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lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

サーブの基本はフラットサーブ? (テニス)

テニス

一般に「サーブの基本はフラットサーブだ」と言われますね。テニススクールでサーブを習う際、コーチは「フラットサーブの打ち方を教える」とは言わないかもしれませんが、最初に教わるのは回転をかけない形でのサーブの打ち方(動作)だと思います。一方、サーブについて多少でも知識のある人からは「回転をかけないサーブが安定して入るわけがない」という話も出ます。

今回は「サーブの基本って何?」という事について考えてみようと思います。

比較のため、テニスで最も使うショットであるフォアハンドを考えます。
現状、「フォアハンドの基本はトップスピンだ」というの通説ですね。今どき「フォアハンドの基本はフラットだ」などと言う人はまず居ません。("通説" ではなく "常識"では? と思う方は以降で説明していきます。)

テニスでフォアハンドを習う際、初心者の段階から「トップスピン」をかけて打つことを強調され、打ち方を習うのもそこそこに「ボールの下から上にラケットを振れ」と教わります。周りも「スピン」の話ばかり、プロのボールを見て「自分も強いスピンを打ちたい」と思います。

ただ、個人的には、テニスを始める大前提として 1.「ボールが飛び、回転がかかる理屈」と「ラケットがボールに影響を与える理屈」の理解と、2.「体の仕組みと力の使い方」の理解が必要だと思っていて、ボールを打つ際に絶対必要な 2を理解するために、まずは「フラットのボールを打たせ、実感させ理解させる」のが順番として正しいと思っています。

 

何度か書いていますが、ボールに対しラケット面が当たる角度は、打ち出す角度に対し90度(垂直)、ズレても5~6度の範囲に納めないと安定した当たりを得られないと言われています。

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スピンをかけるために「ボールの下側から上側にラケットを動かす」と教わりますが、打ち出し角度へ、真後ろからまっすぐではなく下から上にラケットを動かすわけですから、ボールを捉えることに慣れていない方には「ボールを正確に捉えにくくなる」要素です。教わる通りに下から上にラケットを振ると当たりの薄いガリッと鈍い打感になり皆それがスピンをかける感覚なのだと思ってしまいます。

ただ、本来はボールを飛ばすための体の使い方を学ぶために、打ち出し角度を上げ、その真後ろからまっすぐ90度にラケットを当てる方が正確にラケットを当てボールを飛ばす事を体感できます。実際、初中級位まででストロークが安定して打てるのは高い弾道でフラット系のボールを打つ女性で、男性はすぐにミスします。これは昔からのフラット系のストロークと言えますが、横向きテイバックで押し出すような打ち方ではなく、今なら体を捻って回転で打つ現代的な打ち方が前提となる点が異なります。

フラットのボールできちんと体を使って打てるようになった上で、フラットのボールに少しだけ回転をかけ飛び方の違いを体感させるのが正しい順番だろうと思います。最初からスピンを習うより時間がかかるように思えますが、しっかりボールが飛ばせる状態での取り組みとなりむしろ順当な道のりです。

現代的なフォアハンドは「前にボールを強く飛ばす中で強く回転をかけられる」打ち方です。ボールの下から上にラケットを当てる理屈は同じですが、腕全体を使ってラケットを下から上に持ち上げる打ち方とは全く違います。後者で教わると「回転をかけようとするとボールが飛ばない」と悩むことになります。ラケットスピードはボールスピードと回転量に相対的に分配されますが、ボールに力を加える術を教わらないわけですから技術だけで回転をかけようとしてもうまくいきません。

長くなりましたが「フォアハンドにおいてトップスピンをかけることは必須、ただ、回転をかける方法を単独で学ぶとボールを飛ばすことと回転をかけることが両立できない。本来は、ボールを打つための体の使い方、しっかりとボールを打つ中で回転をかけられる方法を学ぶ事で、まずはフラットのボールでそれらを確認すべき」と考えられます。


本題のサーブの話に戻ります。

今回、考えてみて欲しいのが、「フォアハンドもサーブもベースラインから相手コートに向かって打つという意味では同じだ」ということです。しかもサーブの方が速度も距離も条件が厳しいです。つまり、「フォアハンドでトップスピンを用いるよう最初から強制される中で、サーブの基本が回転をかけないフラットサーブだと言っている事は明らかに矛盾している」と言えるわけです。

サーブについて再確認ですが、サーブの方がより打点が高いと言っても、計算上、身長2mの人が無回転のサーブを打ったとしてネットの一番低い中央部分を通しても、ネットの上、ボール1個分(約10cm)の空間を必ず通さないとサーブは入りません。身長180cmの人なら20cmジャンプしてその精度です。

lond.hateblo.jp


つまり、意図的に回転をかけないという意味で多くの人が言う「フラットサーブ」は、打点から相手コートサービスボックスまでの直線軌道よりも高く打ち出し、空中で失速することで「たまたま」入っているだけです。ボールの「失速具合」を自分でコントロールできるはずもない (ボールを撫でるように逆回転をかけて入れる年配女性も居ますが..) ので、フラットサーブが簡単にネット、オーバーするのは当然です。

フォアハンドでは、ボールが飛ぶ仕組み、体の使い方も説明されず、スピンをかけて打つ方法だけを教わるので回転をかけることとボールを強く打つことの両立に悩みます。一方、サーブは身長2mの人が打ってもほぼ入らないフラットサーブを基本として教え、回転をかけるサーブは応用となる「より上級の別技術」「フラットサーブとは別の技術」として説明されます。

多分、これらの違いは長く続くテニスの指導方法が影響していると思っています。


昔、フォアハンドで打つボールは薄いグリップで押し出すように打つフラット系のボールでした。その後、ラケットやガットの改良に伴い、誰でもトップスピンのボールを打てるようになり、トップスピンの有用性、ボールスピードの上昇や打ち方の改良などで、フラット系で打つプレイヤーが少数派になったことで「スピンをかけてフォアハンドを打つことが大前提」となった経緯です。

一方のサーブは、昔の飛ばないラケットで山なりの遅いサーブを打っていた頃の指導方法 (フラットでサーブを打つ) がそのまま残っているのだと思います。(サーブの指導方法は私がテニスを初めて教わった20数年前から殆ど変わりません) フォアハンド同様に道具の進化やボールスピードの上昇で回転をかける必要性は増しているのもかかわらず、サーブ自体が他ショットより習得が難しいこと、回転をかけてサーブを打つ技術を指導する方法が整備されていないことから、「サーブの基本はフラットサーブ、回転系のサーブは応用」と言うある種「ごまかし」的な指導方法が続いている気がします。


サーブを打つための体の使い方もフラットを基本に教わる形でいいと思いますが、同時に「ボールに回転がかかる理屈」と「ラケットがボールに影響を与える理屈」を教え、フォアハンドよりも速い段階で「サーブは必ず回転をかけるものだ」と理解させる必要があるはずです。


まとめると

1.サーブもフォアハンドもベースラインから相手コートに強くボールを打つ点では同じ。

2.ボールを打つ大前提として「ボールが飛び回転がかかる理屈の理解」「ラケットがボールに影響を与える理屈」の理解が必要。

3.サーブもフォアハンドも体を使ってボールを打つ(強く飛ばす)方法をまず回転をかけないボールを全体に理解すべき。

4.体の使い方が理解できてきたら、少しずつ回転をかけて感覚の違い、ボールの変化、コントロールする技術を学ぶ。

5.ラケットスピードから変換されるボール速度と回転量は反比例で無段階に変化する。フラットとスピンは別ショット、別技術などではない。


という感じです。

ラケットからボールに伝わる力の中でしか回転は発生しませんし、全てのサーブは回転でコントロールしないと入れられません。回転のかかり方が違うだけなのに、フラット、スライス、スピンと、いかにも別の打ち方が必要なように教わることは不思議です。(フラットとスライスの間、スライスとスピンの間のサーブはないのでしょうか?)

今のテニスでは、フォアハンドにおいては、ボールを飛ぶ理屈やそのための体の使い方には触れずにスピンをかける方法ばかり教わるし、逆にサーブではフラットが基本、回転をかけるサーブは応用技術のような「実情に則さない状況」が続いています。教わる側は「こういう指導、情報しかない」ので見聞きした「コツ」に一喜一憂し、手っ取り早く「プロネーション」「脱力」「体を捻る」「体を反る・ラケットを擦り上げる」などのキーワードばかり目が行きます。陸上で言えば、正しい効率的な走り方を知らなくても走れますが、知らないまま「◯◯すれば速く走れるらしい」とマネしてみたりするのは本質ではないということです。できれば必要な基本的な事柄を初心者の段階から皆が共有し理解できる状況にならないかなと思います。もちろん情報として整理されてもいないし、どう伝えるかもまとまっていないのが現状なわけですが。

 

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