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lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

マレー選手のテニスはつまらないのか? (テニス)

ATPツアーでNo.1になった男子選手について「彼のテニスはつまらない」と言われることがあります。ナダル選手のようなアグレッシブなプレイ、フェデラー選手のように流れるような華麗なプレイで見るものを魅了するNo.1も居ますが、最近で言うとジョコビッチ選手や直近でNo.1になったマレー選手のプレイを見て「つまらない」と感じる人は多いようです。

ジョコビッチ選手は若い頃から「精密機械」と言われていたように、とにかくミスの少ないテニスで1試合を通して横綱相撲で相手を追い詰めていくプレイスタイルです。

常に60~70%位のプレイを続け、ウィナーを狙う時は余裕のある場面でワザとギリギリを狙って強打し多くを(ワザと?) 外したりするのも作戦の内だと感じます。派手なショットもはなく一方的なスコアで圧勝したりすることもありません。試合開始の1球目からマッチポイントの最後の1球まで自分がこの試合のプロデューサーだとばかり常に自分に優位に試合が進むよう無理をせず効果的に相手を追い詰めていきます。その辺りが見ていてつまらないと感じるのだと思います。

さて今回No.1になったマレー選手ですが、若い頃はとにかく守備的な選手でした。当時、WOWOWのテニス解説の柳恵誌郎さんが「勝ち味の遅さ」という言い方をされていましたが、ベースラインよりかなり下がったポジションから緩いボールを繋ぎトータルの駆け引きの中でなんとか勝ちを拾うようなテニスでした。このプレイスタイルはマレー選手がスペインのクレーで練習を積んだ事が大きいと思います。クレーで育った選手は攻撃的にスピンをかける選手とボールを繋いで長いラリーを挑む選手が多く、マレー選手は性格的に後者だったのだと推測します。

その後、ポジションをベースライン付近まで上げる事で多少攻撃する形になったものの、ビック4と呼ばれるにはもう少しという位置、常に4番手で上位3人には実力的に勝てない状況が続いていたのですが、きっかけになったのはやはり2012年のレンドルコーチの就任だと思います。

まずはウィンブルドンで優勝するためのタッグだったと思いますが、マレー選手がグランドスラムタイトルを取る、将来的に他3人を超える事を目指す機会になったと想像します。


2013年にマレー選手が行った腰の手術も関係するはずです。それまでマレー選手は試合中ボールを追いかけた際、ポイントが終わった後に腰に手をやって顔をしかめる姿が多く見られましたが、手術後暫くしてその動作は全く見られなくなりました。

手術から復帰した2014年、レンドルコーチが自身の都合からコーチを辞め、マレー選手は元世界No.1であるモレスモコーチと組みます。その後、スエーデンの元TOP10選手であるビョルクマンコーチも参加します。スペインのクレー育ちのマレー選手が、フランスとスエーデンのテニスメソッドを取り組むことにした訳です。

この頃からマレー選手が変わってきます。

髭を伸ばした姿でプレイすることも多くなり、元々細いしまった体つきでしたが、筋肉が以前より太くなり体が大きくなった反面、より絞ってしまった印象の体になってきました。

前年優勝したスイスがフェデラー選手とワウリンカ選手の不参加で失速する中、デビスカップでイギリスが優勝したこともマレー選手の立場に影響を与えたと思います。

プレイ面では、ベースラインから下がらず攻撃する形を多く取るようになり、元々の守備的要素とベースラインより中に入って打つ攻撃要素を試合の中で組み合わせるようになりました。

また、2015年のフェデラー選手のSABRに象徴される超攻撃的なプレイスタイルの影響を受けていると感じさせる、相手の返球態勢が崩れたのを見逃さずラリー中の速い段階でネットに詰めてボレーで決めるプレイやSABR同様にベースライン後方からサービスラインぎりぎりまで踏み込んでリターンを度々試みるプレイを度々見せています。

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ワウリンカ選手のように1撃でウィナーを決められるショットがなく長いラリーになりがちなマレー選手にとって短いラリーからボレーで確実に決められるポイントはよい選択肢です。シングルス中心だとボレーが得意でない選手も多いですが、マレー選手はダブルスも得意でボレーを苦にしないのも向いています。足は速いようには見えませんが、ドロップショットを打たれた際も、独特の「アッーーー」という声を出して反応よく追いかけてタッチショットで切り替えしたりもできます。

SABRのように前に詰めてのリターンも成功しなくても、マレー選手のような強敵にやられると相手にとっては強いプレッシャーになりえます。

サーブについても、マレー選手は元々両肩の回転が大きく、スピンサーブやスライスサーブの曲がりが他選手より大きいのですが、最近はサーブ時の体の使い方がよりスムーズになりサーブのキレが以前よりも増していると思います。ビック4にあたる4選手の中で最もサーブにキレがあるのは実はマレー選手だろうと思っています。

元々の守備的なプレイスタイルから、攻撃的な要素を徐々に且つ確実に追加していき、フェデラー選手の今後のATPツアーのヒントになると思えるプレイも誰よりも速く取り入れ、負ける要素がどんどん減っていったマレー選手がNo.1になったのはある意味当然のことだったと思います。

ジョコビッチ選手は横綱相撲で勝ちを重ねていたとは言え、ここ数年の好調がベースになっていたのは間違いなく、ジョコビッチ選手自身は試合中に気まぐれに集中を乱すことも少なくありません。(審判にクレームをつけることもありテニスファンに嫌われる要素になってます。) 今年になりジョコビッチ選手の調子は明らかに下降曲面に来ており、ナダル選手はフェデラー選手のように怪我に伴うものではありませんが、年齢と突出した武器がないことからもジョコビッチ選手が再びダントツのNo.1に返り咲くのは難しい気がします。

このため、自身が確実に強くなりライバルが下降していく中で来年2017年は、No.1に居るマレー選手を中心にATPツアーが回ると予想しています。対抗するのは、ワウリンカ選手、ワウリンカ選手とほぼ同様のポジションとしてジョコビッチ選手、これを錦織選手、ラオニッチ選手、ティエム選手、モンフィス選手、チリッチ選手、ゴファン選手、後、ズベレフ選手辺りが追いかける形になるのではないでしょうか。

マレー選手のプレイは確かに派手さはなくジョコビッチ選手同様地味に確実に勝っていくタイプだと思いますが、ジョコビッチ選手のように安定性を武器にするのではなく、基本的な強さ、攻守のメリハリ、戦術的なアプローチを加味してプレイするスタイルは、ATPツアーの最先端を行っているプレイスタイルだと思います。

長く王者の地位に居れるか分かりませんが、フェデラー選手のようにATPツアーを引っ張り進化させていく (ATPツアーは特定技能に優れた選手が登場し続ける事で常に進化してきており、それがWTAツアーとの決定的な実力差に繋がっていると思います。) 役割を果すのは直近ではマレー選手かなと思っています。

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