習うにも基本から理解しやすく学べる機会がないという問題も同時にあります。


2.「テニスの技術」とはもっと高いレベルで用いるものだ
テニスを習っていると、自分がうまくできないのは技術が足りないからで技術が高まれば上達すると考えますが、「テニスの技術」とは基本よりもっとはるか上のレベルにあるもの、例えばボレーで10cmの違いを狙うようなものだと思います。単純にラケットをボールに当てるのも技術ですが、ラケットでボールをしっかり安定して打つために必要なのは色々なスポーツで共通して用いられる基本的な体の使い方で「テニス固有の特別な動作」ではありません。それらを理解し実践できている事が「基本」であり、ボールを打てることを「基本」とは呼べないと考えています。


3.自分は "出来てる" と思わない
続けていると上達の実感が自信になりますが、自分は出来ているという「自己評価」が上達の妨げになります。高い自己評価は「少しのきっかけでもっと上達するはず」と考えさせ、実際は必要な基礎的理解には目を向けずより高いレベルだけを求めます。不完全な土台の上に建てた建物をいくら増築してもバランスが悪いのは直りません。一般プレイヤーはその個性的なフォームのせいで明らかにミスを増やしています。上達に必要なのはどのレベルでも自分の状態を正確に把握、理解すること、言わば「テニスの棚卸し」です。それにはしっかりとした知識と理解が必要で、どんな些細なことでも知識を広く増やすことは自身の上達を助けます。「無知の知」という言葉はテニスにおいても大いに当てはまります。

4.フォームは "形" ではない
テニスを教わる際、「テイバックの形はこう、インパクトの形はこう」と特定時点の "形" を示されることが殆どです。しかし、実際の「フォーム」は正しく体を使うことで起こる運動連鎖を含む一連の動作そのものです。出来ていれば途中の "形" は敢えて作る必要がありません。昔は写真でしかボールを打つ様子を伝えられず、日本人は教科書の類で教わる事に慣れているので「形」で示される事を分かりやすいと感じます。現代は運動学に基づく体の使い方や動画を使って情報を伝える環境も整っているのに教え方は昔から変わりません。形を作るのは形態模写の練習で、本当に教えるべきはまず「体の使い方」です。

5.道具でうまくなったりしない
道具で技術が向上することはありません。メーカー各社素材も製法も大差なくラケット自体はもう20年近く大きく進化していません。(ピュアドライブが登場したのが約20年前です)  ラケットが飛ぶ飛ばないの差は、フレームの厚み、構造によりボールが当たった際に変形するかどうかが大きいです。薄いしなるラケットはボールが離れる前にしなりは復元せず "しなる" 分パワーロスが起きます。厚い変形しにくいラケットはパワーロスがない分、ラケットの力がボールに伝わるので飛びます。また、ガットでスピン量が大幅に増えるということもありません。三角形~八角形、丸型といった断面や素材、製法の違うガットがいくら出ても1つを除き他が全く売れなくなるということなければ、ナチュラルガットも全く廃れず使われています。同じ体格の二人が同じラケット、同じセッティングの同じガットで打っても、同じスピードや回転量にならないことでも道具の効果はごく僅かであることが分かります。単純にラケットと道具を変えてスピン量が15%も増えた人が居るならその道具や組み合わせが噂になるはずです。

道具でも求めるべきは「使いやすさ」だけでその基準は「感覚」が殆どです。道具で上手くならない反面、使いづらい道具で実力の70%としか出せないことはあります。ただ、人はその調整能力で「必ず道具に慣れる」ので、使っていて不自然でなく本人も違和感がないなら好きなラケット、ガット、セッティングを使って構いません。メーカーも下手になる道具なんて販売しません。逆に「人から勧めらた」「◯◯が使っている」といった理由で道具を選ぶとミスが続いた時に人は必ず道具のせいにします。道具を頻繁に変える人は大概うまくなく、上手い人ほど長い期間同じ道具を使い続けます。「慣れている」「使いやすい」と感じ信頼して使える道具が自分に一番の道具です。
 

6.教わることや見聞きすることは本当に正しいのか考える
私が一番疑問に思うのはこの点です。テニスでは「常識」とされる情報が沢山あり、皆がそれらを語りますが正しいのか検証しようとはしません。教わる「常識」にごく基本的な疑問を感じても、教える側がそれを論理的に解説できないのは自身も教わったままを疑問を持たず復唱しているから。多分「あれこれ考えずとにかくやって」と言われてしまうでしょう。

例えば、計算上、身長2mの人がベースライン中央から無回転のサーブを打つとしてネット中央の一番低い位置を通してもネットの上ボール1個分強(10cm)の空間を必ず通さないとサービスインしません。つまり回転がかかっていないという意味で皆が言うフラットサーブは自ら操作できない空気抵抗や重力等の要素により空中で「失速」し「たまたま」入るだけです。今どき "フォアハンドの基本はフラットだ" という人は居ませんがサーブの基本はフラットサーブだと教わります。同じくベースラインから相手コートに打つショットに違いがあるとは思えませんから、サーブは難しく教えづらいために昔からの指導方法が改善されず続いているのでしょう。フラット、スライス、スピンと3種類の打ち方を別々に教わりますが、ラケットがボールに影響を与える要素は「ラケット速度と当たり方だけ」です。必ず回転をかける必要があるなら、フラット とスピンの間に無数の種類のサーブが存在します。3種類に分けるのは主に教えやすさからで、結果教わる側の理解を阻害していると感じています。

 

7.基本が出来ているとは?
「あの人は基本ができている」「あの人は基本ができてない」と言われます。ただ、個人的に「基本」とは「自分がどのように体を使ってボールを打っているのか、具体的、論理的にきちんと説明でき、それを聞いた誰もがその場でそれを再現できる状態」のことだろうと思っています。それは正しい知識がなければできません。

知識がない中でスポーツを続けると誰もが感覚面にフォーカスします。そのため自身の打ち方を「◯◯するように」「××する感じで」とイメージ的な表現を用いて説明します。よくプロ野球の選手がイメージで自身の打撃を説明しますがスランプに陥った選手は長く回復しません。知識や理解が足りず自分のテニスを具体的、論理的に説明できない人は、日々調子が違い、調子を崩すと戻す方法が分かりません。調子を保つにも、調子を取り戻すにも "練習する" 以外の方法がありません。不調になると好調時の動画を見返したりしますがそれは他人のフォームを見ているのと同じです。それまでとは全く違う別の方法で無理やり軌道修正するしかなく、前述のように増築して歪んだ建物のようになります。基礎部分ができている人は何が問題なのか判別でき、好不調の波を小さくできます。

 

8.運動苦手とか全く問題ない
テニスは1年に350万人以上が1回以上プレイします。プロ選手を目指すわけでもなく競技者になるのでもなければ、日常生活で行えている動作の応用ができれば皆が思う「一定速度のあるボールをラリーで打ち合うようなレベル」のテニスは誰でもできると思っています。習う際にラケットでボールを打つという「テニス側から」の視点で見てしまうと慣れない環境の中でうまくできない事が負のスパイラルに陥ります。スポーツ経験や部活など大勢で教わる経験がないなら尚更です。テニスを教わるのとは別に、他の色んなスポーツや日常の動きの中で似たような体の使い方をしているものを考え、どういう仕組みで体が動いているか運動学等の面から確認するとテニスもそれらの応用だと分かってきます。人が本来もつ基本的な機能は全ての運動で応用されます。ラケットでボールをどう運ぶかは技術でも、ラケットを安定して振れるのは体の使い方次第であり技術以前の事柄です。1球毎に神経を集中して腕や手の操作でボールをコントロールしようとしても疲れてしまうしすぐにミスしてしまいます。体をうまく使ってボールを打てれば、力も不要で安定してしっかりとしたボールを皆が打てるようになります。


9.筋トレより先にやるべきこと
自分の技術に自信があり、色んな話を聞いても効果的に上達しない場合、人は「筋トレ」が必要ですか?? と言い出します。最近なら「体幹トレーニング」でしょうか。怪我が多いとか、競技者なので筋力も必要など、具体的な理由があればともなく、指導者も居ない中で自己流の筋トレをしても長続きしないだろうし多分効果も出ないでしょう。前述した通り、上達には「知識とその理解」、自分のテニスの状況を見つめ直す「棚卸し」が必要です。自分のテニスを理解できていないから、何をすべきか分からず、手っ取り早く見聞きした情報を試してみようとします。

競技者や職業として人に教えられるレベルでもなく、上達しないと考えるのであれば答えはもっと根本の部分にあるはずです。「初心を忘れるな」とは精神論のお題目ですが、テニスを初めた頃のように教わる事を一言逃さず吸収しようと考えていた姿勢を忘れないのも大事です。

10.プロと自分を比較しない
プロ選手のプレイは手っ取り早く目標や参考にしやすいです。皆、職業として365日24時間テニスに携わり努力しているプロ達と自分達で状況が全く違うことは理解しているものの、つい自分達とプロを同一基準の中で比較しようとします。ラケットやガットの種類やセッティングを神経質なほどにこだわったり、ガットのテンションが落ちるとテニスに影響があるからとキレてもいないのに頻繁に張り替えるのが常識のように言い合ったりです。張りたてで延びや緩みの少ない状態を除き、ガットのテンションが5P違っても言われなければ殆どの人は分かりません。冬場は飛ばないからテンションを落とすと言われますが、気温の低下でボール内の空気が縮小しゴムも硬くなることで飛ばなくなるだけで、テンションを下げてもボールの飛びは変わりません。「冬場はボールが硬く感じるからテンションを下げて打感を調節する」が正しいはずです。

いずれ、張ったガットがどう伸び、時間経過で飛びにどう影響を及ぼすのかまとめたいと思いますが、試合に出るなど頻繁にプレイするのに3年間張り替えていないという人が存在する事から張ったままのガットは伸びや緩みで変化が生じてもある一定値以降は変化自体が停滞すると考えています。物理的な経年劣化があるとしても、張るテンションに関係なく張ったままの状態で到達するテンション(例えば40P)まで伸びたら以降の変化は小さいのではという仮説です。勝手な憶測ですが、皆が張るテンション(仮に50P)以下には比較的速く落ちる(伸びる)一方、張っているだけではそれ以上伸びないテンション(仮に40P)に至ったらそれ以上は変わらないといった製品特性なら、皆打感が変わるだけで張り替えてくれますからね。

道具にこだわるのは本人次第ですが、自分が感じる「打感の変化」以外で、道具を変えたりセッティングを変えたりすることでボールに違いが生じると考えるのは意味がないのではと思っています。

11.他の人の考え方は否定せず自分の知識とする
他のスポーツ同様、テニスにおいても考え方や理論のようなものがたくさん存在します。あるコーチと別のコーチが真逆の事を言っているように感じることがあったり、自分は正しいと思っていることでも、周りの人から「それは間違いで正しくはこうだ」と指摘されることもあります。前述の通り、些細な事でも様々な知識や情報を得ることは自分の上達を手助けしてくれますが、知識を持とうとしない人、偏った情報だけを信じる人に上達は難しいです。テニスの技術論になった際、人と意見が違うのは自分が知らない事を相手が知っているからかも知れず、何を持って相手が間違っているなど、どんな世界的テニスの権威にも断言できません。テニスをやっていると "自分の考えこそが正しい" という人が大勢居て、世界的トッププロが言うアドバイスすら簡単に「間違いだ」と否定します。どんな内容でも否定はせず何故そういう考え方になるのかと関心を持てば、考える中で新たな知識となりますが、人の話に耳を傾ける余裕のない人に "正しい道" が見えるはずもありません。

12.予習と復習
英会話スクールに通う場合、週1回2時間の授業を受けて先生と話すだけではほぼ間違いなく英語を話せるようにはなりません。書店で入門書、参考書をたくさん買い実際読んだとしても同様です。(人によっては買っただけで満足してしまうかも) テニススクールも同様で週に2~3回と通ったとしてもその90分なりの時間の中でしかテニスに触れないなら次回までに経験や感覚は下がってしまいます。上達には知識が必要と書きましたが、知識を基に自分のテニスを「棚卸し」するためには、自分のテニスを知る必要があります。文章でもなく思いつくままでいいので練習後に気づいた事をどんどん書き出していくことです。うまくいかなかった事、コーチに言われた事、気づいた事、当日の天気や気温、練習中の気持ちやモチベーション、体調、何か不満に感じたことなど。翌日以降次の練習までの間に過去のメモを見返し、課題や何をどう見直すのか、何を課題としていくかを考え、それに必要な情報を確認します。そういった繰り返しの中で必要な知識が精査され蓄積されてきます。予習、復習と書きましたが難しく時間を取るわけでもなくごく単純な習慣が上達に繋がります。