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lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

ラケットメーカーの現状に対する個人的印象 (テニス)

テニス

ラケットメーカーにも時代に応じた流れみたいな物が感じられ「このメーカーはなんか勢いがあるなぁ」と思える製品が続いたりするのですが、現在のラケットメーカー各社の印象について書いてみようと思います。(すいません。試打とかしてない完全に個人的印象です。)

 

1.スリクソン

市販で普通に買えるラケットの中では何気に一番いい流れにあるのかなという気がします。ダンロップブランドからスリクソンブランドに変わり目立たない感じでしたが、地道に研究開発されてきた印象です。ボックスのXシリーズ、ラウンドのVシリーズ共に2年毎の短周期で4代目、CZというボックスとラウンドの複合型のラケットも出しました。製品の熟成という意味はあるのですが大きなと思うのが「ソニックコアテクノロジー」というフレームの厚みは変えず内側に硬質ウレタンを挟み込んで重量を軽くしているのにパワーは増すような構造を出しています。他社は新しいカーボン素材を使ったり、フレームの形を工夫して強度を出していますが、スリクソンだけはラケット重量を新モデルが出る度に軽くする方向で進めていて他社とは違います。(同じパワーが出せるなら日本人には軽いラケットの方が向いているという考え方) Vシリーズはラウンドですが弾くけど飛び過ぎないという最近各社が取っている黄金スペックの改善点をしっかり盛り込んでいます。軽いのに競技モデルというCVシリーズは特異なフレーム形状と新しい提案がうまく市場に受け取られていない印象ですが、女子プロ選手を中心に実績を積んで行けばニーズは出てくる気がします。年配女性がダブルスで使うのにぴったりなSシリーズも、他社に同様のラケットはあるものの他シリーズの派生モデル扱いだったりで入手性も高くないので、日本メーカー製として認知度が上がれば定番になる可能性は十分あると思います。

 

2.ウィルソン

ウィルソンは、歴史ある製品名の系統とか完全無視で新モデルやら派生モデルやら幅広くラインアップを出すメーカーですが、Prostaff97を出す位のタイミングで現行ラインナップを一旦かなり絞った印象です。一時期は、メインとしてProstaff、BURN、Bladeの3モデルしかWebに載ってない感じでした。フェデラー選手の復活でProstaff97はバカ売れし、BURNも日本では好調、旧JUICEの後継にあたるウルトラを出しました。黄金スペックラケットだったJUICEを踏襲してウルトラも似たスペックなのですが「黄金スペック=飛びすぎる」の印象を覆すために、ウルトラは敢えて飛びを抑えた「ウルトラは入る」というキャッチフレーズを取っている位です。他にも新しいラケットを出してラインアップは一時期よりもだいぶ揃ってきてはいますが、状況としては、旧モデルからの振れ幅の大きかったProstaff97で勢いが出て、BURN95で更に上がり、今の製品投入の流れになっている感じです。特に目新しい素材や技術を使ってる感じでもないのですが、ある意味、契約選手のおかげでうまく流れに乗れた感じです。まぁ、ウィルソンは製品が良くない感じの時期でも何とかやってきているのでマーケティングが上手いのなと思います。



今、いい流れにあると思うのはこれらの2社でしょうか。

 

3.ヘッド

ヘッドの最近の流れからすると、ジョコビッチ選手契約と合わせて新しいシリーズであるスピードを追加、シャラポワ選手契約に合わせてインスティンクトを復刻させて、プレステージ、エクストリームと4つのラインナップを構成してます。元々、製品毎の区分がしっかりしていて4つに増えてもそれは保っていたのですが、「グラフィン」というカーボン素材を採用したタイミングで旧製品のスペックを大幅に見直し、ヘッドの印象である玄人好みな部分を払拭して、現代テニスにもマッチし、新規ユーザーを獲得する事を狙った印象でした。現に4シリーズのラケットともラケットパワーは増し、契約選手の活躍もあり、想像ながら日本でも海外でもかなりユーザーを増やしていると思います。ただ、製品の大きな改良で従来からの固定ファンは戸惑っている状況だし、グラフィン採用のインパクトが大きすぎてその2代目となる各製品のモデルチェンジが「変わってはいるんだけどすごく良いという感じでもない」という印象な気がします。前作のモデルチェンジにパワー使いすぎて、いい意味で熟成、悪い意味で現行維持のような状態になっている気がします。2代目を出すタイミングでアピールの仕方を工夫した方がよかったのはないかと思います。(もともとヘッドは製品の自信からかアピールはあまり上手じゃない印象ですが)  なお、ASPというグロメット交換で同じラケットで16x19を16x16のパターンに変更できる機構を投入していますが、Wilsonしかり、Princeしかり、「目の荒いからスピンがかかる」というラケットは本流には成り得ない(お遊び用?)という感じで、もっとスピンをかけたいというニーズは潜在的に大きいもののこういった製品は実際にユーザーからは選ばれない (ノーマルでスピンがかかるラケット及びガットを選ぶ。特殊な製品は嫌..) と思います。

 

4.ヨネックス

正直、2年程前は一番勢いのあるメーカーだなと思っていました。黄金スペック的だったEZONEシリーズをがらっと構造を変えて出したAiがドイツのテニス雑誌で1位に選ばれたり、VCOREシリーズから派生モデルのTourGを出して(一応)使用選手としてワウリンカ選手がグランドスラム優勝、こだわりの高級モデルとしてREGNAを出して話題になったりと、大胆な仕様変更がいい結果を生み、それが次のモデルの仕様にも活かされて、いい意味で勢いがどんどん加速していた気がします。ただ、去年、Tourシリーズの後継であるTourFで16x21のストリングパターンと空気抵抗を減らすためのフィン(波)をヘッド部分に入れたりと少し潮目に入ったかなと思いました。(厳密にはその前のVCORE SIが地味だったのですが人気モデルではないので目立たなかった) 以降、EZONE DR、直近のVCORE Duel Gと何か微妙なモデルチェンジになっています。ヘッドと同じでいい意味で熟成、悪い意味でネタ切れ?? という感じでしょうか。契約選手は、ワウリンカ選手、ケルバー選手、ヒンギス選手と好調ですし、キリオス選手、チョリッチ選手と目立ってはいるのですが、ヨネックスに限っては契約選手の活躍が直接的に売れ具合には反映されていない印象もあります。ちょっと勢いが落ちてきてる。そんな印象です。



ヘッドとヨネックスについてはここ数年の勢いから少し踊り場にいる印象ですね。

 

5.バボラ

ブログでも何度か書いていますが結構深刻だと思います。ピュアドライブで「黄金スペック」絶対論を作り、ナダル選手の活躍でアエロプロドライブも大人気。多くのプロ選手がアエロプロドライブを使う状況になりました。ただ、それ以外のラインアップである、ピュアストーム(現行はピュアコントロールに名称が戻る)は地味な存在、新規投入したピュアストライクは、バボラが他シリーズとの差別化のため、「ライジングで打つためのラケット」と変な設定をしたお陰で「キワモノラケット」扱いされ、試打程度で「使いづらい」と酷評されている状況です。ピュアドライブが登場したのは20年前、ピュアドライブ一人勝ちだった「黄金スペック」市場も、他社が対抗上、「フレームはボックス形状のようにしっかりしていて黄金スペックでも飛び過ぎない」ラケットを投入してきているこの2年位で状況が一変してきています。プロ選手の使用率がピュアドライブよりアエロプロドライブの方が高いのを見ても分かるように、ラケットとしてはアエロプロドライブの方がバランスがよく、ピュアドライブは現在で言えば設計が古すぎる状態だと思います。ただ、バボラはこの2製品以外のモデルチェンジがうまく行っていない事から、大きな冒険を避けたモデルチェンジを繰り返して来ており、製品の方向性について自信がないのだろうと想像します。現行のピュアドライブはストリングパターンを上方向にズラして現代テニスにマッチしている事をアピールしましたが一般ユーザーにはピンと来なかったと思います。続いで出たピュアアエロはアエロプロドライブからかなり変更を加えた新モデルではありますが、市場での評価は否定的な意見が多く、契約プロもカラーリングは変えてもアエロプロドライブ相当のラケットを今も使い続けている状況です。

バボラの動きとしては、ジャック・ソックを使って「アエロストーム」的なラケットを復刻(#sockIn16)を狙っているようだし、今勢いのある若手のドミニク・ティエム選手を使ってピュアストライクの後継製品(#ProjectOne7)を計画しているようです。今年予想されていたピュアコントロールとピュアストライクを統合する話はスルーして時間を稼いでいる気もします。(ピュアコントロールを使用していた契約プロはピュアストライクカラーのピュアコントロールタイプのラケットを使用中です)

プロジェクトコード通りなら、今年、アエロストームタイプ、来年、ピュアストライクタイプ、及びピュアコントロールタイプの製品が出るかもしれませんが、直近の試金石になるのは、2018年に出るである次期ピュアドライブの出来だと思います。そんな事はないと思いますが、しっかりとした方向性、メッセージをユーザーに示さず、びびってお茶を濁すような事になると「ピュアドライブはもう過去のラケット」という評価になりかねないかなとも思います。実際、新しい製品に感心を持つタイプのユーザーは数代前からピュアドライブを選ばなくなっているのではないでしょうか。

 

6.プリンス

プリンスと言えば、20年前まで位は、ウィルソン、ヘッドと並ぶ人気メーカー、マイケル・チャン選手のイメージで当時10万近いラケットがバカ売れしたと聞いています。その後、新テクノロジーとしてフレームに穴の空いたO3技術を投入しましたが、確かに機構自体に意味はあるもののメーカー人気を維持させる程のインパクトはなく、EXO3に進化させましたが、そもそもがユーザーが求める部分とマッチしきれていない(好きな人は好きだが、嫌いな人は嫌い)という状態で、EXO3に固執した印象で、新製品が出ても新しさや魅力を打ち出しきれず人気は低下、結局、旧グラファイトの名前を使って、派生モデルや復刻版を出して認知度をキープするしかな感じでした。数年前にはEXO3が失敗だと認めて、穴の開いていないモデルを並行的にだすラインナップとなり、結果、製品名を見ただけではどういうラケットか判断できない混沌した感じになりました。2014年にはESPというスピンがかけやすい目の荒い仕様のラケットを出したり、去年は、ヘッドのグラフィンに相当する「テキストリーム」という新しいカーボン素材をラインナップ全体に投入し、製品名やカラーリングで製品群の再定義をしようとしていますが、他社と比べると地味な印象が拭えません。前のブログでも書きましたが、売れないメーカーが使う常套句「うちのラケットは使ってもらえば良さが分かります」と言っている段階で状態は推して知るべしという感じでしょうか。2012年にはプリンスが連邦法適用(倒産)したのもあり、苦しい状態ですが、国内窓口であるグローブライト主体なのか、以前のぱっとしないラインナップだったシューズを日本人の足型に有ったものを専用設計で2年程前から出してきているので、ラケットはともかく、日本人にあった製品つくりというのは、ウィルソンがBURN95Jという名前で旧ハンマー系のラケット(軽くてヘッドが重い)を復刻させたり、アシックスのシューズが日本人の足型に合うと評判を得ていたりと、いい評判を獲得するにはよい方向性なのかなとは思います。分かりませんが、一時期のウィルソンのようにラケットのバリエーションを一時的に絞って、順番に明確なメッセージのあるラケットを出したらどうだろうかと思いますし、製品名も海外では「ウォーリアー」等違う名前を使っているのでこれらを使って新製品的なテストマーケティングをしてみたらとも思いますね。



人気がだいぶ違いますが、バボラとプリンスは少し似た状況にあると思っています。

 

7.その他

その他で言うと気になるのはテクニファイバーですかね。日本ではブリジストンが扱っている感じなのですが、ストリングが好調な勢いを受けて、長らくデザインだけで大きなモデルチェンジをしてなかったらラケットをこの所続けてフルモデルチェンジしているようです。評価的には目立ってこれという点はないが平均点が高く、使いやすいラケットという感じのようです。 T-FIGHTあたりは海外だと325gのモデルまであるのでもう少し人気が出て国内ラインナップも広がると面白かなぁとは思います。

話に出たブリジストンは相変わらずな印象です。Xブレードシリーズを長らく販売してきていて愛用される方もいると思うのですがとにかく地味です。2014にモデルチェンジし、ボックスタイプは旧来の真四角フレームから最近の流れであるやや丸みを帯びたフレームに、新しくVX-Rというラウンドタイプも投入しましたが、スペックが無難過ぎてこれでないとという特徴がありません。ここまで続いてきているのでよいラケットなのだろうとは思いますが、ボックスでも、ラウンドでも他メーカーの製品の方が先に上がる状態は変わらないと思います。勝手な想像ながらブリジストンとしてはデータ蓄積のために続けている感じで売れる事はそこまで目指してないんじゃないかと。そうでなければ愛好者が買い替え続けてくれているとしても、これだけ計画的にモデルチェンジして色んな企画を投入している辻つまが合わない気がします。

他、フォルクルとプロケネックスについてはきちんと新製品を出してきていて、愛用される方はそれぞれ居るのでしょうが、かなりのマイノリティ感はどうしようもないですね。マンティスについては、毎月、テニス雑誌に広告や記事広を出していて、よくお金が続くなぁと思いますが、資金力なのか、国内の販売体制の課題なのか、取扱いを許可された特定店舗での口コミベースでの拡販という感じなので、値段も手頃(定価で2万前後?)で性能も十分なようなのですがちょっと勿体無いかなと思いますね。イギリス、ロンドンのラケットメーカーという点をもう少し打ち出していって、アパレルなんかとうまく組み合わえて行けたら、もっと違った売り方もできる気がするのですが。


別記事: 2016年12月現在の状況について

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