lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

バボラのテニスセンサー機器 「POP」 と「Babolat and PIQ」 (テニス)

バボラのウェラブル機器 POPと Babolat and PIQ

2015年の8月にバボラとPIQ社 (フランス)はテニス用のウェラブル機器製品について提携を発表し、「POP」と「Babolat and PIQ」の2つのセンター製品を発表しました。PIQは「ピーク」と読むようです。

PIQ社はスイス企業 Octonion社のフランスにおける子会社で、センサ向けソフトウェア及びサービスを提供している会社です。テニス用以外にもゴルフ用、スキー用のセンサー機器を販売している会社です。

www.engadget.com

 

  •  
  •  

 

バボラのテニス用センサー機器をどう見ているか

バボラはピュアドライブ、アエロプロドライブ(現行はピュアアエロ)等でPlay版というセンサー内蔵タイプを発売していますが、他社(YONEX、WIilson、HEAD、Price)がSONYのセンサー機器である「スマートセンサー」に対応する中、内蔵型という製品仕様が災いして、バボララケットの人気に比べPlay版の利用が進んでいる状況ではありませんでした。

正直、SONYスマートセンサーもお世辞にも売れているとは言えない状況でしょうが、複数メーカーで使える取り外し式という事で、少なくとも認知度は広まり、見たことがある使ったことがあるという人はそれなりに居るはずです。

精度や製品とのマッチングという面で内蔵型を選んだバボラも、さすがにまずいと思いPIQ社と提携して昨今流行りのウェラブル型(ラケット取り付け型ではなく腕に巻くタイプ)を企画したのだと思います。

当然、SONYのスマートセンサーより後発になりますから、センサー精度や情報取得技術も向上しておりラケットに取り付けなくても同等以上の情報が得られるようになっているのが大きいのだろうと想像します。

バボラ POP

低価格版にあたる「POP」は$90程、昨年の秋に海外では発売済みです。

youtu.be

バボラの日本語サイト (国内代理店であるダンロップマーケティングではなく)には、早い段階でセンターを搭載したPlay版ラケットと平行して、POPの日本語説明は載っていたのですが、国内で販売に関するアナウンス等は今のところありません。

想像ですが、ピュアドライブやアエロプロドライブ等のPlay版ラケットを数量限定のような形で発売したものの、ノーマル版より高い事、ラケットから取り外せない事、故障した際の修理対応等、色々な条件が重なり、ユーザーも積極的に買わないしメーカー側も積極的には売りにくい状況だったはずです。海外で発売を開始した「POP」も電子機器ですから国内では「技適マーク」の取得が必要。発売は市場の状況やタイミングを見定めないと無理だったはずです。

バボラ Babolat and PIQ (ピーク)

そうしている間に、今月位から上位版の「Babolat and PIQ」のレビュー動画がYouTubeに載り始めました。PIQ社のWebでも「オーダー」となっているので、発売が開始されたのかもしれません。

http://cdn.shopify.com/s/files/1/0883/4136/products/babolat-wristband.jpg?v=1454602551

youtu.be


POPが9軸分のセンサーなのに対し、Babolat and PIQは13軸分のセンサー内蔵、Bluetoothに加えてNFCにも対応で、POPにない内蔵ディスプレイを持っています。スマホアプリや登録した情報を共有できる環境は同じようですが、スマホを見なくてもその場で簡単な確認ができるのはBabolat and PIQの方が便利かもしれません。

これらのセンサー機器とバボラの今後の戦略の関係は?

バボラが今年あると思われていたピュアコントロールとピュアストライクの後継製品をスキップした事で今年発売が予想される新モデルがなくなりました。噂では、今ジャック・ソック選手が使っているアエロストーム型のラケットが今年出るのではないか、また、ドミニク・ティエム選手が使ってる #ProjectOne7 に基づくラケットが2017年にピュアストライクの後継として発売されるのではないかとの予測があります。

これに加えて、あくまで想像ですが、今後ピュアドライブとピュアアエロのPlay版は継続されたとしても、一般向けにはこのウェラブルタイプを押していくのではないかと想像します。SONYスマートセンターと違ってラケットに取り付ける必要すらなくどのラケットを使っていても手に巻くだけでより手軽です。また、SONYスマートセンサーの$199に対し、POPなら$90、上位版のBabolat and PIQでも$179です。本格的に広まればSONYは(売る気があるなら)リニューアルか値下げが必要かもしれません。

テニス用センサー機器を使うメリットはあるのか?

ここ数年で注目度の上がったウェラブル機器をテニスでも使うということで、IT技術を使って自分のテニスを上達させたいと考える人には申し訳ないのですが、個人的には「現状でテニスのセンサー製品を買っても殆どの人が使いこなせない」と考えています。

スイングスピード、ラケットのどの部分に当たった、何回ボールを打った、何時間コートに居た等が情報として分かったとしても、ユーザーにはそれを分析する方法がないしメーカー側からもそれに対する答えを提示していないからです。

加えて言えば、スクール等のコーチが居る環境でセンサー機器が導入され、練習の中で「ほらこうなってるでしょ」とデータを提示されても、本人に取って必要なのは "データよりどう改善すればいいか" という情報です。それらは結局コーチが提供する訳で、スクール等の環境、指導方法がこれらを使う前提で変わらなければ意味がないということです。これまでもボールを打っている姿を撮影し、それを見ながら説明するといった手法がありましたが、殆ど効果を生まないのはそのためです。

プロ選手であれれば他の様々情報と合わせて分析する専門家がサポートしていますからね。(最近よく聞くビックデータ向けのデータサイエンティストとテニス専門家が協力して分析してくれる)


アプリの出来はあるでしょうが恐らくバボラもソニーも同様の課題を抱えているはずです。データ解析や使いやすいアプリ、UIはメーカーではなくITスタートアップの得意分野で両社にはちょっと期待できそうにありません。

 

 

 

PlaySightというコート設置型のデータ解析システム

因みに「PlaySight」をというテニスの分析システムをご存知でしょうか? 

www.thetennisdaily.jp

イスラエル発の軍事技術をスポーツに応用したいわゆるIoT系の企業で、米国を中心に世界中に導入が広まっています。ジョコビッチ選手も出資しているとか。日本では千葉県にある吉田記念テニス研修センター (TTC)にしかないので殆ど知られていないと思いますが、コートに設置された6台のカメラで選手やボールの動きを記録、分析し、コート脇にある端末にリアルタイムで情報が表示されます。タブレットやスマホでも参照可能です。

http://www.tennisworld.net.au/wp-content/uploads/2016/04/playsight.png  https://cascade.madmimi.com/promotion_images/0832/5403/original/PlaySight_SmartCourt_interactive_kiosk.png?1474389928


海外の記事を読むとPlaySightの導入コストは1万ドル、運用に月800ドルかかると書いてありますが、ある程度競技志向のプレイヤーであればこういった分析結果まで提示してくれるものでないと意味がないようにも思います。

「体に付けたセンサーで測った結果を見て満足している」のではそれだけの機能しか提供しないメーカーの思うつぼ、いいお客さんという感じです。

望むべき将来はAIがアドバイスしてくれる環境かも

プレイ中のデータを蓄積するなら、IBMのWATSONのような質疑応答可能な人工知能的コンピュータがデータを分析し、過去の膨大なデータと照らし合わせながら、ユーザーに適したアドバイスをしてくれるといった取り組みがあって始めて活きるものだと思っています。

youtu.be

 

https://community.watsonanalytics.com/wp-content/uploads/2016/02/Serena-5.png

Does Serena do better in Grand Slams when she runs more? Watson Analytics breaks it down. – IBM Analytics Communities


SONYなり、バボラなりがどこかのIT企業と組んでこういった分析やコーチングサービスを提供しはじめたら、また、スクールやコーチと提携しはじめたらだいぶ違ってくるかもと思うのですがどうでしょう。そのあたりも含めてのバボラとPIQの提携なのかもしれません。

また、PlaySightのようなシステム導入や、その先のコンピュータが分析、指導までしてくれる環境もそう遠くない期間で実現しそうに思います。ただし、これは全て海外での話です。NECの画像分析等応用できる技術はあると思いますが日本メーカーでこういった分野をやりたがる所はまず無いでしょう。

日本のテニス指導はずっとこのまま?

現状のスクールの指導方法は見直さないといけないのでは?と個人的に思っています。海外から入っている情報は新しくなっていても初心者にテニスを教えるやり方は私が初めてテニスを習った20年以上前とあまり変わっていないのではないでしょうか。

日本のテニス指導はかなりの「鎖国」状態に感じています。海外から有用な仕組みや手段だけ持ってきても使いこなせず効果も出ないのは残念です。