lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

カーペットコート用テニスシューズを買い替える『NIKE ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー カーペット用』 (テニス)

カーペット用テニスシューズ

外のコートを借りてテニスもやっていますが、通っているテニススクールは室内コートなためカーペット用シューズを着用する必要があります。私がこれまで使ってきた順番から言えば、ヨネックスの4Eタイプ、プリンス、ダンロップ、プリンス、Wilsonという流れです。

直近のWilsonはクッション性がほぼないダイレクトに足で地面を支える感じが好きで使っていたのですが、2年程前のモデルチェンジを機にカーペット用(HC用)の販売を終了してしまいました。元々シューズでシェアの小さいWilsonが更に小さいマーケットであるカーペット用を続けるのがしんどかったのでしょう。母国である米国にはカーペットコート市場はほぼないと思いますし。

Wilson カーペット用テニスシューズ

今回、そのWilsonのカーペット用シューズを消耗に伴う買い替えることにしました。

最初はヨネックスの幅広(4E)タイプを履いていた

テニスを始めた頃はヨネックスの幅広でクッション性の効いた感覚が心地よいと感じて3足位続けて履いていたのですが以下のような点が問題になってきました。

1.動いているとグラグラし、クッション性でフワフワする。

レベルが上がるにつれて、しっかりとシューズを履き紐を締めていないと動きと足の定まりが釣り合わなくなってきました。幅広タイプだと走って止まった際にシューズの中で足がグラグラしてしまいますし、ヨネックスの特徴である走った際の衝撃吸収性 (卵を落としても割れないというヤツ)が逆に「走っていても足がフワフワする」感覚に繋がってきます。砂地を裸足で走るように"走りづらい"と感じてきたのです。

2.時代の流れでシューズの"スポーツ性"の部分が協調されてきている。

10年前は皆「自分は幅広だ。」「幅広タイプの方が楽でいい」と言っていてカーペット用シューズではヨネックス独り勝ち状態だった気がします。

ただ、日本人で3E以上の幅広足の方は1割も居ないそうで、シューズ自体も時代の流れでオールコート用を中心に「元々足裏には脂肪や筋肉があり走る際の大きな衝撃を受け止める力がある。(裸足で走れるのがその例) 下手にシューズ側にクッション吸収性を持たせるのではなく、足の機能や構造を活かしそれをサポートする方向でシューズも設計されるべき」という思想に各社変わってきています。

今やヨネックス以外のメーカーは"走る際の衝撃吸収性"をメリットとしてうたっていませんし、ヨネックス自体以前程目立つ表現をせず、同時に4Eサイズのシューズもラインナップからなくなってしまっています。

スポーツ用シューズという機能性からすれば順当な進み方ですし、以前は「普段履いているスニーカー同様、履いてて楽な方がいい」という考えの方ばかりだったのがシューズに対してしっかりと考えるようになってきていてよいことだと思います。

 

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カーペット用シューズは選択肢が少ない

現状、国内でカーペット用テニスシューズを販売しているのは、ヨネックス、バボラ、プリンス、スリクソン、アシックス、ミズノといったところです。スリクソンとミズノは最近加わった感じですね。

各社が販売しているカーペット用シューズは、オールコート用やオムニ用のラインナップからすれば、中・下位モデルのソールをカーペット仕様にしたものが殆どです。これらの中で他サーフェイス用の上位モデルと共通した機能を持つのはプリンスとミズノ位です。ただ、その分値段もお高めです。(他メーカーのカーペット用シューズが7,000~9,000円位の実売価格だとすれば、プリンスとミズノは11,000円台位)

私は以前プリンスのカーペット用シューズを履いていましたし、ミズノのカーペット用シューズも作りはしっかりしていて興味はあります。

ただ、今回はWilsonのシューズからの変更なのでこれらに戻してしまうのも何か面白くない気がしました。(基本、人と違うものを使いたいのです。。)

オールコート用シューズを履く人も居る

カーペット用シューズは選択肢が少なくデザインも限られてしまうのと、用途別に複数シューズを持ちたくない等の理由もあり、カーペットコートでもオールコート用、時にはオムニ用シューズを使用する方も時折見ます。

ただ、カーペットコートの質も様々で、毛足の長さから硬さ、滑りやすさ(滑りにくさ)を踏まえると、ソールに溝があり、ゴムの歯が噛むように地面にひっかかるオールコート用のシューズを履くのは「転ぶ危険性がとても高くなる」と思います。

カーペット用シューズはソールに溝がないタイプがほとんどで、コート上で止まった際にほんの少しスライドする前提になっています。

カーペット用テニスシューズのソールには溝がないものが多い

このスライドがないとカーペットの毛足に引っかかって止まってしまうのです。ハードコートで止まった際の何倍も摩擦があると思えばいいかもしれません。

ケガをするリスクや走り方をいちいち気にしながら動くのは合理的ではないので安価な製品でもいいのでカーペット用を使用した方がよいのになとは思います。

NIKEのカーペット用テニスシューズ

前置きが長くなりましたが、今回、NIKEのテニスシューズ『ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー (Zoom Vapor 9.5 Tour)」のカーペット用を購入してみました。

NIKE ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー カーペット用1

NIKE ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー カーペット用2

日本では売っていません

前述したようにNIKEは国内でカーペット用のテニスシューズを販売していないのでこのシューズは国内では売っていません。今回も海外のテニス通販サイトであるTennis warehouseのEUサイトから購入しました。

Tenniswarehouseも米国サイトで売っているのは全てオールコート用のようです。クレイとかカーペットとかそういう選択肢や記述自体が存在しません。

一方、EUサイトの方はお国柄というか室内コートも多いのでしょう。NIKE以外でも、ヘッド、K-SWISS、アシックス等のカーペットシューズを販売しています。(実はWilsonも売っているのですが私が使っていたのとは仕様が違います。)

購入価格とか

購入価格は98.24ユーロでした。日本円で12,850円位です。価格からすればプリンスやミズノのカーペットシューズよりも高いですが、ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー自体が12,000円位で販売されているので妥当なのかなと思います。

ただし、ヨーロッパからFedExで送ってもらうのでその送料が36ユーロ(4,700円位)かかります。また、まだ請求書が届いてないのでわかりませんが、シューズはウェアと同様に関税がかかるならもう+1,500円位かかるかもしれません。

つまり、シューズ1足だけ買うのではあれば2万円近くかかることになり、日本にないカーペット用シューズを購入したいからと言って費用がかかりすぎるかもしれませんね。私はラケット他、何点かを一緒に購入しました。

カラーは他に白・青のものもありました。

http://img.tenniswarehouse-europe.com/watermark/rs.php?path=NMZVCWN-1.jpg

 

スクールで利用するならこちらの方がよい気がしますが、何せ、グレーに緑のカラーの方を使いたいですからね。他にAir Zoom Ultra のカーペット用もありました。

 

シューズの内容

NIKEのシューズに詳しいわけではないですが、ソール以外はオールコート用などのズーム ヴェイパー 9.5 ツアーと全く同じだと思います。

違いは完全にソール部分とソールからサイドに上がってきている部分だけです。

NIKE ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー カーペット用3

NIKE ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー カーペット用4

ソールは多少ゴム感が強いです。

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使ったことがある方は少ないでしょうが、Wilsonのカーペット用シューズ(HC用)はソールに多少溝(凹凸)があり、オールコート用のようなゴム感がソール全体にありました。

NIKE ズーム ヴェイパー 9.5 ツアー カーペット用5

気を付けないとカーペットコートでは『ひっかかる』危険性がありますが、Wilsonと違いこのズーム ヴェイパー 9.5 ツアーのカーペット用シューズには溝(凹凸)がないことと、触った感じ、新品時のゴム感(ひっかかり感)は使っていれば少なくなっていくであろう気がします。(新品のオールコート用シューズもゴム感があり、触るとひっかかる感じがしますよね。)

実際に履いてみた感じでも国内で販売されているオールコート用のズーム ヴェイパー 9.5 ツアーと変わらないと思います。以前店頭でためし履きした際、多少小さく感じたのと、今回、初めて購入するリスクこともあり1サイズ大き目の28cmを購入しました。つま先が少し余りますが甲からくるぶしにかけてが多少狭く感じるので大き目を紐でしっかり締める方がいいと思いました。

履いた際に地面から高さがある、つまりソールがそれなりに厚いと思うので、動いた際の目線の高さは最初慣れが必要かもしれません。

クッション性はそれなりに感じますがフワフワした感じはないですね。硬いという感じでもないです。

まだ、届いたばかりで実際コートで使用してはいませんがおそらくWilsonに近い感じで使えるのではないかと思っています。

室内コートで履くと目立ちますね

カーペット用コートでこのシューズは目立つと思います。ズーム ヴェイパー 9.5 ツアーのこの色を知っている人は全員オールコート用だと思うでしょう。

スクールに通っているとフェデラー選手のファンの方で全身フェデラー仕様のウェアを着ている人が居たりしますが、こだわりが強すぎてシューズはオールコート用のNIKEを履いていたりします。そこまでこだわりのある方ならこのシューズを買う敷居は高くないかもしれません。

ちなみに、ソールの注意書きには日本語表記もありました。販売数的に商売にならないでしょうから国内販売されることはないでしょうが、欲しいと思う方はそれなりに居るのだろうなとは思います。

 

サーブを打つ際に理解すべきだろう事柄 1) 腕とラケットの角度 (テニス)

サーブを打つ際に理解すべきだろう事柄

サーブを打つ際に必要であろう事柄はたくさんあると思います。一般に言われる注意点やコツと言われるものまで様々です。でも、私は「〇〇をすればサーブが(テニスが)良くなる」という話が好きではないです。

サーブを打つたびに複数の注意点に気を付けて打つのは無理ですし、「そのコツをやらないとうまく打てない」のなら多分それは皆にはできません。理屈を理解し都度考えなくても出来るようになるものが『皆ができる"サーブを打つ方法"』であると思っています。

サーブにおいて基本となるべき事柄でもたくさんあるでしょうが、最近思う3つのことを1つずつ考えてみたいと思います。

最初は『腕とラケットの角度』についてです。

これはグリップ、サーブを打つ際の腕とラケットの関係性に関わる部分です。

 

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サーブにおける腕とラケットの角度

サーブにおいてはコンチネンタルグリップ等のいわゆる"薄い"グリップで握るように教わります。ただ、今回取り上げるのは、コンチネンタル、イースタンといった一般に言われる握り方ではなく『ラケットを握った際にグリップが手の平に触れている角度』と『スイングする際にラケットと腕(前腕)の角度』の組みあわせのことです。

テニス 手の平の中でグリップはどう手に当たっているか その角度

サーブのインパクトにおける腕とラケットのイメージ

サーブでボールを打つ瞬間(インパクト)における腕とラケットの角度や位置関係は下の図のように 『腕とラケットが一直線になった』イメージだと思います。

テニス サーブのインパクト 腕とラケットが一直線になったイメージ

なお、グリップの厚さにより打点の位置が前後するため、正面から見れば腕とラケットが一直線でも、横から見た場合の腕とラケットの角度や位置関係は違ってきます。

テニス サーブ グリップの厚さにより打点位置が変わる

 

私は『この一般的なインパクトのイメージとされる腕とラケットが一直線になる状態では効率的で速度や回転量のあるサーブを打つことは難しい』と思っています。

理由は『ラケットでボールを打つ際に"腕とラケットには角度が必要"』『角度がなくなってしまうのは人がそうしようと操作するから』です。

この点について考えていきます。

サーブのコツだと言われる"プロネーション"

サーブのコツとして「プロネーションを使えばサーブの威力が上がる」とよく言われます。

腕のプロネーションとは『前腕(肘と手首の間)にある2本の腕が捻じれることで腕が回転する動き』です。

前腕のスピネーションとプロネーション

「手首の関節が回っている」と考えてしまうのは誤りです。

インパクト直前から腕とラケットが一直線になった状態でプロネーションを行う

プロネーションでラケット面がボールを向いていく?

上で触れたような "一般に認識されるインパクトの形"、つまり、"ボールとラケットが触れる前後に腕とラケットが一直線に近くなった状態"でプロネーションが行われるなら下の図のようにラケットの中心を軸にラケット面がクルクルと回るだけです。

ラケットの中心線を軸にラケット面がくるくる回る

プロネーションについて調べたことがある方はこのことが分かると思います。

サーブでプロネーションを行うとラケット面がくるっと回るだけ

これを見て「サーブを打つ際、薄いグリップで打つなら、ラケットは小指側のフレームからボールに近づいていく。ボールを打つためにはラケット面をボールに向ける必要がある。このラケット面をボールに向ける役割を担うのがプロネーションだ」と思う方もいると思います。もちろん『ラケット面がボールを向く』というのもプロネーションの役割です。

ただ、一般に言われる「プロネーションを使えばサーブの威力が上がる」というニュアンスからして"中心線を軸にラケット面が90度ほどくるっと回るだけでボールの速度や回転量が増える"と思えるでしょうか?

プロネーションの説明に合わせプロネーションが物理的にどう作用しボールに影響を与えるかが説明されることがない

サーブにおけるプロネーションの説明に"プロネーションがラケットスイングにどう作用しそれを行うことで何が変わるのか、ボールにどういった効果を生むのか" といった情報が含まれていることはまずありません。

プロネーションを使えばラケットスピードが上がる。振りぬきがよくなる。だからプロネーションを使うべきだ。」

聞きたいのは何故そういうことが起きるかその理屈です。

そうなる理由も説明せずに "とにかく効果があるからやるべきだ" と言うのは乱暴すぎますよね。

プロネーションを使えばラケットスピードが上がる?

因みに厚いグリップで打つように薄いグリップでも最初からラケット面をボールに向けてスイングすることは可能です。

ただ、それだとラケットスピードが上がりません。

「このためフレームからボールに向かわせプロネーションによりラケット面を向ける。その速度が上がりやすい点がプロネーションを使う意味になるのだ」と言うなら、それは「プロネーションではなく、スイング開始時にスピネーションが起こる反動で腕の捻じれが戻っているもの」だと考えます。

ラケットに働く慣性の法則の影響

トロフィーポーズからラケットをスイングする際、物体であるラケットには慣性の法則が働きます。

手に引かれて動き出すグリップ側に対し、ヘッド側は慣性の法則でその場に留まろうとするので、グリップ側から引かれてラケットは動いていくもののヘッド側がその場に留まろうとする力はグリップを引く手をスイング方向と逆方向に引っ張り続けます。

結果起きるのが"ラケットの方向の切替え"であり、"ラケットダウン"と呼ばれる状態です。

テニス サーブ トロフィーポーズからのラケットダウン

※ラケットを引く手がスイング方向の真後ろから引っ張られていると考えればこの状態は理解できます。

テニス サーブ 慣性の法則によりラケットダウンは自然と起きる

サーブのスイング開始時にラケットが小指側のフレームからボールに向かうのは、トロフィーポーズでニュートラル位置にある前腕がスイング開始時にその場に留まろうとするラケットヘッド側に引っ張られることでプロネーションと逆向きの"スピネーション方向に捻じれる"要素があるからです。

手を引く力とラケットを引く手の力が組み合わさってスピネーションは強くなり、そのねじれがスイング中にニュートラルに戻っていく動きによりラケット面はボールに向いていきます。

前腕のスピネーションとプロネーション

テニス サーブ 慣性の法則で留まろうとするラケットに引っ張られスピネーションが起きる

一般にサーブのコツとしてプロネーションが言われる際は、このスピネーションによる初期の捻じれがスイング開始によってニュートラル位置に戻ってボールにラケット面が向いた状態から "更に回転しスイング開始時とは逆向きのフレームが地面を向く位にラケットが回転する" というイメージでしょう。

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結局、一般に言われるプロネーションの説明では、インパクト付近で腕とラケットが一直線に近い状態でラケットの中心線を軸にラケット面がクルクル回るという理解を超えることができないと私は思います。

サーブでプロネーションを行うとラケット面がくるっと回るだけ

ここまででの確認

インパクトの直前に前腕のプロネーションが自然に起きる、或いは人が意図的に起こすとして『腕とラケットが一直線な状態ではラケットの中心線を軸にラケット面が回転するだけだ』と確認できました。

 

 

 

では、腕とラケットに角度があれば何が変わるのか?

下の図を見てください。

直立状態でラケットを持った腕を水平方向に伸ばし、腕とラケットを一直線に近い状態でスピネーション・プロネーションにより前腕を捻じるとやはりラケットはその中心線を軸にクルクルと回転します。

直立状態でラケットを持った腕を水平方向に伸ばす

ラケットの中心線を軸にラケット面がくるくる回る

次に腕とラケットに角度を設けて同じ状態で腕を伸ばします。

ラケットヘッドが上を向いた状態で同じように前腕を捻じるとこうなります。

腕とラケットに角度を設けて同じ状態で腕を伸ばす

プロネーションを行うとラケットが大きく動く

違いが分かるでしょうか?

全く同じ動きで前腕を捻じっているだけなのに腕とラケットに角度を設けるだけでラケット面の移動距離が格段に大きくなるのが分かります。

『棒の回転により棒の先端に付いた物体がクルクル回る』状態と『軸から距離がある位置に物体があり、棒の回転に伴い棒の周りを回っていく』状態といった違いがあるからです。

 

棒の先に着いた物体 棒から距離を置いた位置にある物体 棒を回した場合の動き

これをサーブのスイングに当てはまると...

トロフィーポーズからのスイング開始時のスピネーションによって、小指側のフレームからラケットがボールに向かうとして、

1)腕とラケットが一直線に近くなるスイングでは、肩を中心とした回転軸で腕とラケットは一つの棒のように一体となって直線的にボールに向かっていく。

2)前腕とラケットに角度がある場合、腕は肩を軸とした回転でボールに向かっていくのは同じでも、腕の回転軸とは90度近くズレた(前腕を中心とした)回転軸でラケットヘッドは動いていきます。

腕の回転による1軸の動き 腕とラケットに角度があれば前腕を軸とした回転が追加される

1で、インパクト付近で腕とラケットが一直線に近い状態にある時に稼働しているのは肩の関節ですが、同じ進行方向に腕が動く"上腕の外旋・内旋の動き"だとするなら、2ではこれに前腕のプロネーションの動きが加わる形です。

テニス 腕 外旋・内旋

 

テニス 腕 スピネーション・プロネーション

 フェデラー選手のサーブを見ても腕とラケットは一直線にならず、腕とラケットに角度が残っているために前腕のラインよりも手前側をラケットヘッドが通っているのが分かります。

 ※腕と肩の位置関係も見てほしいのですが、体の回転に合わせて上腕も動いていて回転する中でも上腕の位置は肩の延長線上から動きません。つまり腕を動かして利き腕の肩の腕で腕を振っているのではなく、腕は体の回転についていっているだけだということです。サーブを打つ際、体を回転させて正面を向けた状態で、利き腕の肩の上を背中側からお腹側へまっすぐ腕を動かしてラケットを振るイメージの方が多いと思いますが、それでは腕の動きだけでラケットを振っているということです。ピッチャーの投球を見てもそういった腕の振り方はしない。つまり、そういう腕の振り方では速く力強く振れないということです。次回以降でこの点に触れます。 

腕とラケットに角度があることでプロネーションによりラケットの動く距離が長くなるということ 

スイングにおけるラケットの移動距離が長くなることはラケットが加速しづらくなる (大きなテイクバックから大きなスイングをしようとするのと同じ) 要素ですが、今回の場合、ラケットと腕の角度の違いに関わらずスイング開始からフォロースルーまでの腕の動く距離に違いはないので、ラケットが大きく動くようになる割にラケットスピードを上げるプレイヤーの負荷は大きくないと言えます。逆に、腕とラケットに角度があることでラケットを支えやすくなり、スピネーションからのプロネーションでラケットを加速させやすくなると考えられます。

前腕とラケットに角度があるという事は他のショットでも言われていることである

ボレーの例

ボレーを教わる際に「ラケットヘッドを立てろ」「ラケットヘッドを寝かせてはダメだ」と言われると思います。

テニス ボレー ラケットヘッドを立てる

これも腕とラケットが一直線になるように握る或いは打点の位置を取ると手や腕でラケット面を支える力が弱くなってしまうためです。

直立状態でラケットを持った腕を水平方向に伸ばす

ボレーはスイングできないので、ラケット面を支えることができないとボールの飛びに直結してしまいます。

逆に地面スレスレに落ちてきたボールをすくい上げて打つ場合は遠くまで飛ばす必要もないし、ネットを越すために上に向きにボールを持ち上げないといけないわけですからラケットをしっかり支えるよりもボールを拾える柔軟さを優先して構わないのでラケットヘッドが下がってもいいという事になります。(その点疑問に思う方は多いでしょう。)

ストロークの例

フォアハンドを打つ際、殆どの人は厚いと言われるグリップで打ちますから認識がないかもしれませんが、厚いグリップで打つ場合は、打点が前になり腕を前方に伸ばす形になるので自然と前腕とラケットには角度が付きます。

 

テニス ストローク 腕とラケットに角度があると

厚いグリップで打つ方は「ハンマーグリップ」と言われる握り方をされる場合もありますね。ハンマーグリップでは自然と前腕とラケットに角度が生まれます。

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一方、薄いグリップで打つ場合など打点が体に近くなるのに伴い、腕とラケットを一直線に近い状態で打ってしまうとラケットを支えづらくなります。(※ボレーと違いストロークではスイングを伴うので、"支えづらく"なるのではなく"ボールを飛ばすためのラケットスピードを上げられなくなる"というべきでしょうが) 

直立状態でラケットを持った腕を水平方向に伸ばす 力が入らない

腕の機能を使ってラケットをスイングする、ボールを打つ訳なので フォアハンド、バックハンド、ボレー、サーブ問わず、すべてのショットについてこの「前腕とラケットの角度」があることが重要になるということです。

腕のラケットが一直線になるためには握り方だけでなく手首の角度を調整しなくてはならない

サーブのインパクトで腕とラケットを一直線に近くした状態を取ろうとすると手の平の中でのグリップが当たる位置は腕(前腕)のラインに近い角度になります。

注: 写真はテニスラケットではないですが腕とラケットが一直線に近くなる握り方

腕とラケットが一直線に近くなる握り方

また、握り方だけでは角度の維持が不充分なので"ラケットの握り方に関係なく手首の関節を意図的に曲げてラケットの角度を調整しないと" 腕とラケットを一直線に近い角度に保つことができません。

テニス サーブ 腕とラケットが一直線に近くなるインパクトの形

つまり、『インパクトで腕とラケットは一直線になるのが正しい形だというイメージが本来そうなる必要がない形を作っている。スイング中に自分でインパクトの形を調整して作っているということは、ラケットスピードが上がりにくい、安定したスイングができないという要素になる』と言えます。

前述したようにラケットは慣性の法則の影響を受けます。加速したラケットは"元々"直進運動をし続けようとし、それがラケットが動く軌道の安定を産みます。

人が行うべきは、体の機能や仕組みを理解し、リラックスした状態で短い距離で瞬間的にラケットを加速させることです。

短い距離での加速は加速させるためのエネルギーを小さくできます。大きなテイクバックや大きなスイングをする人がいてもラケットスピードは上がらないのは分かると思います。(長い距離を動かすだけでその分のエネルギーを使う) ラケットの性能も向上しているので短い距離で加速させ打つ方が性能を出やすいでしょう。

スイング開始時に手に引かれて動き出したラケットは、加速により速度を得、回転運動の中心である体よりも遠くにあるラケット、特にヘッド側は体や腕が動く速度よりも速くなり、スイング途中で体や腕を追い越します。体を追い越して以降はスイング開始当初にラケットを手が引っ張っていたのとは逆に、先行し慣性の法則で直進し続けようとするラケットの方が手を引っ張る形になると思っています。

つまり、スイング序盤に短い距離でしっかりとラケットを加速させてやれば、速度を得たラケットは勝手に安定した軌道で進んでいこうとするので、スイングの過程で人がラケットを操作し、ボールに近づけよう、ボールに当てようとする操作がラケットの軌道やラケットスピードを遅くする要素になってしまいます。

 

 

 

素振りをしても実際にボールを打ってもスイングは同じになる

人がラケットをボールに当てるという意識を持たない(操作をしない)なら、素振りをしてもボールを打ってもスイング自体は変わらないのは何となくでも分かると思います。

スイングによりラケットが得た運動エネルギーが接触によりボールに伝わり、ボールは速度と回転を得ますが、伝わる運動エネルギーは全体の一部なのでボールとラケットが接触してもスイングは停止したり急激に減速したりしません。

スイングするのはボールを飛ばすためであり、考えるべきは"スイングの完成"、ラケットの速度を上げて運動エネルギーを大きくすること、安定的なスイング軌道を作ることです。

ボールを飛ばし回転をかけるためにはラケットとボールがきちんと当たらないと(接触しないと)いけないわけですが、手や腕の操作でラケットをボールに当てに行くのではなく、スイング軌道と腕を含めたラケット面までの距離を踏まえてスイングをしっかりとフォロースルーまで完成させ、そのスイングの途中、0.004秒の間、13cmの幅(※)でラケットとボールがたまたま接触している (当てにいっているのではないというのが限りなく基本に近い理想)という感じでしょうか。

※計算上、120km/hでスイングするならインパクト時間と言われる0.004秒の間にラケットとボールは"接触したまま"、13.3cm程進む事になります。つまり、打点は"空中にある一点"ではないということです。

 

鈴木孝男選手のサーブの導入練習の動画

鈴木孝男選手のサーブの導入練習の動画です。ラケットをスムーズに加速させ、ラケットをボールに当てにいく、ぶつけにいくという要素が見られないのが分かると思います。

また、前腕とラケットの角度に注目すると、比較的腕の角度を上げず横振りに近いスイングながらインパクト前後のラケットヘッドは上を向いているのが分かります。つまり、腕とラケットに自然と角度が付く状態でスイングされているということだと思います。当然、意識せずにこうなっているということでしょう。

まとめ

ちょっと説明が難しい内容でしたが、サーブの説明で「サーブのスイング中に頭の横を腕が通過する際、頭に近づきすぎてはいけない。適度に空間ができるようにしなさい。」と言われたことはないでしょうか?

このように腕を真上に伸ばし、頭の横で腕とラケットが一直線になるような状態ではラケットを速く振れないのは感覚的にも分かると思います。

テニス サーブ 腕をまっすぐのばしたインパクト

ただ、なぜ、腕と頭を離す必要があり、頭から腕がどの位離れれば、頭と腕の間にどの位の空間ができればよいのかという説明はされないと思います。

単に「見た目が変だからよくないのだろう」という範疇で理解が終わってしまうはずです。

ピッチャーがボールを投げる際のように速くしっかりとサーブで腕を振る、そのスイングでボールを飛ばし回転をかけるなら、腕が不自然に見えるほど上に上がる状態は不適当だし、腕が上がらなければ (腕の伸ばさなければ) 腕とラケットの角度も自然と生まれる。スイング開始時に腕とラケットは角度が付いているのだから無理のまっすぐになるよう伸ばす必要がないといった理解でもいいと思います。

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次は『サーブのスイングを行う際の腕と体の位置関係と腕の動き方』について確認したいと思っています。この腕と頭の位置関係は次回に関係してきます。

 

ラケットを重くする、軽くするということを考えてみる (テニス)

ラケットを重くする、軽くするというのはどういうことか?

現在、テニスラケットの重量は300g位が平均だと認識されていると思います。これは25年ほど前に登場したバボラのピュアドライブが初心者から上級者まで使えると圧倒的に売れたことに関係しており、100インチ、300gというスペックだったので皆がこれを基準と考えるようになったのだと思います。それ以前、例えばラケットが木製だった時代は女性でも350g以上あるラケットを普通に使っていたと思いますが、メーカーも300gを基準にラインナップを設定している以上、昔はどうだったと言うのは意味がないかもしれません。

テニスラケットの重量については「男性で今280gのラケットを使っている。買い替えにあたり300gのラケットを使うのはどうだろうか?」「女性で280gのラケットを使っている。重すぎるだろうか?」と言った質問を頻繁に見ます。

個人的な意見ですが「300gは薄めの文庫本2冊分の重さ。その重さが重すぎて腕をしっかり振れない人は女性でもまずいない。ラケットには重量バランスもあり、移動しながらの体勢の悪い中で100km/h以上の速度で飛んでくるボールを打つ負担もあるとは言え、280gと300g、1円硬貨20枚、100円硬貨なら4枚ほどの差でいきなりラケットが振れない、扱いにくいという変化が起こるとは考えづらい。今使っている280gのラケットと300gのラケット、今使っている300gのラケットと320gのラケットを打ち比べれば、慣れていない重いラケットの方が使いづらいのは当たり前で、ラケットでもガットでも違いものに変えれば1ヵ月・2ヵ月は使い続けないと慣れることはできない。逆に言えば、280gから300gのラケットに変えても1ヵ月も使い続ければ、前の280gのラケットとの違いを具体的に言えない位に慣れてしまう。人は違いに敏感でもあり、慣れてしまう能力も高いから」と思っています。

ラケット毎の飛ぶ・飛ばない、扱いやすい・扱いづらいも同様で、ラケットの性能というより打って感じる「打感」の好みを言っているだけです。仕方なくでもその扱いづらいラケットを3ヵ月も使えば気にならなくなってしまうでしょう。

代表的なラケットメーカーが「欠点のある悪いラケット」を販売する訳もなく、散々テストした挙句に発売してるのでメーカー戦略上、同様の性能でも差別化のため「敢えて打感を変えてある」訳ですが、ラケットを選び継続して使うためには、重さや打感は慣れるという要素を踏まえて考える必要があります。(一番大事なのはその道具を気に入って使えるということ。単純には、好きなメーカー、好きなプロが使ってるとか、色が好きとかです。)

さて、その上で、ラケットを重くする。軽くするとどういう違いがあるのかを考えてみたいと思います。

 

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ボールを飛ばし回転をかけるのは、スイングよって速度を得たラケットが持つ運動エネルギーがスイング中のボールとの接触によりその一部がボールに伝わるためです。

ラケットの持つ運動エネルギーの大きさは「1/2 x 重量 x 速度 ^2 (2乗)」で計算されます。手に持つラケットは1種類なので単純に言えばラケットスピードが速くなるほどラケットも持つ運動エネルギーは増え、ボールスピード、回転量が増えます。

ただし、ラケットの運動エネルギーがボールに伝わるには「接触」が必要です。

ラケットとボールは固定されていないので、接触の仕方、つまり当たり方によってボールに伝わる運動エネルギーには伝達ロスが生まれます。

きちんとラケットの中央で当たらない他、スピンをかけようとボールの打ち出し角度・方向とスイング角度の乖離が大きくなれば当然正確なインパクトは難しくなり伝達ロスになります。

その他にもインパクト時のラケットのしなり・ブレ・歪みも運動エネルギーの伝達ではロスになります。

"フレームの薄い、いわゆるしなるラケットは『ボールをぐっと掴んでから』飛ばす"と言われますが、ラケットのしなりはボールがラケット(ガット)から離れるまでの僅かな時間(0.004秒)では復元しません。(※ラケットのしなりが復元することでボールが飛ぶのではなく、ボールがラケット面から離れラケットをしならせていた力が抜けるのでしなりが戻るだけだと考えています。)

ラケット(ガット)とボールの接触映像

つまり、"ボールが離れるまではラケットはしなりっぱなし"なのでラケットから伝わる運動エネルギーの伝達ロスになります。これは、金属バットでテニスボールを打てばはるかに飛んでいくことでも分かります。打感を無視すればフレームが硬くしならない・ブレない・歪まないほど運動エネルギーの伝達ロスは小さくなると言えます。

ラケットのしなりとガットのたわみは違う

ボールがガットに接触するとラケットは押され、フレームがしなり、歪み、たわみます。これらは基本的にボールを飛ばし・回転をかけるための運動エネルギーの伝達に関してはロスだと思っています。(基本的にはです。)

これと同時にボールと接触しているガットもボールとの接触で押され『たわみ』ます。

このガットのたわみをトランポリンのように伸びた糸が縮むことでボールを飛ばすと考える事がありますが、トランポリンが人をはね上げるのはバネや生地が伸び・人が沈み込む時間があるからです。トランポリンの上に立ち、瞬間的にトランポリンの面を両足で踏み込んでもその部分が沈み込むだけで上に飛べないことでもわかります。

このことから0.004秒というわずかな時間でたわむラケット面はその復元でボールを飛ばす力は(私たちが考えるほどは)期待できないと思います。

仮にラケットにはるガットがゴムのように伸びる素材だったら、ボールが当たっても当たった箇所が伸びるだけで、せっかくスイングにより発生させた運動エネルギーはそこで吸収され、ボールの飛び・回転には反映されなくなってしまうのは分かるでしょう。

従って、ボールの飛びを考えるならガットもできるだけ硬く張ったり、伸びにくい素材を使ったりする方がラケットからボールに伝わる運動エネルギーのロスを小さくできると考えられます。

ただ、ガットとラケットが違うのは、ボールに接触しているのはガットだけだという点ガットの硬さや伸び、柔らかさのような要素は、人が感じる『打感』に直結します。

あくまで想像ですが「ガットを40ポンドで張ろうが、50ポンドや55ポンドで張ろうがボールの飛びや回転量には大きな差はでない」と考えています。(ラケットの仕様とガットがマッチして最も飛びやすい張りの強さはあるでしょうが。)

緩く張ると回転がかかりやすいと言われますが、70ポンドとか極端に硬く張らなければボールが当たった際のガットの変化はごく僅か(ボール周辺で0.数ミリの違いとか)で物理的な球速や回転量の違いに直接影響を与えるものではないと思っています。

ただ、ガットの違いや張りの強さは人の感じる『打感の違い』に影響するので、打感が硬いと回転がかかりづらい、打感が柔らかいと回転がかけやすいと人が感じてしまうのでしょう。

ガットの種類や張りの強さにこだわるのは構わないと思いますが『飛びや回転量が変わるから』ではなく『打感の違いがあるから』と考えるべきでしょう。ガットは張った直後からどんどん伸びますから昨日と今日で同じ打感とは限りませんし、プロ選手が試合中に頻繁にラケットを変えるのは『ガットが伸びて飛ばなくなるから』というより『伸びて打感が変わるのが嫌だから』だと考えています。

 

 

 

ラケットの重量を変えるということ

前置きが長くなりましたが、ラケット重量が変わるとボールを飛ばし回転をかけることに繋がる運動エネルギーの大きさがどう変化するか計算してみましょう。

※ラケットの持つ運動エネルギーの大きさは「1/2 x ラケット重量 x ラケットスピード ^2 (2乗)」です。

300gのラケットを120km/hでスイングする
1/2 x 300 x 120 ^2 = 2,160,000

320gのラケットを120km/hでスイングする
1/2 x 320 x 120 ^2 = 2,304,000 (300g比 約+6.6%)

280gのラケットを120km/hでスイングする
1/2 x 280 x 120 ^2 = 2,016,000 (300g比 約-6.7%)

ラケット重量の増減は単に掛け算なので重量が増えた分、減った分、そのまま運動エネルギーは増減します。

ラケットを軽くする

では、300gのラケットを使い120km/hでスイングしていた人が280gのラケットを使う場合、同じ大きさの運動エネルギーを生む (同じように当てられるとして同等のボールスピードや回転量を生み出すのに必要)にはラケットスピードをどの位上げればいいのでしょうか?

√2,160,000 ÷ 280 × 2 = 124.2118.. km/h

つまり、300gから280gにラケットを軽くするならラケットスピードをプラス4km/h速くしないと同じ大きさの運動エネルギーが発生できないことになりますね。

ラケットを重くする

逆にラケットを300gから320gに重くした場合、ラケットスピードはどの位落ちても同じ大きさ運動エネルギーが発生できるのかというと

√2,160,000 ÷ 320 × 2 = 116.1895.. km/h

重量の違いは単純に掛け算なので、軽くするのとは逆に20gラケットが重くなっても4km/hスイングスピードが落ちても運動エネルギーの大きさは変わらないと言えます。

ラケットが20g重くなったら急に振れなくなる、スイングスピードが落ちるということはないはず

最初に書いたように300gのラケットは薄手の文庫本2冊分の重さです。このラケットに100円硬貨4枚を張り付けたからといって急に重すぎて振れない、スイングスピードが落ちてしまうということは起こらないだろうと思います。

10gの違い 硬貨で例える 

必要なのは『その重さとラケットに慣れること』だけです。

もちろん、好みはあるので「重い方がいい」とは言いませんが、ラケットを選ぶ際に10g程度の違いに敏感になりすぎだろうとは思います。(その割にガットが伸びることで生じる打感の違いには皆鈍感ですよね。"打感の変化"ではなく"飛びの変化"と認識されていますがそちらの方が物理的影響は大きくないでしょう。)

ラケットスピードを上げれば運動エネルギーは2乗で増えるので、考えるべきは道具を変えることより、安定的にラケットスピードが上がるスイングができること

まとめというか、ラケット重量を重くすればラケットが持つ運動エネルギーは増えた割合分、増加するし、ラケット重量を軽くすれば減らした割合だけラケットスピードを上げる必要が生じます。

従って、ラケット重量は自分が違和感なく扱える範囲で重い方が有利と言えます。扱いやすいというだけで敢えて軽いラケットを使うのはストロークやサーブなどスイングを伴うショットでは不利になるでしょう。(ラケットが軽いと打ち負けると言ったりしますが20g(100円硬貨4枚)軽くなっただけで急にボールに打ち負けるようなことにはならないでしょう。テニスボールの重量は65g程あり、それが速度を持って飛んでくるのですから。

ただ、ラケット重量の変化よりも2乗で増えていくラケットスピードを上げる方を考える方がよりシンプルにラケットの持つ運動エネルギーを増やし、結果的にボールスピードも上がり、ボールの回転量も増えることになります。

分かると思いますが、力任せにラケットを強く振ろうとしても増加するラケットスピードの割合は僅かでしょうし、スイング軌道の安定度は落ち、数十球ラリーする中で毎回力を込めるのは精神的にも肉体的にも披露に繋がります。

また、ラケットスピードは『コツ』の類では大きく改善しないはずです。体全体を使って打つ、運動連鎖を使って打つ、プロネーションを使う、膝の曲げ伸ばしを使う、腕をしならせる、ラケットが遅れて出てくるようにする、インパクトでラケットを止める等々、コツと言われるものを沢山見聞きしますが、大事なことはもっとシンプルなことで『物体であるラケットには慣性の法則が作用する』『ラケットの加速と減速』『これらと体の機能や仕組みの使い方の関係』といったことが初心者の方が最初に教わる内容あるべきだろうと思っています。

男子プロ選手はそういった点を踏まえて体を使いスイングしてボールを打っていると感じます。誰もが持つ体の機能を使うものだからこそ、効率がよく、安定しており、怪我をしづらい打ち方になります。プロだからそういったスイングができている訳ではなく誰でもできるものだからプロも使っている (技術以前に) のでしょう。

ディミトロフ選手のラケットのカラーが不思議な模様に (テニス)

ディミトロフ選手のラケットのカラーリング

ATPツアーがライブ配信している練習コートの映像を見ていて気が付いたのですが、ディミトロフ選手が使っているラケット (PRO STAFF 97S) のカラーリングがまた不思議なことになっていました。

最近のWilsonはカラーリングを変えた宣伝がお好きなようですね。

どうもシティオープンから使っていたようですが、ディミトロフ選手は2回戦から登場して3回戦で負けている(2試合しかやってない)のでGettyimagesの写真があまりありませんでした。

Embed from Getty Images

Embed from Getty Images

写真で見ると、白と赤はわかりますがもう一色グレーが見える気がします。デザインは文字ようのでもあり、幾何学的な模様のようでもありますね。

赤、白、緑 (グレーではなく)ならディミトロフ選手の母国であるブルガリア国旗を意味しているのかなと思ったのますがアップの写真がなくてちょっとわかりません。

なお、PRO STAFFについては近々CV (カウンターベイル)版が出るという話のようなので、その動きと合わせてプロモーションという気もします。

USオープンに向けてアップの写真なり、情報なりも出てくるのだろうと思います。

追記: Wilsonのカスタムサービスでした。

ここまで書いていたら、WilsonのTwitter、Instagramのアカウントで情報が公開されていました。

 

Wilsonが新しくラケットカスタムのサービスを始めるのでそのプロモーションのためだったようです。

Wilson Customization

 

www.wilson.com

サイトを見てみましたが、PRO STAFF、BURN、BLADEの主要モデルで、フレームの色、ラケット面両端のラインの色、グロメットの色、Wilsonのロゴの色、フレーム内側に文字を入れたりできるようです。

Wilson Customization 2

HEADもカスタマイズサービスを提供していますが、今回のWilsonも米国限定のサービスのようです。(ユーザー登録が米国以外選べません。)

どの位ニーズがあるかわかりませんが、国際便の宅配で送れるなら海外からもオーダーできるようになると面白いかもしれませんが。 (国内でサービス提供するのは難しいでしょうから。)

厚いグリップの方がスピンはかかるというのは過去の話かもしれない (テニス)

厚いグリップで打つ方はスピンがかかるという一般認識

テニスを始める際に進められるグリップはセミウエスタングリップあたりですが、一般に言われる共通認識として「厚いグリップで打つ方がトップスピンはかかる」というものがあります。

日本では軟式テニス経験者が多く、硬式テニスに移行する際、ウエスタングリップよりも厚いグリップでボールを打っているのもよく見かけます。海外を見てもこのエクストリームウエスタンといった呼び方がされるグリップで打っている動画(選手、一般含め)はあまり見ません。日本人は身長が高くないのでトップスピンの掛け合いのような打ち合いの中、高い打点で打つにも厚いグリップの方が打ちやすいという話も聞きます。

 

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硬式テニスでトップスピンをかけるようになった経緯は?

昔、テニスラケットは木製でラケット面も小さく、ボールを飛ばすためにはボールに対してまっすぐラケット面を当ててまっすぐ打たないとボールを飛ばない状況だったと思います。それでもボールの速度は遅かったし、そのラケットでボールに回転をかけようとすること自体が難しかったと思います。

その中でも、技術的に難しく今ほど強い回転はかけられなかったにせよトップスピンを武器にする選手が現れ、ラケットがカーボンファイバー製になり、ガットも化学繊維のものに変わりました。結果、一般の人でもボールスピードが上げられるようになり、同時に簡単にスピンもかけられるようになったことで「ストロークはスピンをかけて打つものだ」というのが一般常識になった流れだと思います。

ワイパースイングでトップスピンを打つのが広まる

トップスピン隆盛になった頃、クレイコートを得意とするプロ選手の中で「ワイパースイング」という打ち方が多く見られるようになりました。

"何をもってワイパースイングと言うか"は色々あるでしょうが、腕の肩、肘、手首の関節を内側に曲げる動作を使い、それらを体の内側に巻き込むように動かし急激にラケット、特にラケットヘッド側を引き起こすことでボールに回転をかけようとする打ち方という感じです。

スクールでテニスを始める際、「トップスピンはボールの下側から上側に向かってラケットを振ってかける」と教わりますが、"腕の動きや膝の曲げ伸ばしを使いラケット全体を下から上に持ち上げるように動かしても"ラケットのスピードは上がらないのは想像がつくと思います。(初心者の方が説明される「曲げた膝を伸ばすように」は効果ではなく動作を分かりやすく体感させるためのトレーニングという感じです。)

トップスピンはボールの下側から上側に向かってラケットを振ってかける

ワイパースイングとは"腕の動きでラケット全体を上に動かしていく"のではなく"腕の各関節を曲げていく動作でラケットをより加速させていく"というものだと考えます。

ラケットやガットの進化もあり、全仏オープン等のクレイコートでものすごく回転のかかったボール軌道の高い山なりのストロークを延々と打ち合うプロ選手の試合がTVで流れていました。それらの選手はウエスタングリップ以上の厚いグリップでボールを打っていたりしたので、それも「厚いグリップで打つ方がトップスピンはかかる」という一般認識に繋がったと思います。

 

 

 

テニスは進化し、今現在、極端なワイパースイングで打つプロ選手は居ない

ここで言いたいのは「目でわかるほどの極端なワイパースイングでスピンのかかった山なりのラリーを打ち合っていたのは今から20年以上前」だということです。

テニス(主に男子プロテニス)は進化の歴史です。今は大会出場選手のほぼ全員が200km/h超のサーブを打ち、全員がそれをリターンでき、150km/hを超えるものすごくスピンのかかったストロークを全員が打ち合えます。

過去登場してきた進化の流れ(ビックサーバー、それに対するリターン技術、道具の進化)の全てを男子テニス全体で吸収しそれを出来ることが試合に出られる前提条件になるからです。他スポーツでもそうですが才能で結果を残していいたスーパースターの時代から選手全員がアスリート化してきている時代になっています。

また、体調管理や体のケアの進化により選手寿命が延び、体力を温存するため及び道具及び運動能力の限界によるボールスピードの頭打ちに伴い、ボールの威力ではなく時間を奪い、短い打ち合いでポイントと取るというテニスになってきています。

「現代的なテニス (Modern tennis)」「現代的なフォアハンド (Modern forehand)」という言葉をすることがありますが今や"フォアハンドでいえばワイパースイングでスピンをかける、ボールの下から上にラケットを振ってスピンをかけるという打ち方をしているトップクラスのプロ選手は皆無"だと思います。

それはテニスの進化によりそういった打ち方が非効率だと分かってきたからです。

ボールが飛び・回転がかかる理屈

物体であるボールには物理の原則が影響します。

ボールが飛び回転がかかるのは、スイングによってラケットが運動エネルギーを得て、ラケットとボールが接触することでその一部がボールに伝わるからです。

ラケットの運動エネルギーは「1/2 x ラケット重量 x ラケットスピード ^2 (2乗)」で表すことができ、手に持つラケットは1つだけなので単純に言えばラケットスピードが速くなるほどボールスピードや回転量が増します。

ラケットとボールは固定されておらずラケットの運動エネルギーがボールに伝わるには必ず「接触」が必要なので、ボールとラケットとの当たり方によって伝わるエネルギー量にロスが生まれます。

ラケットには慣性の力がかかる

物体であるラケットには慣性の法則が働きます。

よく電車が発車する際、急停車する際、立っている人が斃れそうになることで例えられるものです。

ラケットには慣性の力が働くので、停止状態にあるテイクバックの位置に留まろうとするラケットはグリップ側から手に引かれて動き始め、"ヘッド側のその場に留まろうとする力"が"グリップ側から引く力"と逆向きに作用するので、"スイング方向に進むグリップ側に対しヘッド側はその軌道の真後ろ方向に手を引っ張ります。ただ、手が引く力の方が留まろうとする力より小さいので追従して動いていきます。

テニス フォアハンド テイクバック

テニス フォアハンド ヘッド側はその軌道の真後ろ方向に手を引っ張る

また、体からより遠い位置にあるヘッド側はスイング途中でグリップ側よりも速度が速くなります。これは「距離=速さx時間」なので同じ角度動く場合中心から遠い位置にある方が長い距離を同じ時間で動く必要があるからです。

前述の真後ろから追従してきたヘッド側は回転運動に伴う遠心力もあり外側に膨らみながら、体が回転する速度、腕が動く速度、グリップ側が動く速度よりも速度が速くなり、結果、腕や体の位置を追い越して、慣性の法則により更に直進しようとします。

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手に持たれているラケットは腕の長さ以上には前に進めないので、体を追い越したラケットは手に引かれる形で進行方向を曲げ、速度を落としながら非利き手方向へのフォロースルーを迎えます。
 

スイングしたラケットの加速度とラケットスピードは体を追い越して以降低下していく

ラケットの加速度(速度が増していく割合)は"テイクバックの停止位置から加速を始めて暫くの範囲が最も速い"です。

遠心力もあり体から距離がより離れる中でラケットが速度も持ちますが、体や腕の位置を追い越して以降は当然"体の回転や腕の動きによりラケットに伝わる力が落ちる"ため、ラケットの加速度、およびラケットの速度(ラケットスピード)はどんどん落ちていきます。

「加速したラケットは体を追い越した後、加速度もラケットスピードも落ちていく」という認識が大事です。

 

 

 

グリップの違いと打点の位置

フォアハンドで自分が"打点"だと自分が思う位置にラケットをセットした際、ボールを打ち出す角度に自然とラケット面が向く打点の位置はグリップの厚さによって自然と変わってきます。

ボールを打つたびに毎回手首の角度を変えるなどしてラケット面を調整することが妥当なはずもないのでこの自然と決まる位置を敢えて変える必要性は薄いです。

その打点位置はグリップが厚くなるほど体の前方に離れていき、グリップが薄くなるほど体に近くなります。

グリップが厚くなるほど打点は体の前方に離れていく

グリップが薄くなるほど打点は体に近くなる

 

「ラケットでボールを打つ」という意識から来る"ラケットをボールに当てようとする操作"はラケット加速を邪魔する

テニスは「ラケットでボールを打つ」ということを目的にボールの打ち方を習います。

皆が「ラケットをボールに当てる」「ラケット面をボールにぶつける」という意識を強く持つので "打点点位置に向かって腕とラケットが一体になって進んでいく"こういったスイングになりがちです。

ラケット面をボールにぶつけようとするスイング

前述の通り、物体であるラケットには慣性の法則が働くので、ラケットヘッド側はスイング軌道真後ろから追従した後、加速し、腕と体の位置を追い越して前に進んでいきます。

これは「ラケットをボールに当てる」のが目的ではないからです。

「スイングの目的はボールを飛ばすため。ボールと飛ばし回転をかけるためにラケットの持つ運動エネルギーを大きくする。そのためにはラケットスピードを安定的に上げる必要がある」ということです。また、それには腕や体のリラックスが必要になります。(リラックス = 脱力 です。)

フェデラー フォアハンド

3DCGとの比較では分かりづらいかもしれませんが、スイング中のラケットヘッドの位置を比べれば違いは分かるかと思います。

打点は"空中の1点"ではない。ラケットはインパクトの間に13cm前進する。

テニスを教わる際「空中の一点である打点」の位置を示され、その位置にラケット面をセットして、「この位置でボールを打つのですよ」と教わります。

ただ、考えてみれば、私たちはボールを飛ばすためにスイングを行っており、そのスピードはプロ選手ほど速くなくても100km/h以上は殆どの人が出せると思います。300gのラケットは薄めの文庫本2冊の重さ、振るのすら難しい方は少ないでしょう。(仮に女性などスイング軌道がフラフラする方は殆どの場合筋力でなく体の使い方の問題です。)

仮に120km/hでスイングするとすれば、インパクト時間と言われる0.004秒程の間にもスイング中のラケットは約13cm (13.33cm)も前方に進んでいる計算になります。

つまり、インパクトの0.004秒の間に13cmラケットが前進する中で、皆が言っている「空中の1点である打点」はその13cmの幅におけるどの位置になりますか? ということです。

 

 

 

厚いグリップでボールを打つということを考える

厚いグリップでボールを打つということは"打点が前になる"ということであり、『1.ラケットの加速度及びラケットスピードの低下』『2.体の仕組みからくるスイング軌道の変化』『3.目からボールが離れることによる正確なインパクトの問題』といった問題が生じます。

1.ラケットの加速度・スピードの低下

ラケットの加速度(速度が増す割合)はテイクバックの停止状態から加速を始めて暫くの間が最も高いです。また、加速する中で体の回転や腕が動くのよりも速度が速くなったラケットヘッド側は体や腕の位置を追い越しますが、体や腕を追い越せばそれ以上ラケットを引く力(=速度を上げる力)は加わらなくなるのでラケットの加速度及びラケットスピードは上がらず逆に低下します。つまり、打点を大きく前に取るとラケットスピードがかなり低下している可能性があるということです。(実感はなくても体に近い位置の方がラケットスピードは速い、ラケットを動かす力が残ってるのは想像が着くと思います。)

※現代的なフォアハンドではなく、腕の力でラケットをボールに当てようというスイングをするとラケットスピードが上がらないので厚いグリップで打点を前にしてしまうと尚更スイングスピードが落ちる懸念があります。

前述した「インパクトの0.004秒にもラケットは13cmも前進している」という事で考えれば、腕を精一杯伸ばした前方の打点で始めてボールと接触するなら、あなたはそこから更に13cmボールの打ち出し角度・方向 (=スイング方向) にラケットを進めていけますか?ということになります。

テニス フォアハンド 打点の位置が体から遠い前方

2.体の仕組みから来るスイング軌道の変化

慣性の力で体や腕を追い越したラケットは更に直進しようとしますが腕の長さ以上は前に進めないので、腕に引っ張られる形で進行方向を曲げ、非利き手側にフォロースルーという形で腕と共に巻き付いていきます。

この際、慣性の力で直進しようとするラケットに腕の方も引っ張られスイングで回転運動を伴うということもあり肘や手首の関節は引っ張る力に対抗するため曲がっていきます。その一つが前腕のプロネーションであり上腕の内旋です。

テニス フォアハンド スイング インパクト直前

テニス フォアハンド インパクト後 腕が曲がりラケットは持ち上がる

腕に引かれることで進行方向を曲げられたラケットは、ラケットが引っ張る力に対応するため腕の関節が曲がることで、ラケットヘッド側は「スイング方向である"前"ではなく"上"方向に」持ち上げられます。

現代的なフォアハンドのスイングではこの関節の動きを利用してスイングスピードを落とさずスピンをかけるのだと考えていますが、厚いグリップで打点を前に取ると純粋に「ボールの打ち出し方向 = スイング方向にはラケットは動かせず、上に持ち上げるしかない」状態になっています。

厚いグリップでボールを打つ男子プロ選手はたくさん居ますが、トッププロを見てみると腕が前方に伸びてしまうほど打点を前に取る選手は居ないと思います。

Embed from Getty Images

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ラケットをスイングする理由はラケットスピードを上げラケットの運動エネルギーを増やしボールを飛ばすことなので、打点が前になり加速度やラケットスピードが落ちている上に、ボールを飛ばすための前方向へのスイングができずラケットヘッドを上に持ち上げる"ただでさえ少なくなっている運動エネルギーを飛びではなく回転ばかりに使う"スイングになります。

これが非常jに厚いグリップでフォアハンドを打つ方のボールが回転はかかっているように見えてボールスピードがないことの理由だと思っています。ラケットを持ち上げる動きはボールの打ち出し角度とスイング軌道のズレを生み、当たりづらくなることで運動エネルギーの伝達ロス (なお一層小さくなる) にも繋がります。

3.正確なインパクト

これはかなりシンプルな事柄です。

利き腕の肩のすぐ前にあるボール大の的と1m先にある同じ大きさの的をそれぞれラケット面で触ると考えれば、前者の方が圧倒的に楽なはずです。これは目から距離が遠くなるほど物体の位置 (距離感) がつかみづらくなるからです。

前に打点がある方が "力が入りやすい" などと言っても、ラケットとボールが正確に当てられなければラケットからボールに伝わる運動エネルギーの伝達には単なるロスなだけです。

単に当たりやすい当たりにくいというだけでなく試合中に何十球もボールを打つと考えれば1回、2回ではなく、それがミスに繋がる可能性にもなります。 

現代的なフォアハンドはラケットスピードの速さでボールを飛ばし回転をかける 

ボールが飛ぶのはラケットから運動エネルギーが伝わるからで、ボールに回転がかかるのはボールの片方の端に他の部分より偏って力が加わるからです。どちらも物理現象なので発生させる要件 (やり方) は何でも構いません。

だから昔風のワイパースイングでラケットを引き上げてもスピンはかかるし、男子プロの多くが行う"現代的なフォアハンド"のように、ラケットに働く物理的な法則とそれを補助する効率的な体の使い方によりラケットを大きく加速させ、そのスピードの速さを利用してボールを飛ばし、回転をかけるやり方も取れます。(もっと極端にラケット全体を垂直に持ち上げても回転はかけられます。当たらないでしょうが。)

ボールを飛ばす運動エネルギーの大きさを決めるのは「ラケットスピードの速さ」「正確な当たり方」ですから、わざわざ「ラケットスピードが上がりにくい」「ボールとあたりにくい」スイングや当たり方をするのは勿体ないと言えます。

繰り返しになりますが、男子トッププロの中で厚いグリップでボールを打っている選手は居ますが、腕が前方に伸びたような状態で打点を前に取り、フォアハンドを打っている選手はまず居ません。

その理由はラケットの加速と速度を保っている範囲はラケットが加速して体を追い越して暫くの間に限られるから。且つ体から離れない方がラケットとボールが当たりやすいし、そもそも現代的なフォアハンドはボールを飛ばすためにボールの打ち出し角度・方向にラケットをスイングする中で回転をかけるから (回転をかけるためにラケットを振り上げてスイングスピードを落とさない) だと思っています。

厚いグリップで打つ方がスピンはかかるというのは「ラケットヘッドを上に持ち上げて回転をかける」という目的には合うでしょうが、それよりも「ラケットスピードを上げることでボールスピード・回転量の両方を上げる」という考え方の方が現代的なスイングと言えるのだろうと思います。

モンフィス選手使用? Wilson ULTRA Tour ウルトラ ツアー (テニス)

Wilson ULTRA Tour (ウィルソン ウルトラ ツアー)

日本でもWilsonの黄金スペックに当たるラケット、ULTRAシリーズの新製品の情報が公開されていますが、日本では発表されていない製品として「ULTRA Tour」というラケットがあるようです。

昨日、今日でネットにも画像が出たりしています。

WilsonのTwitterアカウント

「黒塗りのラケットをモンフィス選手は1年中使っていましたか? Ultra Tour登場」みたいな感じでしょうか。

 

モンフィス選手は今年に入ってから、ラオニッチ選手達が使う現行BLADEの黒緑カラーではなく、黒一色のラケットを使っていました。

その理由が不明な感じだったのですが、ULTRAのモデルチェンジに合せて「Tour」というモデルを使うという流れ (設定?) だったようですね。

 

 

 

ULTRA Tourのスペック

海外のサイトで新ULTRAシリーズの情報を見てみると。

tennisnerd.net

www.tennis.com

明確なデータは見当たらなかったのですが97インチ、18x20、フレーム厚20mm、305gという数字が噂されていました。

現行ULTRAにTourというモデルがないので現行モデルから推測ができないのがはっきりしない要因かもしれません。また、プロ選手が使っている黒塗り版はそもそも市販品とは違うので それらも "新しいプロ使用モデル" として扱われている感じです。(プロが使用するモデルには固有の型番が存在するようですね。)

なお、国内でTourが発売されないなら、BLADEのように日本では16x19版が存在するといった形にはならないと思います。好みはあるでしょうが、私はBLADEは18x20が基本だと思いますから。

因みに旧JUICEにはProというモデルがあった

現ULTRAシリーズに変わる前はJUICEというシリーズだったのですがその頃にProというモデルがありました。

KシリーズのSIX ONE95インチを使い続けていたデルポトロ選手がJUICE Proを使うという噂で、日本でも他モデルと共に発売されたのですが、結局デルポトロ選手が使う事はなく、JUICE Proも早晩、店頭から引きあがられてしまっていたのを思い出します。

wilson JUICE Pro

今回のULTRA Tourはフレーム厚からも黄金スペックと言うよりボックス形状に近い感じだと思うので黄金スペックの範疇で造形を変更していたJUICE Proとは全然違いますが。

分かりませんが、市販されるULTRA Proは他モデル同様に丸みのあるフレームだけど、同じカラーリングで選手達が使っているのは四角い感じにフレームみたいな感じになるのかもしれません。

画像と情報が出てくるのに注目でしょうか。

USオープンシーズンに選手達は使用開始

ULTRAを使用予定の選手は、モンフィス選手、フェリチアーノ・ロペス選手、チョリッチ選手、マディソン・キーズ 選手ということです。ロペス選手は旧ULTRA組ですが、他の3選手はBLADEからの切り替えという形になりますね。(と言ってもチョリッチ選手はモンフィス選手と同じ黒塗りを使っていました。) 

Wilsonのイメージ動画

現在、日本で説明されているULTRAシリーズの中にTourは無いようなのでこのまま国内で発売されないなら、錦織選手が使っているBURN95が以前は海外では発売されていなかった (海外ではBURN100を使っているという説明だった)のと逆の感じになるのかもしれませんね。

想像ですが、新モデルでもULTRAシリーズはピュアドライブやEZONEと競合する黄金スペックの範疇のラケットであり、その中にフレームの薄いProモデルが入ってきてもBLADEやPRO STAFFのユーザーと競合してしまうため、あえて取り扱いから外していあるのかなと思います。BLADEと違って16x19版を用意する程売れないとも思いますからね。

2017年8月1日追記

海外のテニス通販サイト Tenniswarehouse.comがULTRA TOURのインプレ動画を公開していました。 

グリップからラケットフェイスに繋がるスロートの形状からはBLADEとPRO STAFF97の両方の特徴を持っているように見えるでしょうか。PRO STAFFやBLADEよりも率直に飛ぶボックス形状という感じかもしれません。カラーリングはちょっと濃い色の方がテカテカ感が強いので"ポロっ"と塗装が欠けてしまいそう。

写真を見比べるとフレーム形状はUltra Tourだけ他のUltraとは全然違いますね。他はスロート部等がBURNに違い厚みがあります。フレームの厚みは20mmではなく21mmのようです。BLADEとおなじ、PRO STAFFより0.5mm細い位です。

動画におけるTenniswarehouse.comのテスターさん達の感想としてはトラディショナルで昔からあるボックス形状ラケットの打感やタッチがある。パワーやスピンも十分あると言っていますね。

なんかシルエットだけ見るとK-SIXONEの頃にWilsonが出してたフレームが細身だけど100インチ位の面サイズがあるラケット群に似てる気がしました。

 

サーブのコツ?? ボールを飛ばすのはラケットですよという話 (テニス)

一般に聞く「サーブのコツ」

サーブに限りませんがテニスを上達したい方に向けて様々な"コツ"が提供されています。

それぞれニュアンスは伝わってくるのですが、物理的要素などの"理屈"から考えていくと「言いたいことは分かるけど、そうすることで何がどう作用してボールへの影響が変わるの??」という情報がない場合が多いです。「こうする方が力は入ります」「こうすると打点で力は入りません」と言われても「イメージで理解してね!! 私の言ってること分かるでしょ。共感できるでしょ」と言われているような感じです。

今回は、上達したいけどうまくできないという方が多いであろうサーブについて疑問に感じた「コツ」をいくつか考えてみようと思いますが、まず、疑問に思った根拠となった『ボールが飛び・回転がかかる理屈』を少し整理してみましょう。>

 

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「ボールを飛ばすのはラケットですよ」ということ

まず、テニスでは体の機能や仕組みを使ってラケットを加速させてボールを打つわけなのですが、テニスを教わる際に言われるのは、"方法(やり方・打ち方)"の説明が多いです。『体の動かし方』を説明する手法ですね。

「ラケットを加速させるために体をこう動かします。」

「体をこう使うと打点で力が入らないので、こう使います。」

といったものです。

ただ、まず考えるべきだと思うのは「ボールを飛ばし回転をかけるのはラケットである」ということです。少々極端に言えば、「ラケットが十分加速し、安定的にボールに当たるなら、打ち方はどれでもいい」とも言えます。

例えば『ボールを打つ技術はそれほどでも無いのにサーブやストロークの速度だけは他の人より圧倒的に速い人』がたまに居るのを見たことがないでしょうか?

その人は運動経験があったり体が大きかったりするかもしれませんが、単純に言えばラケットを速く振れ、ボールにしっかりと当たっているから速度が出るのです。

ラケットの平均的な重さと言われる300gは"薄手の文庫本2冊程度の重さ"しかありません。プロ選手ほどではなくても本来はある程度、皆が速いと感じる位のボールスピードなら多くの人が出せるし、それがでないのはラケットスピードが遅いから。その理由は筋力やセンスではなくまず基本となる体の使い方ができていなかったりするからです。

でも、考えるべきは「ラケットの振り方」ではなく「ラケットが速度を持ちその速度が落ちない範囲でボールを打つ」ということです。

ボールに直接的に影響を与えられるのはラケット(ラケット面)なので当然ですね。

ボールを飛ばし回転をかけるのはラケットから伝わる運動エネルギーの一部

ボールを飛ばし回転をかけるのは、ラケットとボールが接触することでボールに伝わる運動エネルギーの"一部"です。

ラケットはスイングにより加速、速度を得、運動エネルギーを持ちます。

その大きさは「1/2 x ラケット重量 x ラケットスピード ^2 (2乗)」で表され、手に持つラケットは1種類だけなので単純にはラケットスピードが速くなる程、その運動エネルギーは大きくなると言えます。

※一般的に『スイングスピード = ラケットスピード』という使い方がされるかもしれませんが、手が動く速度 (=グリップが動く速度) とラケットヘッド側が動く速度は違ってくるので、敢えて"ラケットスピード"と言っています。

ラケットには慣性の法則が働く。慣性の法則により止まった物体はその場に留まろうと動く物体は直進運動を続けようとする

スイング開始時、ラケットをグリップ側から引く手に対し、ヘッド側はスイング軌道の真後ろから追従してきます。(腕とラケットを一本の棒のように同一角度で動かすとラケットスピードが上がらない。)

テニス ストローク テイクバックとスイング開始

これは、慣性の法則によりラケットヘッド側はその場に留まろうとするので"スイングにより前進していく手や腕をヘッド側がスイング軌道真後ろ方向に引っ張るため"です。

テニス ストローク スイング開始時慣性の法則で手はラケットに後方に引っ張られる

ただ、手や腕よりも体から遠い位置にあるヘッド側は加速により体の回転や腕の動きよりも速度が速くなります。

これは、「距離 = 速さ x 時間」なので、同じ時間で同じ角度を回転する際、中心から遠い物体の方が長い距離を移動するため、その速度は速くないといけないためです。

中心から遠い物体の方が速度は速くなる

加速し、腕の回転や腕の動きより速度が速くなったラケットヘッド側は腕や体を追い越し市、慣性の法則で更に前進していこうとします。

速度が速くなったラケットヘッド側は腕や体を追し、腕を前方に引っ張る

スイング序盤、ラケットを持つ手を後方に引っ張っていたラケットヘッド側は、体を追い越して以降は逆に"手や腕を前方に引っ張って"いきます。 

回転に伴ってラケットは動いていきますが、体の角度に対して腕やラケットヘッド側が前に出ているのはそういう理由からです。

速度が速くなったラケットヘッド側は腕や体を追し、腕を前方に引っ張る2

"ラケットを手でしっかりと握りしめてしまい、体の回転で、腕とラケットが一体となって動く(回転していく)ようなスイングでは十分なラケットスピードが出ない"のは想像がつくと思います。

腕とラケットが一体となって回転するようなスイングでは十分なラケットスピードが出ない

 

フェデラー選手のフォアハンド

フェデラー選手のフォアハンド

後方から追従してきたラケットのヘッド側が腕や体を追い越して前に進んでいくのがわかりますね。腕の操作だけではこのような変化にはならないのは分かるでしょうか? 

 

サーブのコツに対する疑問

長くなりましたが、サーブのコツや説明で聞く内容で疑問に感じる点についてです。

1.「トロフィーポーズを取り、スイング開始時にラケットダウンを行う」という説明

前述の通り、ラケットには慣性の法則が働くので"スイングの序盤は先行して動いていく手や腕をその場に留まろうとするラケットヘッド側がスイング軌道の真後ろから引っ張り"ます。

結果、ラケットヘッド側が上を向いたトロフィーポーズの状態からスイング開始時の『ラケットダウン』の状態に繋がります。ラケットダウンという状態は勝手に起きるものだと言うことです。

テニス サーブ トロフィーポーズ

テニス サーブ ラケットダウン

ただ、初心者の方にサーブを説明する際、ラケットを上に向かって振るということを体感させるため、予めヘッド側を下げた状態を作り、そこから打点の位置までラケットを持ち上げる動きを体感させるという手順が取られることが多いです。

テニス サーブ 意図的に作るラケットダウン

このことが「ラケットダウンという状態があり、それを作らないといけない」という認識に変化してしまっているように感じるのです。

テニス サーブ 慣性の力で生まれるラケットダウンの状態

 

2. 「腕や肘を先行させてラケットを引っ張り、ラケットは遅れて後から前に出てくる」という説明

これもラケットに働く慣性の力が先行する腕を真後ろから引っ張るという事象に関連するのですが「手や腕を先行させて動かしていき、ラケットヘッドは後から "遅れて" 出てくるようにする」という説明です。

こんな感じ

テニス サーブ 腕や肘が先行してラケットは後から出てくる

これは"サーブを打つ動作と体の使い方が共通するピッチャーの投球からきている"ものだと推測しています。

ただ、考えないといけないことは、体の使い方は共通するとは言えサーブと投球には違いがあるということです。

それは、"飛ぶための運動エネルギーを伝える対象であるボールを直接手に握っている投球"に対し、サーブは"スイングしているラケットでボールを打つ"ということです。

ラケットの長さがある分、ボールに力を加える位置は体から離れていますし、腕とラケットは一体ではないので慣性の法則で動くラケットは腕とは動きや速度が異なります。

スイング開始時は手や腕に引っ張れられることでラケットは動き始めますが、手や腕より速度が増したラケットヘッド側は手や腕・体を追い越していきます。

テニス サーブ ボールに力が伝わる点はラケット面、手や腕ではない

ラケットが進んでいき、手や腕・体の位置を追い越すと手や腕からラケットに伝わる力は小さくなります。つまり、体を追い越して以降は"ラケットの加速度(加速する割合)とラケットスピードは下がってしまう"ということです。

例えば、釣り竿のように自分の体よりもはるかに長い棒を手に持って振ると考えれば、手や腕が体の前に出てしまった後では、棒の先端を体の前に引き出してくるのは難しくなるのは分かると思います。(せっかくスイングしてきたのに引き出すのは肘を伸ばす力か手首の力だけになります。)

テニス サーブ 自分の体よりもはるかに長い棒を手に持って振ると考る

ボールを飛ばし回転をかけるのは"ラケットスピードの速さ"ですから、ラケットスピードが遅くなる前、加速度が残っている範囲でボールを捉えるのが妥当なはずです。

3.サーブにおける打点の位置の示し方

サーブを教わる際に言われる「サーブの打点の位置」トスを上げる際の体の位置を前提に説明されることが多いと思いますが、実際には「ラケットをスイングした際のスイング軌道と体の位置の関係性で示されるべき」だろう思います。

ただ、スイングを行っている際のスイング軌道と体の位置に対して打点の位置を示するのはかなり難しくです。トスを上げる際の体の位置に対して説明する方が簡単ですし聞く方もイメージしやすいですからね。

結果、人によってボールを打つ位置は違ってしまいこういったスイングになったりします。 

テニス サーブ 打点を前に取ってしまう

繰り返しになりますが、"ボールを飛ばし回転をかけるのはボールとの接触によりラケットから伝わる運動エネルギー"です。伝わるエネルギーの大きさは全体の一部でしかないのでラケットとボールの当たり方によって伝達にはロスが生まれます。

ラケットの持つ運動エネルギーの大きさを決めるのは"ラケットスピードの速さ"ですが、スイングで速度を持ったラケットヘッド側が腕や体を追い越して以降は手や腕からラケットに伝わる力が小さくなってしまい、ラケットの加速度やスピードも落ちてしまいます。つまり、「ラケットとボールが接触させるのは、ラケットヘッド側が体を追い越しその加速度やスピード自体が落ちる前である方がよい」はずです。

また、120km/hの速度でラケットがスイングされるとするなら、ラケットとボールが接触するインパクト時間と言われる0.004秒 (0.003~0.005秒とされる)の間にもラケットとボールは接触したまま約13cm前進しています。

インパクトの0.004秒の間にラケットとボールは接触したまま10cm以上前進する

サーブの打点を体に近く取ると言われるとすごく打ちにくいように感じるかもしれませんが、ラケットとボールが当たったその位置から前方に13cm進んでいくと考えればその違和感は消えるのではないかと思います。

逆に、皆が考える"体よりも前にある打点"でラケットとボールが接触するのであれば、『そこから13cm前方にスピードを保ったままラケットをスイングして行けますか?』と疑問に感じてしまいます。

ラケットを握るグリップの厚さよってラケット面が自然とボールの打ち出し角度に向く位置 (打点位置)は変わってくるので、厚いグリップで打つことが多いストロークではグリップの厚さよって考えないといけない事柄でしょうが、少なくとも"コンチネンタル等の薄いグリップで打つことが一般的とされているサーブ"においては、ラケットが加速度とスピードを保っているラケットヘッドが体を追い越した直後位で打つことは合理的なはずです。

同時に、2でも書いたような「ラケットは手に持っており、腕の動きとラケットの動きは異なる」「ラケットは慣性の法則に基づき動いていく」 といった点を踏まえずスイングするのは問題があります。

ボールを飛ばし回転をかけるための力(運動エネルギー)を伝えるのは腕ではなくラケットですから、考えるべきは「腕をどう動かすか。ラケットを振るか」ではなく「ラケットを加速させること。また実際にラケットが速い速度で動いているか」という事の方です。

テニスの説明で言われるのは、"方法や手段"である「ラケットを振り方」ですが「ラケットの動き」の方に目を向けるべきだという感じでしょうか。

 

 

「片手打ちバックハンドの打点は前に取れ」は正しいのか? (テニス)

片手打ちバックハンドは難しい?

私はテニスを始めた時から片手打ちバックハンドですが、スクールで教わったり一般に言われる "片手打ちバックハンドの打ち方やコツ" の類を参考にしたりして散々練習しても一向に上達しませんでした。

でも、今はある程度片手打ちバックハンドで打つことに自信ができました。(うまいということではなく打ち方が分かったと思っているという感じ。) 結局の所、他の方から教わって上達できた部分は全然無くて自分なりに考えることを始めたことで今の状態までたどり着きました。

私は『頭で理解しないとできないタイプ』です。自分なりに片手打ちバックハンドを打てるようになった方もたくさん居るでしょうが、自分が思い浮かべる "トッププロのような打ち方" ができている人は案外少ないと思います。

それは、打ち方(スイング・フォーム)が違うなぁと感じるだけでなく、ミスを恐れてついスライスに逃げてしまうとか、球出しなら打てるけどラリーになるとミスしてしまうとか、思ったようにスピードが出ない・スピンが打てない、そもそも安定してボールが打てない等々です。

今、自分なりに打ち方が分かったと思う要因はやっぱり "手法 (打ち方・やり方)から考えるのではなく「理屈」から考えたこと" だと思っています。

 

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ボールが飛び・回転がかかる理由

ボールが飛び、回転がかかる理由は、スイングによりラケットが速度を持ち、それで得た"全運動エネルギーの一部"がボールとの接触によって伝わるからです。ラケットの持つ運動エネルギーの大きさは「1/2 x ラケット重量 xラケットスピード ^2 (2乗)」で計算され、ラケットは1つなので単純にはラケットスピードが速くなる程、2乗で運動エネルギーは増えてきます。

また、ラケットの運動エネルギーの全てがボールに伝わる訳ではありません。ラケットとボールは固定されておらずエネルギーが伝わるには"接触"です。伝わるのは全体の一部で、ラケット(ガット)とボールの当たり方で伝わり方には多くのロスが生まれます。(ラケットやガットのしなる・歪む・たわむも "エネルギーの伝達に限れば" ロスになる要素です。)

スピンをかけようとボールの打ち出し角度とラケットのスイング角度の差が大きくなれば当然"ラケットとボールが正確に当たるのが難しく"なるし、かすれた当たりなら"ラケットからボールに伝わる運動エネルギーも小さく"なります。

ボールの打ち出し角度・方向に対してラケットを振り上げる打ち方は「正確にも当たらない」し「伝わる運動エネルギーもロスが大きい」ため効率的ではありません。

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ボールの打ち出し角度・方向に対してラケット面は真後ろから90度の角度で当たるのが最も正確に当てられ、効率よく運動エネルギーも伝えられます。ズレても5~6度の間に収めるべきと言われているようです。

ボールの打ち出し角度・方向に対してラケット面は真後ろから90度の角度で当たる

このままでは回転がかからずフラット気味のボールになりますが、まず、「ベースライン中央、地上から80cmの打点からネット中央の2倍の高さ(約1.8m)を通るボールの軌道に必要な打ち出し角度は水平+約5度である」という事実があります。水平+5度で打ち出すだけでネットの2倍の高さを通ってしまうということです。

ネット中央の2倍の高さを超すストロークの打ち出し角度は約5度

よく"インパクトでラケットは地面と垂直"という話を聞きます、正確にはこの"打ち出し角度に対して垂直"です。"水平+5度に打ち出すならラケット面も水平+5度が基本"となります。

ボールに回転がかかるのは物理現象なので、どんな方法であれ「ボールの上側の端に他の部位よりも偏って力が加われば、ボールは飛行中の空気の流れの差により前向きに回転を始める」という理屈があります。

「ラケットはボールの下から上に振れ」と言われますが、それでは前述の通り、ボールとラケット面が接触するのは1点しかなく、正確に当たりづらいです。


図:よく見るスイング方向のイメージ図。でも、"ボールのどの位下から上" なのか (スイング角度)は表していない。ボールは立体なのに平面図で説明するのも違和感。

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図:ボールを飛ばすためにボールの打ち出し角度・方向に向けてラケットをスイングする中でインパクトでボールの上側の端に偏って力が伝われば回転は発生する。

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『ラケットをスイングする理由はボールを飛ばすため』ですから、男子プロ選手はボールを打ちだす角度・方向に向かってラケットをスイングしていき、
ラケットヘッド側を引き起こすことでスイングスピード、スイング方向を維持したままボールの上側により強くラケットからの力(運動エネルギー)を伝えているのだと考えています。

フェデラー選手のフォアハンド

 プロ選手はスイングスピードが速いのでボールが飛ぶスピードを確保した上で十分なスピン量を得ています。

そもそもスイングするのはボールを飛ばすためなのでスイングスピードを落としてまでスピンをかけようとラケットを振り上げる打ち方が効率的なはずもありません。

ラケットには慣性の法則が関係する

ラケットには慣性の法則が働きます。

テイクバックで停止状態にあるラケットは手や腕に引かれグリップ側から動き始めますが、ヘッド側はその場に留まろうとするので、手に引かれるグリップ側を留まろうとするヘッド側は反対方向に引っ張り続けます。

テニス慣性の法則でラケットはその場に留まろうとする

ただし、引かれる力の方が強く、スイング方向に加速を始めたヘッド側は、スイングによる回転運動とグリップ側よりも体から遠い位置にあることで、(回転運動の外側にある物体の方が速度は速くなるので) 手や腕の動き、体の回転よりも速度が速くなり、体を追い越して慣性の法則により前に直進していこうとします。

テニス フォアハンド スイングによりラケットは加速する

しかし、手に持たれたラケットは腕の長さ以上には前に進めず、テイクバックからのスイング加速で得られた加速度、およびラケットスピード自体も腕や体を追い越して以降は急激に低下するため、速度が落ちながら腕と共に非利き手側に巻き付いていき、フォロースルーを迎えます。

このラケットヘッド側が慣性の法則で前に進んでいこうとする力は体を追い越して以降も腕を前向きに引っ張ります。逆に腕はその力に対応する(釣り合う)ためにラケットを体の方に引っ張ります。スイングに伴う回転運動もあり、肩・肘・手首の関節を曲げていくことでこのラケットに引かれる力に自然と対応します。

上で「プロ選手はボールを飛ばすためにボールの打ち出し方向に向けてスイングする中でラケットヘッドを引き起こしてラケットスピードは落とさずにスピンをかけている」と書きましたが、腕や手を使って"意図的にラケットを引き起こしている"訳ではありません。それではスイング軌道を操作してスピンをかけるのと同じで人による操作はラケットスピードを低下させます。

「体を追い越して以降も慣性の法則で前進しようとするラケットに腕が引っ張られ、回転運動に伴う遠心力もある。人は腕・肘・手首の関節を自然と曲がっていく動きによりそれらの力に対応しようする。結果、スイング軌道が非利き手方向に曲がっていき、その中でラケットヘッドも持ち上げる」というのが基本となる部分です。

ラケットに腕が引っ張られ、腕の関節が自然と曲がりラケットヘッドが持ち上がる

※遠心力は中心軸から"回転の外側"に物体を引っ張るよう力がかかります。ラケットが進む方向(ボールを打ち出す方向)とは向きが全然違うので「遠心力でボールは飛ばせません。」回転により遠心力がボールの打ち出し方向と方向が合う頃にはボールはラケットから離れています。

ボールを飛ばすためにボールの打ち出し角度・方向に向かってスイングしているので、"ラケットとボールの当たり方はより正確に"なり、"ラケットからボールに伝わる運動エネルギーのロスも小さく"できます。

ラケットをボールに当てる、ラケットをボールにぶつけるという指導

テニスでは「ラケットをボールに当てる」「ラケットをボールぶつける」意識を持たせるよう指導されますが、体の機能や仕組みを使ってラケットが自然と加速し前進していこうとするのを補助できれば、ラケットスピードも上がり、スイング軌道も自然と安定します。むしろ、ラケットをボールに当てようとする意識、ボールに回転をかけようとする意識がスイング軌道を乱し、スイングスピードも上がらず、当たりも悪くします。

個人的にこれらのことが全て含まれているのが、男子プロ選手達の「現代的なフォアハンド (Modern Forehand)」なのだろうと思っています。

インパクトの0.004秒の間にボールとラケットは接触したまま10cm以上も前に動いている

ボールとラケットが接触するインパクトの時間は0.003秒~0.005秒と言われます。仮に一般の人でも実現可能な120km/hでスイングするなら、インパクト時間の0.004秒の間にボールとラケットは接触したまま13cmも前進することになります。

インパクト時間の0.004秒の間にボールとラケットは接触したまま13cmも前進

テニスでは『打点』と空中の一点でボールとラケットが接触するような説明がされますが『その "空中の一点である打点" はこの "13cmラケットが動く幅" の中でどの部分にあたるのですか?』という疑問が起こります。

厚いグリップで打つ際、打点の位置は体の前方に離れていきますが、極端に厚いグリップで打つ方が腕が前方に伸びてしまうほどの位置に打点を設定するなら『そこから13cmも前にラケットを動かせますか?』『体から離れる程、加速度・ラケットスピードが落ちてしまうということを理解していますか?』と言えます。

厚い打点でのインパクト、そこから更に13cmラケットを前進できるか?

 

 

 

これらを片手打ちバックハンドに応用する

最初に述べたように、私は、片手打ちバックハンドの基本、コツと言われる事柄を参考にしても満足に打てるようにはなりませんでした。

私のフォアハンドが改善したのも「現代的なフォアハンドとは何か?」を理屈から考えたためで、自然とこれらを片手打ちバックハンドに応用することを考えました。その結果が大きく改善した要因です。

基本となるのは以下の事柄です

1. スイングする目的はボールを飛ばし、回転をかけるため

2. ボールスピード・回転量に関係するのはラケットスピードと当たり方 (すごくシンプル)

3.ラケットは自然と加速し、安定的なスイング軌道を描く

4.加速したラケットは体を追い越した後に加速度、ラケットスピード共に低下する

5.インパクトの間にもラケットは10cm以上前進している


このことから言えることは「テイクバックの位置からラケットを十分加速させ、ラケットが体を追い越す "加速度が残っており、ラケットスピードが速い範囲内" でラケットとボールを接触させるべきだ」ということです。

片手打ちバックハンドの指導

片手打ちバックハンドの指導では「スイング中は横向きをキープし、打点は体よりも前に取る。利き腕を打点に向けて伸ばすように動かし、同時に体が回転してしまわないように非利き手側は利き腕と反対方向に伸ばしてバランスを取る」と言われます。

こんな感じです。

 

片手打ちバックハンドは打点を前に取る

両腕を広げるような片手打ちバックハンドのフォロースルー

でも、片手打ちバックハンドを練習したことがある方は分かると思いますが、横向きの状態で腕の伸ばすように打点にラケット面を進めていっても、押し出すような動きになり、ボールは強く打てないし、安定して飛ばすことも難しいです。

このため、"テイクバックで体をひねってパワーを出す"とか、"遠心力を使ってラケットを加速させる"とか、スピンをかけるには"インパクトで手首を甲側に返すようにしてラケットを引き起こす"と言われたりします。

このような説明で打てるようになった方は大勢居るのでしょうが、頭で理解しないとダメな私には到底無理で、球出しのボールならともかくラリーになると想定した打点の位置で打てなくなります。(結果、打点をもっと前に取れと言われます。) 相手コートの打ちたい場所に打てないし、スピンも思うようにかけられませんでした。

『現代的な片手打ちバックハンド』を考える

"横向きをキープし両腕を広げるようにスイングを行う片手打ちバックハンド"はラケットが木製の時代には居たのかもしれませんが、現在、トッププロが打っている片手打ちバックハンドは私たちが習うそれとは違っていると感じます。

加えて言えば、初心者がスクールで習う『横向きのスクエアスタンスでテイクバックを取り体重移動をしながらラケットをスイングしていくというフォアハンド』も同様です。

それらは昔から続く指導方法に基づくもので、この20~30年のテニスの進化・スポーツの研究の結果に則してしないと感じるのです。

現代的な片手打ちバックハンドの要素

ラケットをスイングし、ボールが飛ぶという理屈から「現代的な片手打ちバックハンド」を考えるとすれば、

1.テイクバックの位置からラケットを十分加速させていく。(ボールを飛ばし回転をかける運動エネルギーの大きさはラケット重量とラケットスピードで決まる)

2.加速は瞬間的にごく短い距離で行うべき。長い距離を動かすスイング(大きく振る)はラケットを動かすのに大きなエネルギーを必要とするし加速させにくい。

3.ラケット及びラケットヘッドの動きは慣性の法則に基づく。

4.片手打ちバックハンドは利き腕だけで打つので、スイング中の回転運動の中心は利き腕の肩であり、フォアハンドにおける体の中心を軸とした回転とは異なる。

5.インパクトの位置(インパクトの13cmの始まり)は "加速度が保たれており、ラケットスピードが速い、利き腕の肩を追い越した辺り (利き腕の肩の前辺り)" にする。

6.スイングする目的はボールを飛ばすため。ラケットスピードを保ち、安定したインパクトを得るためラケットはボールの打ち出し角度・方向に向けてスイングしていく。スピンをかけようと打ち出し角度・方向とスイング軌道の角度がズレればスイングスピードは低下し当たりも悪くなる。

7.ボールの打ち出し角度・方向に向けラケット面をスイングしていく中で、ボールの中心から上側の端に偏って力(運動エネルギー)を加える。ボールの下から上へのスイングではなくボールの上側に力を伝えるということ。

8.ボールが飛ぶのはラケットとボールが接触するから。接触する前、離れた後にいくらラケットを動かしてもボールに影響は与えられない。打点、フォロースルーなどの"形"を気にするなら "インパクトの時間" を大事にする。

といったことが必要となると考えられます。

 

 

 

実際のスイングを考える

片手打ちバックハンドは利き腕だけでスイングしします。

フォアハンドのテイクバック同様、手に重さを感じないようヘッド側を立ててテイクバックし、スイング開始時にグリップ側から手に引かれるラケットは慣性の法則でその場に留まろうとするヘッド側は手をスイング軌道と逆方向にひっぱります。

ヘッド側が留まろうとする力より手がラケットを引く力の方が強いので、手はヘッド側に逆方向へ引っ張られながらもラケットはスイング軌道上を前進していきます。

ラケットはグリップ側から引かれるが慣性の力でヘッド側は手を反対方向に引っ張る

テイクバックで上半身を軽く捻っているので、グリップ側から引かれて倒れたラケットヘッド側は体の後方(右利きなら左手側)から手に引かれ引き出されてきます。

完全な横向きから腕の曲げ伸ばしだけでラケットを動かすより体の回転に伴い腕を動かせるのでスイングが楽になりますし、ラケットの加速にも繋がります。

片手打ちバックハンドのスイング(横から)1

テイクバックで軽く曲げた肘と、体を捻じったことで非利き手側に引かれた上腕がテイクバックの位置に留まろうとするラケットに引っ張られるので、これに対抗する形で「肩を動かす」「曲がった肘を伸ばしていく」ことでラケットの初期加速を得ます。

片手打ちバックハンドのスイング(横から)2

片手打ちバックハンドは利き腕だけで打つので、回転運動に伴う回転の中心軸はフォアハンドにおける体の中心ではなく利き腕の肩になります。

※片手打ちバックハンドは『横向きをキープしろ』と言われるのは、体が回り肩の位置が動くことは"ラケット軌道の中心軸が動いてくこと"だからです。スイング軌道が不安定になりボールに当たりにくくなるし、ラケットを加速させているのは腕から伝わる力なので、運動の中心軸が動いてしまうラケットに伝わる力(=加速に繋がる)も小さくなります。(テコの原理における支点が動くこと。)

上腕を動かし肘を伸ばしていった先、上腕と前腕が一直線になる辺りにラケットの最大加速の範囲が来るようにします。そこがインパクトである0.004秒の間に13cm動く始まりの位置になるということです。

片手打ちバックハンドのスイング(横から)3

肩の前辺りであれば目の位置からも近いのでボールとラケットの距離感を得やすいです。打点を前に取ろうとすると"後ろからラケット面を通してボールを見るような位置関係"になるので、当てやすいと感じる反面、ボールとラケットの体に対する距離感が把握しづらくなると考えます。

片手打ちバックハンドのスイング(上から)1

片手打ちバックハンドのスイング(上から)2

片手打ちバックハンドのスイング(上から)3

テイクバックの位置から加速し速度を得たラケットは、回転運動に伴う遠心力 (ラケットを回転軸の外側に引っ張る力) もあり、"より"体から遠ざかります。回転運動の中心から遠い物体ほど、同じ時間で同じ角度を動くために必要な移動距離が長くなることからその速度は速くなります。

中心軸から遠い物体の方が速度は速くなる

加速したラケットは、腕の動きよりも速度が速くなることで、体や腕を追い越していき慣性の力で更に前進していこうとしますが、追い越してしまうことで体や腕から加えられていた力が弱くなり、ラケットの加速度(速度が増す割合)、およびラケットスピードも低下します。ラケットは腕の長さ以上に前には進めないので、速度を落としながらフォロースルーに至ります。

スイングする目的はボールを飛ばすため。ボールを飛ばすためにラケットから伝わる運動エネルギーの大きさはスイングスピードで決まるので、ラケットとボールが接触するのはラケットが体を追い越してその速度が低下していく前になる方がよいはずです。

繰り返しますが、体の回転と上腕の動き、曲げた肘を伸ばすことでラケットを加速させてきた中、上腕と腕が一直線になる利き腕の肩の前辺りでラケットとボールが初めて接触するのは妥当なことだと言えます。

ラケットとボールが接触したままの状態で"そこから13cm前進する"と考えれば、その位置を『手前過ぎる』とは思わないはずです。

よく「打点でボールを押す」と言ったりしますが、この"インパクトで13cm前進する要素"は「人がラケットを動かしてボールを押す」のではなく、「速度を持ち慣性の法則で進んでいくラケットの動き」です。ボールが離れてしまえばラケットはボールに影響を与えることはできないので "テイクバックの停止位置から加速し速度を得たラケットが加速度と速度を保った状態でボールに触れるインパクトがいかに大事か"ということでもあります。

スイングはフォロースルーまで続く訳ですが、ボールに影響を与える部分で言えば大事なのはインパクトまででフォロースルーは惰性です。ただし、フォロースルーまで含めてのスイング、そのスイングを完成させるための体の使い方なので "打点が大事だとばかりにインパクトでラケットを止めるような認識"は意味がないです。フォロースルーまで続く一連のスイングを完成させる中で0.004秒間のインパクト時間(ボールとの接触)があるのであってボールの接触とスイングの完成は別の事柄です。("ラケットをボールに当てる"という意識や操作がこれらとマッチしないのは分かるでしょうか?)

片手打ちバックハンドの打点は前に取れという説明

「片手打ちバックハンドの打点は前に取れ。前に取らないと差し込まれて打点で力が入らなくなる。」と言われますが、そもそも"ラケットとボールは固定されていない"のでスイング中にたまたま接触するボールにラケットで力を加える、ラケットで押すと言うのには違和感があります。

"打点を前に取らないと差し込まれる"というのは、前に向けて差し伸ばしたラケット面でボールを押す感覚に他ならないでしょう。ラケット面でボールを押すのならその位置が体に近くなれば肘が曲がり腕が体に近くなることで"前に押せない"と感じます。

ボールを飛ばすためにスイングをしているのですから、テイクバック位置から加速させてきたラケットを回転の軸である利き腕の肩の前で「ボールを飛ばし回転をかけるためラケットスピードが速い位置でボールと接触する」と考える方が妥当です。

「利き腕の肩の前辺り、体のバランスも崩れにくい利き腕側の腰の前辺りでラケットとボールが接触すると考えるなら目からも近く当たりやすい。そこから13cmラケットとボールは前進していく。」と考える方が理屈に合っていると思うのです。

 

トッププロ選手が打つ片手打ちバックハンドを見れば、利き腕の肩を回転軸に振り始めからしっかりと加速させてきたラケットを、その加速度とラケットスピードを活かして、体に近い位置(利き腕の肩の前辺り)からボールに接触させていっていると感じます。(ボールが離れてしまっているフォロースルーではボールは飛びません。フォロースルーはスイングの後半であり、ラケットを加速させた結果ですね。)

フェデラー選手の片手打ちバックハンド

ガスケ選手の片手打ちバックハンド

理屈は現代的なフォアハンドと同様であり、こういったスイングこそが昔から言われる片手打ちバックハンドの打ち方とは違う、現代的な片手打ちバックハンドなのだろうと思っています。

片手打ちバックハンドに限らず、両手打ちバックハンドもフォアハンドやサーブも理屈は同じです。全て、ラケットの加速度とスピードを利用してボールを飛ばし回転をかけていきます。人の操作で飛ばす・回転をかけるのより、よほど安定感がありラケットスピードも上げやすく、技術やコツではなく"理屈"に基づくものなので誰にでもできることです。


実際に考えたり試してみることもなく、世間一般のイメージだけで「片手打ちバックハンドは難しいからワザワザ練習する意味がない」と言ってしまう現状も私たちが教わる片手打ちバックハンドの練習方法同様に大昔の情報から更新されていっていない現れだと思うのです。

 

テニスの指導は手法(打ち方・やり方)の説明ばかりで理屈が欠けている (テニス)

普段触れるテニスの指導は手法の説明ばかり

テニスを続けていて上達したいと思う中、普段私たちが触れている指導は手法 (打ち方・やり方) の説明ばかりで、"それらを実行することで改善される物理的な関係性"を示されることがないと常々感じています。

学校のテストだと思って下さい。

設問:

「サーブにおいて、何故そうするのですか?」

 

解答:

「フェデラー選手がそうしているから」

「その方が力が入るから」

 

子供が言うセリフみたいで解答としては0点だと思います。

 

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テニスを教える・教わるということ

テニスを教えるには教えるノウハウが必要です。どんなにテニスがうまい人でもノウハウがないままでは効果が出ません。サークル内や親子で教えようとしても上達せず関係が気まずくなるのはありがちですね。

このため、成人がテニスを始める唯一の選択肢と言えるのがテニススクールで、スクールでコーチに教わることで"テニスを教えるマニュアル"に基づく指導を受けることができます。

でも、テニスは教わってもなかなか上達しない

スクールでコーチに教わりながらテニスを続けてもなかなか自分が思うほど上達しません。

これには「テニススクールはテニスを教わる場ではなく、お金を払ってテニスをする環境や時間を手に入れるもの。つまり、ボールを打ち合う自分よりも上手い人が居るレンタルコートみたいなものである」という現実もあります。1コート10人以上が1~2名のコーチに教わる訳ですから各自に時間を取って説明してくれるということはありません。上達は自分の取り組み次第です。

自身で少し打てるようになってくると教わる以外の情報を集めようとします。雑誌を見たりインターネットで検索、プロ選手や色んなコーチの動画を見たりです。

でも、スクールに通うだけよりも多少マシかもしれませんが、そこまでやってもやっぱり自分が思う程には上達しません。

テニスは難しいから自分の能力(運動能力・体力・運動センス・運動経験)では足りないのかと思い興味を失いテニスを辞めてしまう方も居るし、上達したいとなお一層テニスに時間を取る方もいます。

そもそも何故テニスを教わっても上達しないのかということ

硬式テニスは日本中で350万人以上が年1回以上プレイをしているスポーツでその数はずっと変わらず推移しています。特定の才能がなければできないほど難しいはずもありません。

では何故、テニスがうまいコーチがいて教えるノウハウもあるテニススクールに通っても、或いは周りのテニス経験者の話、雑誌やインターネットの情報を参考にしても自分が期待する程上達しないのかと言うと、理由として「テニスで教わる内容には"理屈"が欠けている」という面があるからだと思っています。

テニスを教わる際の説明は全て"手法"の話になっている

テニスを教わる際の説明はこんな感じじゃないでしょうか?

「サーブを打つ際、皆さんの腕の形はこうなっていたり、こうなっていたりします。フェデラー選手を見るとこうなっていますね。皆さんのようにしてしまうと手に力が入ってしまうんです。だからこうやりましょう。」

テニス サーブ サンプル画像

「トップスピンをしっかり打つためには腕の形はこうします。皆さんはこうなっています。そうすると力が入りません。ボールに力を伝えるのためも腕はこうしましょう。その方がより強いスピンが打てます。」

テニス フォアハンド サンプル画像

一見、不思議に思わないかもしれませんが、これらの説明の中には『情報』が一切ありません。

"私たちがやってしまう形や打ち方"と"プロ選手がやるような打ち方"の間にどういった違いがあり、そうする事で何が改善されるのか、ボールの飛びにどういった関係性が生まれるのかといった情報が含まれていないのです。

そこにあるのは"手法 (打ち方・やり方) の説明だけ" です。

理屈を踏まえて情報を伝える

例えばですが、

「腕の関節はこういう構造になっていて、この関節はこちらに曲がるし、この関節はこちらには曲がらない。腕を強く振る、つまりラケットスピードを上げるために必要な腕の動きはこうなる。それはピッチャーの投球動作に共通する。何故なら人の体の仕組みや機能は皆大体同じで、様々な運動で皆それを利用しているから。腕の関節をこの角度に保ち、こう腕を動かすことでスムーズにラケットの速度を上げることができる。ボールを飛ばし回転をかけるのはラケットの重さとラケットの速度で決まる。後は正確にラケットがボールに当たること。とてもシンプル。皆のような体の使い方ではラケットスピードが上がらないし、無理に振ろうとすれば体にも負担がかかりスイング軌道も不安定になる」

と説明されれば、"なぜ今の形や打ち方ではダメなのか、ボールを飛ばす回転をかけるためにはラケットスピードと安定した当たりが必要で、修正することでそれらが得られるといこと" が皆理解できます。

1つの説明の中でこれらを伝えるのは大変そうに思うかもしれませんが、ボールが飛び回転がかかる理屈は1つ、体の機能や仕組みや使い方はテニスの全てのショットに共通して関わってくるものです。テニスに限らず全ての人が普段から使っているものでもあり、1度理解すればそれは "基本そのもの" になります。

 

 

 

なぜ、テニスを教える際、手法を説明するのか

そうやってテニスを教えるのが伝統的に続いているからだと推測します。

前述したように、スクールに通っても個別に指導してもらえる訳ではなく、部活で始める方も含め、テニス経験者の殆どは誰かに教えてもらうというより "何かしらの自分なりの工夫でボールを打てるようになってきている" という事情があります。

一般プレイヤーに個性的な打ち方が多いということ

一般のテニスプレイヤーの多くが個性的な打ち方をしていると感じます。

例えば、プロゴルファーは皆同じようなスイングをします。クラブを正確にボールに当てる、ボールを安定的に狙った所まで飛ばすといった精度を考えると、体の仕組みや機能、その使い方に目につくような個性を挟む余地などないためです。

逆にアマチュアのゴルファーは個性的なスイングで打ちますが、それが思った所にボールが飛ばせない理由になるのは想像がつくでしょう。

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スポーツ科学や運動学が研究されている今日では、フォアハンドでボールを打つ、サーブを打つといった状況の中、皆のスイングが似通ってくるのが本来あるべき姿でしょう。

上達する中でスイングに個性が加わるのは良いとしても、"癖"とは体の仕組みや機能に関係なく、普段の生活からくる自分が楽に思う体の使い方をしてしまうことであり、それが運動の結果に有効に働くことは多くないはずです。これからテニスを始める、上達していこうという方なら尚更です。

現状で言えば、テニスは教わるより自分で習得している部分が大きい

話を戻すと、「手法を説明し、後は各自の感覚や理解の中で工夫する」という指導が昔から続いていると思います。

日本ではテニスコートの数が限られるし、限られた指導者に対し大勢が同時に教わるというスタイルが一般的です。これは、学校の教室における先生と生徒の構図に似通っていて「テニスは特別なスポーツで難しいものだからきちんとした人に教えてもらわないとうまくならない」という一般認識もあり、私たちが馴染み深い"学校での勉強・授業"に近い形でテニスの指導方法が構築されてきているのは自然な流れだと言えます。

 

指導する側もそうやって教わってきている。標準化という問題。

そういった指導方法に課題があると言ってもテニスを教える側も自分自身がそうやって教わってきています。日本中、どこのテニススクールに行っても、初心者の方にテニスを教える方法は大差ありません。指導方法が標準化されている状態です。

皆がそうやって教わるからそれが普通、誰も疑問には思わず、他に選択肢があるかどうかなど考えません。その中で練習、上達する以外に考えられないし、上達しないのも自分のせいだと考えてしまいます。

因みに上達しないのはコーチが悪い(教え方が悪い)と言う方がいますが、教わる際は"教える人に対するリスペクト"が絶対に必要です。全く同じ内容を説明されてもトッププロが言うなら信用するでしょう。違いはその人に対する信頼感の違いだけです。スクールのコーチが意地悪で無駄な情報を言うはずもなく、教わる情報は客観的に捉えないと練習の時間を(コーチではなく)自分で無駄にしているだけです。(学校で嫌いな先生の科目ができないのは自分に問題があるということです。)

前述したように成人がテニスを始める唯一と言える選択肢はテニススクールです。コートを借りてテニス経験者に習ってもまず上達しません。そういう意味でこれだけ日本中にテニススクールがあることは素晴らしいことだと思います。

アメリカでのテニス指導の状況

詳しい訳ではありませんが、アメリカにおけるテニス指導方法を見てみると、アメリカ全土に "米国プロテニス協会認定"のコーチがたくさん居て、大学や高校のテニスチーム (アメリカには部活はなく、チームを先生(監督)、コーチ、親御さんのボランティアで支えます)やテニス教室等で指導しています。

全てが1対1で教えてくれる訳ではないですがコートの数もコーチの数も多い (恐らく借りるのも安い)し、コーチングの内容や方法はコーチの認定という形で協会から定められているので、伝統的な指導方法がずっと続いている日本とはだいぶ違います。"どちらがテニスの進化や研究に合わせて指導内容が更新できているだろうか"と考えればまぁアメリカの方だろうと想像はつきます。

ジュニアの有望選手が海外での育成を希望するということ

ジュニアの有望選手が早い段階で海外での育成を望むのは日本の環境が整っていないから、海外選手と競争するためと言うのが一般的な認識でしょうか。

海外にも色々あって必ずしも特別な環境や指導が受けられるという訳ではないですが、前述のように日本の現状は "自分で工夫して上達するしかない" 訳で、選手自身に指導が必要な状況でなくても、"上達のために必要な知識や理屈は正しく提供されるべきだろう"と思います。その差ではないでしょうか?

教われないなら自分で理屈を学ぶ

日本でテニスを教わる、テニスの上達のための情報を集めようとすると、まず100%昔から続く指導方法を前提としています。

雑誌に載る「プロ選手のショットのコツ」を参考にしてもプロ選手のようには打てないのはプロと一般という違い以前に、昔からずっと続く情報や指導をベースに特定の情報だけを付加してあるからだと思っています。プロのスイングと体の使い方がそもそも違っているなら同じように打てるはずもありません。スイングそのものではなくまさに"コツ" (特定の要素) ということです。

スクールに通っていても思った程上達しない、情報をいろいろ試しているけどあまり効果がでないと思うのであれば、自分で"理屈"を学ぶことは意味があります。

ボールが飛び・回転がかかる理屈、ラケットとボールの関係性、スイングする意味、ラケットスピードの意味、ボールはラケットは接触して初めて飛ぶのだということ、皆が同様に持つ体の機能や仕組みとその使い方、一般生活や他スポーツでどう体が使れているのか、等々。一生懸命、10cmの違いでボールを的に当てるような技術を得ようとする以前に知るべきことはあります。

なぜボールは飛び・回転がかかるのか、それとスイングの関係性、体の使い方との関係性を知らないまま、ただ一生懸命に腕を動かしラケットを振ろうとする、何百球も納得がいくまで打ち続けるといった事はどうなんでしょうか?

 

バボラ Babolat 新 ピュアドライブ Pure Drive 2018 (テニス)

ピュアドライブ(Pure Drive)のリニューアル時期

ラケットメーカーは2-3年おきに製品ラインナップの更新を行っており、バボラの主要ラインナップであるPure Drive の現行モデルが出たのが2015年、スケジュール通りなら来年2018年に新モデル (後継モデル)が発売される流れになります。

テニスラケット

 

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既に情報は出回っていて、国内販売店も現行モデルの値引きを開始

バボラは、今後発売する新製品の情報を陰に陽に広めていくメーカーで発売直前までひた隠しにする感じではありません。製品名や位置づけが変わるような大きなリニューアルではないのでキャンペーンを仕掛けたりはしていませんが、Pure Driveについても既にネットで様々情報が広まっています。 

www.tennisthis.com

 

国内のネット通販等でも、現行Pure Driveは既に先週後半から定価の半額程度に下げての在庫セール状態に入っています。

どこが変わるのか?

Cortexが内蔵

先行して更新されたPure Aero同様、Cortexがフレームに内蔵されるようです。

Cortexはグリップとスロートを繋ぐ部分にある波型のラインが入ったパーツでボールを打つ際の振動を吸収して手に伝わりにくくする機構です。

Babolat Cortex

Pure Aeroでは表面からは見えなくなっていて内側に埋め込まれています。

Babolat Pure Aero Cortex


ウーファー

ウーファーシステムはガットを通すグロメット部分に滑車のような丸みをつけてガットにボールが当たった際にガットが動きやすくなる、結果ラケットとガットの相互作用が高まるという機構です。

Pure Aeroではそれまでの丸型に膨らんだ形状から外側からは膨らんで見えない形状に変更されました。効果は僅かでしょうがPure Aeroの製品イメージ的にも空気抵抗を減らすという意味合いもあったと思います。

BAbolat Pure Aero Woofer

今年更新された現行Pure Strikeの方は従来からのウーファーの形に近いですが膨らみは小さくなっています。新Pure Driveはこのタイプを採用すると思います。f:id:a-londenion:20170708234325j:plain

 

 

 

FSI Power

Pure StikeではFSI Powerという仕様が採用されています。

現行Pure DriveではFSIというガットの目をラケットの上側に寄せる (上側の方がガットの目が細かくなる) という仕様になっていて「プロ選手はラケットの先の方でボールを打っている。だったら先の方のガットの目を細かくすれば中心で打った時のように違和感なく打てるんじゃないか」という話だったのですが、ストリングパターンを少なくしてスピンがかかりやすくしたラケットと同様のキワモノ扱いという印象でした。(そしてスピンがかかるというストリングパターン同様効果も誤差程度。)

Pure Strikeで採用されたFSI Powerという仕様はラケット全体で横に並ぶストリングパターンを分配してラケット全体でボールを飛びやすくするというもののようです。

Pure Strike FSI power

このFSI PowerがPure Driveにも採用されるようです。

効果はわかりませんがPuer Strikeは「打ちやすい、使いやすい」という評価が多いので打感には関係してくるのだと思います。

Babolat FSI Power Technology

Technology Image

FSI POWER Technology
Wider spacing between the cross strings to boost power, spin, comfort and playability!

For the 2017 Pure Drive line only, Babolat adds diamond shaped grommets to the FSI Power technology. This gives the strings a greater range of movement, resulting in a further increase in power and comfort.

 

 

 

海外も含めPure Strikeのラケット紹介記事、動画を見ても打った感想ばかりで機構について説明しないのですが、TennisWerehouse.comのバボラ搭載機能の説明の中に情報がありました。

説明には新Pure DriveにはFSI Powerに"diamond shaped grommets "が追加されるとあります。この"ダイヤモンド形状のグロメット"とはPure Aeroに搭載れたFSI Spinがオーバル形状だったようにガットを通す穴が従来の丸型ではなく多角形になっているのだと思います。何角形かは分かりませんがダイヤモンドという位なので正八角形なのかなとも思います。

Pure Drive 2018 グロメット 八角形?

 

カラーリング

一見して新しくなったと分かりやすい点であるカラーリングですが、Pure Aero登場時よりもPure Strike寄りというか、この数年で各社が採用している限りなくシンプルなデザインやロゴ使いをする流れを踏襲していますね。 

ネットで画像は出回っていますがじきに公式含め正式な画像は見られるようになると思います。 

個人的にはPure Driveのロゴとバボラの横線デザインがカバーしていますがブルーのべた塗り感が少し安っぽい気もします。

ブルー多めという意味では2009年版を最初に見た時の印象にも近いかもしれません。

Pure Drive 2009

Babolat Pure Drive 2009

でも、これまでのPure Drive、見慣れれば違和感はなくなるのでしょう。

スペック

主要モデルのPure Driveですし、名前が変わるわけでもないのでスペック的には現行モデルと同様になるようですね。

 

2018 Babolat Pure Drive Specs:

Head Size: 100 sq / inches
Weight: 300 gr (10.5oz)
Balance: 32.0 cm (7 points Head Light)
String Pattern: 16/19
Length: 27 inch
RA (Stiffness): 69

Read More http://www.tennisthis.com/2018-babolat-pure-drive-tennis-racquet/ 

ただ、RA値(フレームの柔らかさ)が現行の72から69に下がっています。Pure Aeroは72、Pure Strikeは70なのでそれらよりも柔らかく、ボックス型である旧Pure Controlの後継モデル現Pure Strike VSのRA値が67ですからそれに次ぐ柔らかさということになります。これが意味するのは一般的に言えば"ラケットがしなる"ようになるということです。

ボールが飛び・回転がかかるのはスイングによってラケットが得た運動エネルギーの一部がスイング中のボールとの接触によりその一部がボールに伝わるからです。金属バットで打てばラケットで打つよりはるかに飛ぶことでも分かるように打った際の"打感"とそこからくる"ボールの扱いやすさ"を考えなければラケットは硬く変形しないほどボールに伝わる運動エネルギーは伝達ロスが起きません。

しなるラケットはボールを掴んで飛ばすと言われれますがラケットフレームのしなりはボールが離れるまでに復元することはないので、しなる、歪む、たわむは全て運動エネルギーの伝達効率でいえば"ロス"なだけです。伝達ロスの大きさによりラケット面が大きいラケットはフレームが厚く変形しづらいから飛ぶ、フレームの薄いしなるラケットは飛ばないということです。しなるラケットを選ぶ理由は「純粋に打感が好きだから」ということになりますね。プロ選手にボックス形状のしなるであろうラケットを使う選手が多いのは十分なスイングスピードがあるから運動エネルギーの伝達ロスよりも打感の好みを優先しているからだろうと思います。

"Pure Driveは飛びすぎる"という指摘は以前から続いていて、Pure Drive人気にあやかって登場した劣化コピーのようだったWilsonのJuice (現Ultra)、YonexのEZONE、SRIXONのCVシリーズ、HeadのExtremeはそれぞれ"飛びを抑えてしっかり回転もかけられる"というコンセプトに移行し元祖であるPure Driveだけが置いてきぼり状態です。

恐らく新Pure Driveは「飛ばなくした」という言い方ではなく、WilsonのUltraが使ったような「しっかり打ってもコートに収まる」といった言い方をしてくると思います。また、公式の場ではフレームを柔らかくしましたといった言い方もしないのではないかと推測します。

国内のラケットインプレでは「ボールを掴む感覚もあり、従来同様にボールを弾く・飛ばす感覚もある」って言われるのですかね。なんか、そういうのが今年に入ってから黄金スペックに近いラケットの流行りみたいです。

 

 

 

発売時期は?

海外のサイトでは2017年の9月上旬とありました。全米オープンシーズンには試合でこのカラーリングのラケットを使う選手が見られる感じのようです。

ちなみに現行モデルのPure Drive 2015の発売は2014年の11月で2014年の全米オープンでは選手は使っていませんでした。

新しいPure Driveのお披露目はいつも全豪オープンからという印象があるので、今回はバボラのお家事情 (Pure Driveの人気が落ち込んできており、Pure AeroもAero Pro Drive程の人気ではない。ただ、Pure Strikeが好評でメーカーとしては復調基調にある感じ) もあって新Pure Driveを早めに投入してよい流れを作っていきたいのかなと思います。

個人的には外観を見てもPure Strike程の変更すらない印象ですしこれまで同様のリファイン(改善)の範疇かと思います。

ただ、現行のPure DriveはFSIが邪魔だと思いますし、RA値の変更はPure Driveという存在から考えれば目立たない部分ながらそれなりにインパクトがあるので、既に現行Pure Driveを持っていて半額になった機会に予備を買っておくといった方でもなければ、Pure Strikeの改善具合から見ても普通に新Pure Driveを購入する方がいいのだろうなと思います。

2017年8月1日追記

ラケットインプレでおなじみのテニスショップラフィノさんの動画が公開されました。

グロメット部分はインサイドウーファーという説明をされていますが、周囲に一周するように溝がありその中にガットが埋まる(ウーファーの山も埋まってる)ような形状のようですね。PURE STRIKEの形状に近いけれどあちらは旧来のウーファーの高さを減らしたような作りでガットが埋まるような形ではないです。

また、グロメット穴の形状は『縦に長い六角形』ということでした。こういう感じでしょうか。

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Cortexは内臓になっているのですが、PureAeroのように単純に中にパーツが埋まっているということではなく、フランスのスマック社の技術を採用したものをラケットフェイスとグリップを繋ぐフレーム(スロート)の部分に搭載しているようです。

動画中の写真を見るとフレームの内側にポツポツと小さな突起がありますが、空気の流れをよくするためですかね。以前、同じダンロップ系でバイオミメティックシリーズというラケットフレームの表面形状を工夫したというラケットがありそれを思い出しました。

なお、動画ではバボラの担当者の方はフレームの硬さは変えてないと言われていますね。ということはRA値は72のままなんでしょうか。

打った感想としてはラフィノの方は「飛びは引き続きだが"押せる"感覚がある」 「振動がない」と言われているのですが、フレームの硬さが変わってないのなら、『先行したPureAero、PureStikeに搭載した機能を取り入れながら、新しいチャレンジもしているけれど、PureDriveとしての性格、ブランドイメージは変えてない』というこれまでやってきた更新の範疇にとどまっている気がしますね。

個人的にはPureDriveが登場した時から始まった黄金スペックの時代はテニスの進化・変化の中で既に終わっていると思っています。黄金スペックの飛びを有し同時にボックス形状のような"打感の良さ"を持つラケットが製造できるようになっており、メーカーもユーザーのニーズに縛られ"敢えてどちらかカテゴリーに分けて"製品を作る必要もなくなっています。私は現在の状況やテニスにマッチしているのは『偶然そうなったのだとしても』PureStrikeだと思うので、新PureDriveは敢えて冒険はせずブランドイメージを保ち継続させる (新PureDriveにバボラの今後を背負わせる必要がなくなったという判断) という印象を受けました。動画の初っ端にバボラの方がPureDriveをポルシェに例えているのもその現れでしょう。

2017月8月2日追記

店頭で実物を見てきましたが、グロメットの穴はフレームの幅に対してボールが当たった際にガットがたわむ方向にごく僅かに長くなっている六角形でした。こんな感じ。

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フレーム内側にある突起はラケットヘッド側のフレーム内側とスロート部の内側にありました。ヘッド側内側は他社ラケットでもフィン(波模様)を付けたりしている部分なので空気抵抗を減らす効果を狙っているのは合っている気がします。(でもポツポツがちょっと違和感)

後、フレームの硬さであるRA値は72のままで変わらずでしたね。やはり目立つ変更は加わっていないようです。

PURE DRIVEを買う人は引き続き居るのでしょうが、他社動向も踏まえれば積極的に選ぶ意味は尚更薄くなってしまう気がします。完全な初心者の方以外はPURE STRIKEを使う方が(ラケットの力ではなく自身の実力とのよいバランスで)楽しくテニスができる気がしてしまいます。