lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

女子選手におけるプレイスタイルの変化 (テニス)

近年の女子テニスはセレナ・ウィリアムズ選手を頂点に、次期女王候補と言われる選手達がダンゴ状態で固まっている状態が長く続いてます。今は単独2位はシャラポワ選手でしょうが、イバノビッチ選手、ヤンコビッチ選手、アザレンカ選手、クビトバ選手、ウォズニアッキ選手、ラドバンスカ選手と、基本、強打と才能でランキングを上げ、時にはNo.1になった選手達です。

ただ、女子テニス界は女王グラフ時代からモニカ・セレス時代、一旦ヒンギス時代を経て、ウィリアムズ姉妹時代以降の旧来の女子らしいテニスにパワー感を持ち込んだテニスから長年進化していない印象です。上に上げた選手達もおおよそこの範疇に入ります。

一方の男子選手の方は、サーブアンドボレーの時代、ビックサーバーの時代、道具の進化を活かしたストローカーの時代を経て、今はストロークが強いのは当たり前、サーブも皆200km/h超え、リターンも上手い、フィットネスからボディケアの進化に伴い選手寿命が伸びて30代の選手も多くなり、長々とストロークを打ち合う事はせずに短いポイントで如何に効率よくゲームを取っていくかという戦術/戦略が重要になっている。(ベテランはそのための引き出しも多い。) TOP50以内位の選手であれば皆基礎能力は高くて大会で序盤に当っても簡単には勝てません。TOP選手はTOP選手なりのもう1段階上の引き出しを皆持っている感じです。その上でもジョコビッチ選手、フェデラー選手を含むTOP4はまた別格です。つまり女子テニスとはとても大きな差が付いている状態です。(戦略的にプレイできているのはセレナ選手位でした。) 女子のグランドスラム決勝では、上位シードが残ったとしても相手はその大会で好調な上位シードを破ってきた選手等で、1セット目は競った試合をするものの、1セット目を落とすと、2セット目は案外簡単に負けてしまうというケースが多いです。(2セット目6-1とか) 男子の試合ではまずそういう試合はありえません。

しかし、女子テニスも時代の流れもあり、現代的な戦術を学んだ若い選手が世界中の国からどんどん出てきています。例を上げるなら、ハレプ選手、ブシャール選手、ムグルッサ選手、ガルシア選手、キーズ選手、プリスコバ選手、ベンチッチ選手、ジョルジ選手等々です。

ハレプ選手、及びブシャール選手を除き、皆まだ荒削りな所はありますが、戦略的にボールをコントロールし、速い展開でポイントを取っていける選手達です。彼女達の試合を見ると明らかにポイントの取り方が異なります。

最近、一時の不調から自分のテニスを見つめなおして自分なりのプレイスタイルを見つけてきて調子を上げているイバノビッチ選手と彼女達との対戦を見ると興味深いです。イバノビッチ選手はストローカーではありますが、以前のフォアの強打というよりは、彼女なりに折り合いをつけて安定感を上げてきているサーブからのコントロールされたフォアとバックハンドの組み合わせ、バックはスライスを使ったり、カウンターからの切り返しを使ったり、ドロップショットや前に詰めてボレー等も使う、総合的なプレイスタイルができるようにはなってきています。

ただ、彼女には同年代の選手同様に戦術面が少ないと感じます。ポイントが決まると自分を鼓舞するためにガッツポーズを取りますが、戦略的に相手を追い詰めるコース選択をするというより、来たボールを本能的に打ち返し、結果ウィナー、結果ポイントという印象の方が強いです。ラリーをある程度しないとリズムがでないのか無駄な配球(なんとなく打ったり、バックハンドスライスとかも)も多いです。本来であればもっと戦術的な攻撃パターンを続ければ楽に勝てる所を不用意な配球をしてしまうことでリズムも悪くなり、失点につながっているように感じます。

上記の若手選手達は、強打だけでは勝てない事を自覚していますし、戦略的な配球をすることがジュニアの頃から体に染み付いていると思います。ストレートに、順クロス、逆クロス含め角度を付け、相手をコートの外に追い出して、自分に有利なボールを返球させ、反対側に角度を付けてポイントを取ります。戦略が徹底しているんです。この点がショットの結果でポイントをとっているイバノビッチ選手と戦略的にポイントを取る若手選手の試合運びの差になっていて、最近調子を上げてきていとは言え、イバノビッチ選手が大会のBEST16、BEST8辺りで若手選手に競りはするものの負けている要因になっていると思います。

イバノビッチ選手の例を上げましたが、20代後半に差し掛かっている次期女王候補と呼ばれていた選手達は、同様に戦略面が足りないのかなと思ってます。(ラドバンスカ選手は戦略に長けているような気がしてしまいますが、彼女は相手の返球への抜群な読みの良さとパワーがない分をテクニックでカバーして勝っている選手です。戦略以前に技術がありミスを恐れずコースぎりぎりを付いてくる選手に弱い。(案外振り切る選手程ギリギリに入る。))

ハレプ選手は小柄でパワーがない分、戦略に長けていますし、ランキングが示すように若手の中では安定感で突出しています。フットワークもよく、相手に振られて体勢を崩した状態からも安定してボールを返球することができるバランスの良さがあります。また、彼女に特徴的なショットとしては、フォア、バックで、コートの外に切れる回転をかけたストロークが打てる点があります。錦織選手も多用しますが、フォアなら左側、バックなら右側にコートの外にキレているストロークを普通の場面から使えるので、相手はあと少しが届かずミスをします。このショットを女子で打てる選手は少ないのでとても重要な武器です。

※ブシャール選手だけちょっと例外。戦略面よりライジングを活かしたストロークでねじ伏せようとする印象の方が強い。

セレナ選手のNo.1は彼女が引退するまで変わらないかもしれませんが、私は来年以降の女子のTOP10は次第にハレプ選手を筆頭とする現代的なテニスをする若手選手が占めてくる(20代後半の選手はTOP10から陥落していく)ようになるのではないかと思っています。

単独No.2にいるシャラポワ選手すら例外ではなく、攻略次第ではシャラポワ選手の弱点がわかり、若手選手に付かれることで勝てないケースが増えてくるのではないかと思っています。(彼女も28歳ですし、欠点をカバーするようにプレイスタイル全体の平均点を上げてNo.2まで来ましたが、弱点はあるはずです。)