lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

フォアハンドは回転で打つ?? (テニス)

上半身を撚るテイバックと回転で打つフォアハンド

現代的なテニスで考えると、フォアハンドは、(セミ)オープンスタンスで、上半身を中心に撚る事でテイクバックを行い、捻りを戻す事でスイングを行うという形です。

そこで、捻りを戻す際、体を傾けない方がスイングが安定するので、体の中心(背骨というか)を地面と垂直にし、これを軸に体を回転させるイメージでラケットを振ると考えると思います。

ただ、イメージすれば分かるように、体の軸を中心に回転してラケットを振ると腕でラケットの操作を行わない限り(現代的な打ち方では腕は脱力しており、体のひねり戻しに追従して動くため腕でラケット位置を合わせるという意識はない)、ラケットの描く軌道は体の周りを回る「コマのような円の軌道」になります。

つまり、インパクト付近でのボールに対する接点は「点」に近くなるということです。

フォアハンド、体の回転で打つ

これでは打ち出すボールの方向性が「タイミング次第で簡単に変わってしまう」という事に繋がりそうです。

一方、旧来のスクエアスタンスの横向きのテイバックからラケットをまっすぐ押し出すようにスイングする方法では、方向性は出しやすいですが、体の回転より腕を中心にスイングするのでスイングスピードが上がりません。

スクエアスタンスの横向きから打つフォアハンド

 

インパクトの時間は0.004秒位

ボールを打つ際のラケットとボールが接する時間(インパクト時間)は1000分の3-5秒位と言われているため、うまく当たりさえすればスイング軌道が円を描いていてインパクト前後の正しいラケット面がの向きが1瞬しか作られなくても構わないはずですが、スイングの中でラケット面を操作するというのは人間の反応速度(光が付いてボタンを推す機械での反応速度は100分の2秒だとか)上でも不可能なので、インパクト前後のラケット面はできるだけボールを打ち出す方向や角度に長く向いている方が安定しやすいでしょうし、心理的にも安心できるはずです。

※インパクト前後でラケット面を操作する例としての、ボールの上側をリンゴの皮を向くようにこねるスピンのかけ方や、ボールの下側をこねるスライスのかけ方を考えれば分かります。極端にボールが遅ければそういった打ち方でも当てられるでしょうがコントロールが難しいし、ボールスピードが速くなればそういった打ち方では満足に当てることすらできなくなります。

個人的には「基本的にラケットを向けた方向にボールは飛んで行くものだ」と考えているので、スイング及びインパクト後のラケット面はできるだけ長くボールを飛ばしたい方向に向けておきたいです。つまり、体の捻り戻しでパワーを出したいですが、方向性も維持したいです。

 

 

 

体の回転と長くラケット面を向けていくことの両立

ここでヒントになるのが、「両肩と両腰(骨盤)を縦に結ぶ二軸」です。

両肩と両腰(骨盤)を縦に結ぶ二軸

 上半身を「四辺の角度が変わらない長方形」と考えれば、その中心点を軸に回転すれば描く軌道は「円」です。体が回転していくに連れてインパクトの位置からラケットはどんどん遠ざかって行きます。

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しかし、この長方形が「中心点を軸を回転する際、角の角度が変化していって平行四辺形になる」と考えれば、一方の前方の角は「軸からの距離を保ったまま、真横の位置よりも前方に出ていきます。」 (ちょっとわかりづらいでしょうか。)

杉山愛さんがジュニアに指導される企画の番組動画です。 

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指導の中で、体の回転で打つ、テイクバックで肩を入れるというアドバイスの中で、杉山さんは回転に加え、両肩を前後に入れ替える動きの重要さを示されています。(5:50位~)

これが「二軸の入れ替え」で、二軸の入れ替えを行うと単に上体の回転だけで打つよりも、「力強く、テイクバックとスイングが行える」ようになります。

やってみるとわかりますが、軸の回転で打つ際に「円軌道」だったラケットスイングが、二軸の入れ替えを行う事で前方向に動く要素が生まれ、陸上競技のトラックのような「オーバル (円の一部が直線になった形)状になる」ことがわかります。

本で同じようなことを読んでいた

私は以前この二軸の入れ替えという考え方を黒岩高徳コーチの「スイングは骨を動かせ!!」という書籍で読んでいました。

黒岩コーチは、Tennis Classic Breakで連載をお持ちですが、古武道の体の使い方をテニスに応用された考え方をお持ちです。この書籍を読んだ時は2008年位ですが、「二軸の入れ替え」という考え方を説明するテニスの解説は見た事がなく、当時は、変わった指導内容だなと思ったものですが、現在的なテニスを前提に考えると共通する点も多く、かなり先進的な解説だったのかもしれません。現在は、この指導の影響か、他が関係するのか分かりませんが「二軸の入れ替え」という説明を見る機会もあります。

なお、この「二軸の入れ替え」には、インパクト前後でラケット面を長く打ち出し方向に向ける事でスイング軌道を安定させる効果の他、「ボールに伝える力を強くする効果」もあります。

例えば、ボクシングでパンチを繰り出す際に、(利き腕が右手なら) 「右手を伸ばすのに合わせて左手側を手前に引き寄せろ(腕と肩を一直線状にしろ)」というアドバイスがされます。

これは正面を向いた状態で腕だけを伸ばしてパンチを繰り出すよりも、回転と合わせて肩を伸ばして「力点(拳の位置)と腕、肩を一直線に近くした方が力が入る」からです。

「重い物を押す際、体の真横に腕を伸ばした状態よりも腕を前方にまっすぐ伸ばして後ろから押した方が力が入ります」よね。これはてこの原理と同じ力学上の「力のモーメントによる効果」によるものだそうです。テニス的に言えば、「薄いグリップで打つより厚いグリップで打った方が打点が前になるので力が入る」というのと同じ事です。

つまり、二軸を入れ替えて打点をより前に取ることで力がよりボールに伝わる事になります。

まとめ

まとめますと、テニスで「体の回転で打て」と言われる事がありますが、実際に体の回転だけでスイングをすると十分力も入らないし、面の安定性も保ちにくいです。回転に加えて骨盤と肩を結んだ「二軸の入れ替え」を組み合わせる事で、テイクバックからスイングにかけて、「より力強く、安定したスイングを行う事ができる」と考えます。

また、「二軸の入れ替え」で前方方向へラケットを向ける(押す)力が強くなれば、「腕や手を使ってラケットをボールに当てようと操作する (スクエアスタンスでラケットを前方に押す動き)事が必要ない」ので、この点でもよりインパクトが安定する効果もあるかと思います。