lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

プロのフォームを参考にする? (テニス)

テニスをやっていると「好きなプロ選手のフォームを参考にしようとマネしてみること」は定番の取り組みです。

ただ、以前にも書いたように、目に見える打ち方や固有の形をマネするのは『形態模写芸』であり、プロ野球選手の打席をそっくり再現できるモノマネ芸人さんがヒットを打てるわけではないように選手のフォームを再現するのはテニス的には "あまり" 意味がないです。

例外的に子供達は他人のマネをすることで無意識に体の使い方を再現してしまう特性に優れているのでこういうモノマネは「有り」です。ただ、大人になると形の再現にこだわりどう体を使うかという部分に結びつかないので意味が薄れます。


考えるべきは、選手がどういう体の使いかたをしていることにより、間に見えるフォームとして再現されているかという点で、体の使い方を理解すれば、選手がどういう風に打っているか私達にも理解できるようになります。

ここで大事なのは「プロ選手もテニス初心者もボールを打つ体の使い方は同じ」という点です。


こう書くと、プロ選手と素人は筋力や鍛え方が違う、同じように打てる訳がないという意見もあるでしょうが、テニス以外で考えてみるとプロ野球のピッチャーと小学生ピッチャーで投げ方が違うということはないです。体の大きさによる違いはあっても基本的な体の使い方は変わりません。同様にプロゴルファーと小学生ゴルフファーの打ち方が違うということもないですよね。体を使って強くボールを飛ばすという基本的な体の使い方は人本来のものでプロやアマといった差に関係ないということです。

プロ選手が行っているボールを打つための体の使い方は、自分がテニスを始めたばかりの初心者であっても同じように行えるし行うべきです。ただ、知識がない状態で細かく難しい説明を受けても理解できないので、その人のレベルに合わせて同じ体の動かし方でもよりシンプルなポイントで再現できるよう工夫して説明、指導してあげる必要があります。


ただ、必要な情報を学び理解するには障害があります。

1)情報が得られない
プロ選手のようなボールを打つ際の体の使い方を解説した情報は身近に目に見える形で手に入らない。スクールコーチも教えてはくれない。本気で学ぶなら海外の著名な研究科者の解説書(英語)を読むなど。YouTube(主に英語)で見られる情報も断片的である。

2)見聞きするのは「コツ」ばかり
現状、テニス解説といえば「コツ」の列挙ばかり。本来「コツ」とはその技術の基礎ができている人がより良くするための情報で、基本ができていない人を習得状態(0-100なら50の位置)まで引き上げるものではない。技術を習得するのは基本的理解であり、コツを追いかけても未習得の人が50にはならない。

「コツ」には感覚的表現も多く解説にあたって科学的検証や補足がされているわけでもないです。感覚的表現は人によって理解は様々で共通理解は得られません。解説者が説明していても編集で省略されていれば誰も分からないです。一人歩きした「コツ」を見聞きして理解したつもりになるのは上達には弊害にもなります。選手のマネや「コツ」で上達するのは「偶然に自分自身で身につける」僅かな可能性で、根拠がないから調子が悪くなると戻せずまた新しい「コツ」を追いかけます。

ピッチャーなら正しいボールの投げ方をまず身につけるべきで短距離走の選手を目指すなら正しい走り方をまず学ぶべきです。筋力アップや体幹を鍛える、コツを追いかけるのはもっともっと後だろうと思います。ピッチャーはストライクが入らないと試合にならないし短距離選手もタイムという形で即結果が出ます。テニスは直接的に結果 (ボールを的に当てられなければ負けとか)には出ないし、曖昧な技術でもなんとかできてしまう点が「基礎的技術の理解に重きを置かない状況」や「初心者から上級者まで参考にできる科学的根拠に基づく基礎的な情報の編纂」が必要とされないのだろうと思います。

多くの人が「テニスがうまくできない」と言いながら、(自分はできているからと)基礎的理解度を見直すことはせず、「コツ」により楽に短期間での改善を考えますよね。(自分を修得済(50以上)のレベルに置くことで自分の状況を見えなくしています。)


聞いた話では、アメリカはUSPTA (日本でいう日本プロテニス協会) 所属のコーチの活動が盛んだそうです。高校、大学のテニスチーム (アメリカには部活がない) には先生やボランティアと一緒にプロコーチが練習に参加するし、キッズ向けや一般向けにもプロコーチの指導を受けられる機会がたくさんあるようです。USPTAのコーチは標準的な指導方針を皆で共有しているので場所やコーチによって指導が違うとかいうこともないとか。。日本なら、部活は先生は経験者ではなく先輩に教わる位、スクールに入っても昔からの指導方針があり教わるよりとにかくボールを打つことを優先される、雑誌を開けば「プロが教える○○のコツ」とかばかり。日本で一般の人が自身のテニスを上達させるにはなかなか難しい条件がそろっている気がします。