読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

インパクト時のボール状態と回転の考え方 (テニス)

今回は、インパクトにおけるボールの状態とスピン回転をかけるためのスイングについて考えてみたいと思います。

一般にボールにトップスピンの回転をかけるスイングというとこういったイメージではないでしょうか。

トップスピンをかけるスイング例 A

f:id:a-londenion:20161010080217j:plain

「地面と垂直の面」でボールと当てる。ボールを打ち出す角度に対して「ラケットはボールの下から上に向かって」振っていくというものです。


しかし、先日も確認したようにテニスのボールは硬い面に当たった際大きく変形します。地面でもそうですし、ラケットに強く当たった場合も同様です。

youtu.be

youtu.be


また、ボールとラケット面のインパクトで言えば「ボールを打ち出す角度に対してラケットは真後ろ(打ち出し角度に対し面が90度)に当てるのがもっとも正確にボールを捉えることができる。その角度は上下5~6度の範囲に収めることが望ましい」と言われています。なかなか聞くことはないですがとても大事な要素で、仮にフラットでロブを上げることを考えれば分かりやすいです。


これらのことから、スイングAは「ボールが変形しない程度の薄いカスレた当たりである場合」「ボールが十分変形しないほどゆっくりとしたスイングで打つ場合」でなければ成り立たない(ボールが飛ばせない)だろうと思います。

つまり、ボールが変形した状態を作るには「厚い当たり(90度近い角度)」且つ「十分なスイングスピード」で強くボールを捉える必要があり(逆に言えばそういう当たり方をするからボールは変形する)、ボールが変形するような厚い当たりをするのであれば「打ち出し角度のはるか上向きにラケットを振っていく打ち方はできない」ではないでしょうか?

厚く当てることと打ち出し角度とスイング角度の大きなズレは共存しにくいわけで、それをカバーできるほどプロ選手並にスイングスピードがない我々なら尚更です。


このため、しっかりとボールを捉える中でトップスピンをかけるスイングとは個人的にはこういうものだろうと考えています。

トップスピンをかけるスイング例 B

f:id:a-londenion:20161010081915j:plain


少し補足すると、以前確認したようにベースライン上、地面から80cmの高さでインパクトした場合、ネット中央の一番低い所の2倍の高さを通すための打ち出し角度は計算上「約5度」で、ボールをしっかりと捉えることができればボールの打ち出し角度は「地面と平行+α」が基準となります。

lond.hateblo.jp


繰り返しになりますが「ラケット面は地面と垂直なのではなく打ち出し角度に対して垂直」です。地面と平行にスイングするため見た目上ラケット面は「地面と垂直」に近くなりますが「打ち出し角度を上げるならスイング角度も同じ角度で」上がり、インパクトでのラケット面の角度も「打ち出し角度に対して垂直のまま」上がります。この角度が打ち出し角度よりも上を向くとよく言われる「ホームラン」の弾道になります。この点は分かりやすいのではないでしょうか。「打ち出し角度の真後ろから振っていき、インパクト面は打ち出し角度に対して垂直」と考えればよいわけです。

インパクト面は打ち出し角度に対して5~6度のズレに収めるべきですし、ボールに厚く当ててガットにボールを強く噛ませる(ボールをつぶす)ためには、前述の通り、打ち出し角度から極端にスイング角度を変えることはできません。


-- 補足: ボールが曲がる仕組み --

トップスピンのボールは最初から最後まで同じ回転量で回っているイメージがあるかもしれませんが、ラケットから離れた瞬間はスピードがあるので回転量は少なめで、飛んでいきスピードが落ちるのに合わせてどんどん回転量は上がっていきます。

フェデラー選手のフォアハンド (スーパースロー)

youtu.be

軽く回転をかけながら打っているのでラケットから離れた直後からかなり回転していますが、ボールが進むにつれて回転がどんどん速くなっているのがわかると思います。

垂直方向に回転するボールは重力以外に「ベルヌーイの定理」により上側と下側で空気の流れる圧力に差が生じ、「マグヌス効果」により回転する方向に垂直方向の力が発生しこれにより曲がります。ボール速度が落ちれば回転量が増すのは空気抵抗の影響が大きくなるからですね。

マグナス効果の図 - ボールは左向きにバックスピン(スライス回転)で進むと上向きの揚力を得る。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/15/Sketch_of_Magnus_effect_with_streamlines_and_turbulent_wake.svg/2000px-Sketch_of_Magnus_effect_with_streamlines_and_turbulent_wake.svg.png

トップスピンのボールが下に落ちるのは下向きの力が働くからです。マグナス効果により発生する垂直方向の力は、ボールスピードがあがるほど、回転が多くなるほど大きくなるようです。(蛇足ですが、速度のない回転力のない遅いフラットサーブなどは空気抵抗による "おじぎ" によって入っているわけです。)

-- 補足 終わり --



スイングBのように「ボールが強く変形した状態」「スイング角度も極端に取れない = 打ち出し角度に向けて強く振る」中でスピンをかけるには「インパクトでボールの中心から上側により力を加える必要がある」はずです。

そのためには、上記5~6度の範囲でラケット面の角度を変えてインパクト時のラケット面をややかぶせる形にするのも一つの方法ではあります。

トップスピンをかけるスイング例 B'

f:id:a-londenion:20161010083656j:plain


ただ、面を被せるのはインパクトの角度を作るのがわかりづらいし、打ち出し角度に対してまっすぐ後ろから打つと考えるのはわかりやすいのでそれを活かしたいたいです。

そこで、ラケットスイングは地面と水平に近いこと (このことは体の軸が地面に対して垂直であることも意味します) を考えると、テイクバックからグリップ側に遅れて追従してきたラケットヘッドが手首を追い越し、更に前に進んでいくことを補助するために「肩(腕)のインターナルローテーション(内旋)」と「上腕のプロネーション(回内)」で、ラケットヘッド側が水平に近いスイングからインパクト直前に上方向に引き上げる動作 をうまく使うことがポイントになると思っています。

ラケット軌道の例

youtu.be

 
フェデラー選手のインパクト面の起こし方

youtu.be


強くラケットを振れば、加速したラケットヘッド側はインパクト後にグリップよりも前方に「慣性の法則で勝手に」進んでいくので「内旋」「回内」を使って(イメージ的に言えば手首を返して)やる必要があるのは想像できると思います。


プロ選手のストロークをスローモーションで見てみると、インパクト前後のラケットスイングはほぼ地面と水平という感じで、(厳密に言うなら)前述の通り「ボールの打ち出し角度に向けて後ろからまっすぐ振っている、厚くボールを捉えている」と言えると思います。(打ち出し角度を上げる場合はスイング角度も同様の角度で上がる。ラケット面も同じ角度で上を向くということ。)

ジョコビッチ選手のフォアハンド

youtu.be


錦織選手のフォアハンド
youtu.be


多くがイメージするスイング例 Aが間違っているということではなく、ゆっくりしたスイングや敢えて薄い当たりをする場合はボールが変形しづらいのでこういう打ち方は必要だと思います。逆に一般によく言われる「ボールをつぶす」打ち方、つまり、速いスイングスピードとしっかりボールを捉えることでボールに強く運動エネルギーを伝えるのであれば、ボールは変形しガットに強く噛んだ状態になる。その際のスイング角度を考えれば、スイング例 Aのような内容では状況に合わないだろうと思っている訳です。

「強く打つ」「ボールをつぶす」といった漠然としたイメージではなく、それを起こすためには? その中でスピンをかけるには? といった視点でスイングを考える必要が絶対必要です。また、今回の要素も一つの側面でしかないので、様々な条件を複合的に組み合わせられる柔軟性も大切になると思います。

follow us in feedly